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「更年期」を生きる、働くアラフィフ女性たちの現実~第2のお年頃を考える~No.1

更年期に負けたくない!更年期症状に直面する令和のアラフィフ女性たち

2023/05/30

※本レポートでは、45~54歳にあたる年代をアラフィフ世代と呼称します。


2022年の総務省統計局「労働力調査」によると45~54歳の女性の就業率は79.4%(※1)となっており、8割のアラフィフ世代の女性たちが働いています。この世代は、日本の就労世代(CECD定義:15~64歳)の人口ボリュームゾーン(※1)であり、2022年4月からは女性活躍推進法も改正となり、労働力として期待・注目される年代です。

※1参考:2022年総務省統計局「労働力調査」年齢階層別就業率/労働人口


そんなアラフィフ女性の多くが今「更年期」を迎えています。
閉経の前後約5年ずつの10年くらいを更年期といい(厚生労働省委託「働く女性の心とからだの応援サイト」より)初経を迎える思春期と同様、更年期も大多数の女性が通る期間です。この、更年期に卵巣ホルモンであるエストロゲン、通称「女性ホルモン」の分泌が急激に減少することによって、安定するまでの間に、女性にはさまざまな心身への不調が訪れます。

更年期とは:厚生労働省委託「働く女性の心とからだの応援サイト」  

女性ホルモンの変化
(厚生労働省委託「働く女性の心とからだの応援サイト」を元に編集部作成)

「更年期症状」は、アラフィフ女性の重大な悩み。
2021年にNHKが実施した大規模調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構発表)によれば、更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった「更年期ロス」に当たる人は推計100万人を超える、と報告されています。

電通ママラボでは、今回、更年期症状と対処の実態把握に加え、心身変化・不調を伴いながら働くアラフィフ女性が家庭・仕事・社会との関わり方や、更年期症状との暮らしで形成されたインサイトやニーズ、そして社会への影響を明らかにする定量調査を実施しました。

この連載では、更年期症状とともに生きる、働くアラフィフ女性の意識行動と、新たな兆し、そして更年期を乗り越えるためのヒントなどをお伝えします。第1回は、更年期症状とその対処・仕事などの意識についてです。

更年期症状は予測不能な心身不調の乱気流。日々悩まされるけど、負けたくない!

電通ママラボ「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」によれば、働くアラフィフ女性1万人のうち約6割が何らかの更年期症状を感じています。

更年期症状を感じることがある

更年期になって発生・悪化した症状・体調変化は、1位「疲れやすい」(62.1%)、2位「肩こり」(48.6%)、3位「倦怠感/体がだるい」(48.3%)、4位「不眠/眠りが浅い」(47.4%)、5位「多汗・急激な発汗」(44.1%)とさまざまな症状を約半数の方が感じており、当てはまる症状の個数は平均で7.63と症状が複合的に生じていることが分かります。

ここ数年で感じた更年期症状

さらに症状を感じる有職アラフィフ女性300名を対象とした本調査では、更年期症状の実態が明らかになっています。

更年期症状による日常の困りごと、生活の支障と感じること上位5つを見てみると、76.7%が生活に支障がきたすほど「体の倦怠(けんたい)感」に困っていると回答。「日々変わる体調」(65.3%)、「いつ体調不良になるか予測できない」(64.6%)、「感情の浮き沈み」(63.4%)、「イライラ」(61.3%)などがあり、自分では全くコントロール不能な状態に6割以上が陥っていることが分かります。

日常の困りごと

また、これらの症状自体は、すぐに治せるわけではないので、結局やり過ごすしかないと89.0%もの女性が感じています。

更年期に対する意識

そんな予測も完治もできない症状に日々悩まされている彼女たちですが、76.0%の女性が「更年期症状なんかに負けたくない」と強い意思を持っています。つらい更年期症状を我慢して、更年期を苦しい時期として終わらせるつもりはないようです。

「生理が終わることは嬉(うれ)しいし、解放された」(74.0%)と更年期のポジティブな面もとらえ、「新しい対処法や治療法があれば試したい」(73.7%)と、更年期症状に立ち向かおうと意欲的です。

更年期に対する意識

情報に迷い、対処に悩む。自助努力だけで更年期症状と立ち向かっている現状

では、そんなつらい状況に対してどのように対処しているのでしょうか?調査によると、働くアラフィフ女性は「休息」(45.3%)、「定期的な運動・ストレッチ」(34.3%)、「食事の栄養バランス調整」(33.3%)など、日々忙しくても取り入れやすい生活改善で更年期症状をやわらげたり、対処をしていることが分かりました。

それに比べて受診率は11.7%と低く、更年期症状そのものを治療する意識はまだまだ希薄です。

更年期症状に対して行っている対処法

症状を和らげる努力はしているものの、「更年期症状だと自覚してもどうすればいいのかわからない」(66.0%)、「更年期症状に関する情報が不足・不十分と感じる」(65.7%)等、対処意欲はあっても改善させるための正しい対策はわからず迷走しているのが実情のようです。更年期の症状に悩んでいる方々の、個々の症状に適した正確な対処方法・治療方法などの情報が入手できるルートの開設と整備が急務といえます。

更年期症状による困りごと/更年期に対する意識

更年期症状でも、いつも通り働きたいし仕事は続けたい。実現には企業と社会の支援が大切

更年期症状による仕事への悪影響はかなり深刻です。
「更年期症状のせいで感情的になってしまうことがある」(55.0%)、「集中できなかったり、思い通りに仕事ができずストレスを感じる」(48.3%)と、約半数の人が症状による仕事への影響があると答えています。

「今の仕事を続けたいので、更年期症状による不調を和らげる努力をしている」と52.0%が答えていますが、それでも同等数が、更年期による心身不調のせいで、本来彼女たちがやりたい働き方がなかなか実現できないと回答。この不条理の中で働いている状態もまた、つらい症状と共にアラフィフ女性を苦しめている要因といえます。

発症後の意識

更年期症状自体のつらさ、そして心身不調のなか働くつらさ、二重のつらさに苦しむアラフィフ女性ですが、それでも「仕事は辞めない。働き続ける」と強く決意している方も多数います。

アラフィフ女性の97.6%が将来に備えた貯蓄の必要性を、81.7%が60歳になってもまだ働き続けなければいけない覚悟を持っており、「できれば仕事は早めに辞めるつもりだ」にあてはまると答えている方は、3割となっており、7割近い方が「仕事は早めにやめるつもりはない」と答えています。

将来に対する考え

しかし、将来のために働き続けたいという本人の強い意思と自助努力だけでは、肉体的にも精神的にも辛い更年期をこれまで通り働き抜くのは、なかなか難しい状況です。

前述の通り、自分自身で対処を講じたとしても、症状が緩和するとは限らず、発症しないようにコントロールが効かないのが更年期症状の特徴です。つまり更年期症状を伴いながらでも、彼女たちが安心と自信をもってパフォーマンスが発揮できるように、社会全体が「更年期の難しさや不条理」を理解し、その上で「更年期症状でもうまく付き合いながら働いていける環境」に向けた協力、そして共創していくことが鍵となります。

「更年期症状についての職場や社会、家庭への理解」(74.3%)、「在宅勤務や時短勤務など、体調に合わせた働き方、休み方」(73.7%)を多くの働くアラフィフ女性たちも、期待していることが分かりました。

更年期に対する意識

電通ママラボは、更年期症状と共に生きるアラフィフ女性への社会理解の一助となるべく、更年期と働く女性に関するレポートを発信していきます。

第2回レポートでは更年期症状と順応して生きようとする働く女性たちの傾向から、更年期をうまく乗り越えるためのヒントをお届けします。

※構成比(%)は小数点以下第2位で四捨五入しているため、合計しても必ずしも100%にならない場合があります。


ママラボ

【調査概要】
調査名:電通ママラボ「働くアラフィフ女性の更年期の症状と仕事、家族に関する調査2022」
調査対象:
■スクリーニング調査:全国45~54歳女性・有職者(パート・アルバイト含む)
■本調査:
更年期症状の実感あり。かつ具体的な更年期症状の発生あり。
■スクリーニング回収数:10,000サンプル (人口構成比に合わせて回収)
■本調査回収数:300サンプル(スクリーニングの出現構成比に合わせてウェイトバック)
①45-49歳150サンプル
②50-54歳150サンプル
調査手法:インターネット調査
実査期間:
■スクリーニング:2022年10月5日(水)~2022年10月10日(月)
■本調査:2022年10月7日(金)~2022年10月8日(土)