オリンピック聖火リレー
エンブレムとトーチを発表
2019/03/22
東京2020組織委は3月20日、東京オリンピック聖火リレーのエンブレムとトーチを発表した。当日は、聖火がギリシャから宮城県の航空自衛隊松島基地に到着する、ちょうど1年前に当たった。
都内の組織委オフィスで行われた発表会には、組織委の森喜朗会長や、トーチのデザイナー、聖火リレーのプレゼンティングパートナー4社の代表、リレーの公式アンバサダーを務める野村忠宏さん(柔道メダリスト)らが出席した。
冒頭、森会長は、聖火リレーのスケジュールに触れながら「リレーのコンセプトは“Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。”で、それを旗印にしたリレーを実現したい。今日のエンブレム、トーチ、アンバサダーの発表で、さらに機運が盛り上がり、全国で多くの人が楽しめるリレーになることを期待する」とあいさつした。
続いて登壇した、聖火リレー検討委員会の武田美保氏(シンクロナイズドスイミング・メダリスト)がエンブレムを発表した。
聖火リレーエンブレムは、大会エンブレムを構成する三つの四角形(支え合い、認め合い、高め合うを象徴)を聖火の炎に見立て、そのダイナミックな動きを表現。また、「拭きぼかし」という浮世絵の技法を用いている。色は、エネルギッシュ、情熱的といったイメージの「朱」と、大地を連想させる「黄土」を組み合わせ、日本らしい祝祭感を出した。
武田氏は「エンブレムは、聖火ランナーとともに、日本の豊かな大地を駆け抜ける。聖火が未来へと続く“希望の道”を照らすだろう」として、アンバサダーの野村さんを紹介した。
公式アンバサダーは、聖火リレーの広報活動に協力する役目を担う。野村さんの他に、パラリンピアンの田口亜希さん(射撃)や、女優の石原さとみさん、お笑いコンビ・サンドウィッチマンさんのアンバサダー就任が発表された。
野村さんは、アンバサダー就任は“驚きと喜び”で、聖火ランナーで思い出すのは、アトランタ大会に登場した元ボクシング世界チャンピオンのモハメド・アリ氏の姿だと話した。また、母親が1964年東京オリンピックの聖火ランナーの一人だったと明かし「聖火はアスリートにとっても、その他の人にとっても特別な物。その魅力や素晴らしさを、多くの人に伝えていきたい」と抱負を述べた。
ステージでは、野村さんとトーチデザイナー・吉岡徳仁氏によって、オリンピック聖火リレートーチが披露された。
トーチは、日本人が最も愛する花・桜をモチーフに、新幹線の製造にも使われる技術を使い、継ぎ目のないトーチを実現した。また、素材の一部には、東日本大震災の復興仮設住宅のアルミ建築廃材をリサイクルして利用。トーチの花びらから生み出される五つの炎は、中央で一つになるようにデザインされている。
吉岡氏は「デザインは、以前に東北の子どもたちと一緒に描いた桜の絵から思い付いた。募集前から、トーチをデザインしたいという欲求が抑えられなかった。自分の案が実現して、とてもうれしい」と語った。
トーチを手にした野村さんは「たくさんの方の思いが詰まったトーチに、手が震えるくらい感激している。これが全国をつなぐと思うとワクワクしてくる」と話した。