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躍進するアジア発の国際広告祭
「AD STARS2018」開催

2018/09/07

    釜山国際広告祭「AD STARS 2018」が8月23~25日、韓国・釜山で開催された。
    公式サイト:
    http://www.adstars.org/adstar/main/AdstarMainView.do

    スパイクスアジアやアドフェストがアジア地域を対象とするのに対し、AD STARSは、全世界から参加を受け付けるグローバルな広告祭で、創設から10年を迎えた。
    今年は57カ国・地域から、20,342点のエントリーがあった。エントリー数で比較すると、カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルの32,372点(2018年)には及ばないものの、スパイクスアジアの約4,300点(2017年)を大きく上回る。

    AD STARSのチェ・ファンジン執行委員長は、創設10年での急成長をけん引したのは「Openness」だと語る。チェ執行委員長は「AD STARSは開かれた広告祭だ。業界関係者だけでなく、学生や一般に広く開放していて、誰でも無料で作品を出品できる。また、作品の展示ブースや一部セッションは、無料で公開している」と、クリエーティブ分野に関心のある全ての人たちのためのフェスティバルだと強調する。
    人材育成にも注力し、30歳未満または職歴3年未満を対象としたコンペティション「New Stars」や、大学生のコンペ「Young Stars」、さらに、高校生向け(韓国国内のみ)の教育プログラム「Creative Camp」などを幅広く展開する。

    アワードは大きく、広告業従事者を対象としたプロフェッショナル部門と、学生および職歴3年未満の者を対象とするノン・プロフェッショナル部門に分かれる。
    エントリーが無料であることから、質の担保を懸念する声も聞かれるが、FCBニューヨークのアリ・ハルパー会長兼CCOやサーチ&サーチ・ニュージーランドのトビー・タルボットCCOらエグゼクティブ審査員は、他の著名な広告賞と比べてなんら遜色ないと、審査後の印象を述べている。

    プロフェッショナル部門は、全19カテゴリーで構成。各カテゴリーのグランプリの中から「グランプリ・オブ・ザ・イヤー」を選ぶのも特徴の一つだ。商品・サービス広告と公共広告から1点ずつ、計2点が選出され、賞金10,000米ドルがそれぞれに贈られる。
    今年は、コカ・コーラの「Share a Coke ― 1,000 Name Celebration」とパラオ・レガシー・プロジェクトの「Palau Pledge」がその栄誉を手にした。

    コカ・コーラ:
    http://adstars.org/adstar/ist/ArchvView.do?schIdx=4887&_menuNo=144&pageNo=1&schArchYear=2018&schAwardNm=201801&schType=&schTxt=
     
    パラオ・レガシー・プロジェクト:
    http://adstars.org/adstar/ist/ArchvView.do?schIdx=4888&_menuNo=144&pageNo=1&schArchYear=2018&schAwardNm=201801&schType=&schTxt=
     
     

    アウトドア部門グランプリを受賞した電通ハイミー・サイフー

    電通グループからは、フィリピンの電通ハイミー・サイフーが手掛けたグリーンピース「Dead Whale」がアウトドア部門でグランプリに輝いた(他にデザイン部門でゴールドを受賞)。豪州のBWM電通は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者と家族を支援するALS協会「Project ReVoice」で、PR部門ゴールドを獲得。電通はグループ全体で25の賞を手にした。

    グリーンピース:
    http://adstars.org/adstar/ist/ArchvView.do?schIdx=5256&_menuNo=144&pageNo=1&schArchYear=2018&schAwardNm=201802&schType=&schTxt
     
    ALS協会:
    http://adstars.org/adstar/ist/ArchvView.do?schIdx=5297&_menuNo=144&pageNo=1&schArchYear=2018&schAwardNm=201803&schType=Title&schTxt=Revoice

     

    クリエーティブ産業の振興にも熱心なAD STARSは広告祭にとどまらず、今後、韓国政府、釜山市の支援を受け、テーマパーク「釜山クリエーティブ・パーク」の開設を目指すという。
    広告、映像、ゲーム、AR、音楽、デザイン、アニメ、コンピュータグラフィックス、ショートビデオなど、クリエーティビティーに関わる事業を集結させる構想だ。
    「何事もQuick quick! 前へ前へ!」がお国柄だ、というチェ委員長は、アジアにおけるクリエーティブ産業の聖地を釜山に作ろうとしている。