loading...

電通、世界24カ国で国際比較した「デジタル社会指標」と「デジタルニーズ充足度」を発表

2019/04/09

    4月9日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。


    2019年4月9日

    デジタル経済は成長も、人々のデジタルニーズ充足度は5割未満、
    日本ではデジタル社会への信頼、デジタルの活用に改善余地

    株式会社電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」(本拠地:英国ロンドン市)は、オックスフォード大学の研究機関であるOxford Economics(※)と共同で、世界24カ国、43,000人が自国について回答する形式で実施した調査と二次データに基づく分析を行ない、「デジタル社会指標」と「デジタルニーズ充足度」を発表しました。

    前者の「デジタル社会指標」とは、各国内で、社会・人々に資するデジタル経済がどの程度構築されているかを示すものです。“人”視点で捉えた当社独自の3つの分析軸、即ち①「ダイナミズム(デジタル経済の成長度合い・活力)」、②「インクルージョン(デジタル成長の恩恵を受ける層の広さ、人々のデジタル活用度)」、③「トラスト(成長の基盤となるデジタル社会への信頼度)」)を用いて「Digital Social Index(DSI)」スコアとして指標化したものです。2018年に10カ国を対象に調査を開始し、2019年は24カ国へと対象を広げました。

    後者の「デジタルニーズ充足度」は、デジタル経済が人々のデジタルニーズを満たしているかどうかを示すものです。当社がマズローの欲求段階説を参考に独自開発した「基本的ニーズ」「心理的ニーズ」「自己実現ニーズ」「社会課題解決ニーズ」という4つの切り口で、各国別に測定したものです。なお、この充足度調査については今回が初めてとなります。

    これら2つの調査分析の結果、日本は「デジタル社会指標」では24カ国中22位、「デジタルニーズ充足度」では24カ国中24位となりました。国際比較において、日本はデジタル経済が社会において上手く機能しておらず、また日本人のデジタルニーズをあまり充足できていない状況が明らかになりました。

    1.「デジタル社会指標」(DSIスコア)の国別順位

    グラフ1

    DSIスコアはシンガポール、米国、中国がトップ3で、シンガポールは3つの分析軸すべてで高い数値となりました。米国は「ダイナミズム」が高い一方で「トラスト」は低く、これは他の西欧諸国でも見られる傾向でもありました。中国は「ダイナミズム」は中程度ですが、「インクルージョン」と「トラスト」は最高レベルとなっています。

    日本は「ダイナミズム」では一定の評価がありますが、「インクルージョン」と「トラスト」は最下位レベルとなっています。

    ・「ダイナミズム」は、デジタル成長の核となる企業のデジタルセクターの強さを示し、ICTセクターの規模や成長率、R&Dの投資額、デジタル技術に卓越した教育機関や人員の数をベースにしています。
    ・「インクルージョン」は、デジタル経済によってもたらされた恩恵を享受できる人々の層の幅を示しており、デジタルインフラやデジタル教育の質なども包含しています。
    ・「トラスト」は、企業・団体のデータ保護・利用に関する人々の信頼性、デジタル社会がもたらす未来への人々の期待の大きさ、サイバー犯罪の発生可能性の低さ、データ保護規制の厳格さ、データ利用の透明性から算定しています。

     

    2.「デジタルニーズ充足度」 国別デジタルニーズへの充足度(%)

    グラフ2

    世界24カ国では、5割未満の人々しかデジタルニーズが満たされていないという結果になりました。デジタル経済が進展する中で、人々の実際のニーズは見過ごされており、持続的経済成長への懸念が浮かび上がる結果となりました。

    45%の人が、企業・団体が自身のプライバシーを保護してくれるとは考えておらず、約半数の人々がオンライン上の自身のデータを段階的に削減していこうと考えています。また、3分の1の人々が、デジタルが自身の健康や生活の質に悪影響を及ぼすと考えています。一方で、全体の3分の2の人々が、「ネガティブな影響があるにせよ、5~10年先にはデジタル化による恩恵の方が大きい」と捉えていることが分かりました。

    世界24カ国中24位となった日本の特徴は次のとおりです。
    ・利用しやすさ:デジタルのインフラが高品質であると考える人が少ない。(基本的ニーズ)
    ・信頼性:企業・政府による個人データの取り扱いに関する信頼性が低い。(基本的ニーズ)
    ・消費者行動:デジタルに対する行動を変えようとする人が少なく、デジタル製品・サービスの利用率が低くとどまっている。(心理的ニーズ)
    ・スキル/教育:多くの人が自分のデジタルスキルは高くないと考えており、デジタルスキルが正しく利用され、役立っていると考える人の比率が低い。(自己実現ニーズ)
    ・将来の期待:5~10年後にデジタル技術が社会にとって良い影響をもたらすと考える人の比率が低い。(社会課題解決ニーズ)

    ・「基本的ニーズ」は、デジタル製品やサービスに接するために必要な環境条件で、デジタルインフラやデータを使用する企業・団体への信頼性を測るものです。
    ・「心理的ニーズ」は、心理面での安心・健康やクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に対するデジタル経済の寄与、期待の充足度を測るものです。
    ・「自己実現ニーズ」は、自己のスキル・教育の向上・報酬の高い仕事を得る機会の増加への、デジタル経済の寄与、期待の充足度を測るものです。
    ・「社会課題解決ニーズ」は、デジタル技術が社会課題や地球規模の課題の解決や新しい仕事を生み出すことに貢献しているかどうかについての、人々の認識を測るものです。
    レポートの詳細は、下記リンク先からダウンロードできます。(英語のみ)
    URL: https://www.dentsuaegisnetwork.com/reports/dsi_2019

    (※) Oxford Economics:1981年設立。民間の独立系マクロ経済シンクタンクとしては世界最大の250名のエコノミスト・チームを擁する。80カ国以上の相互作用を考慮した世界マクロ経済モデルをベースに、200カ国以上・100超の産業セクター・約4,000都市に関する経済実態・予測のデータを提供している。
     
    <調査概要>
    実地調査(デジタル・ソサエティ・インデックス・サーベイ〈DSIサーベイ〉)は、2018年7~8月に、24カ国、43,000人以上を対象に実施。対象国は、アジア太平洋は日本、オーストラリア、シンガポール、中国、インド、タイ、米州は米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、欧州は英国、ドイツ、フランス、デンマーク、オランダ、フィンランド、ノルウェー、エストニア、アイルランド、スペイン、イタリア、ポーランド、ハンガリー、ロシア。調査対象者の抽出に当たっては、各国の人口構成に合わせて代表性を保てるようサンプル数を調整。「デジタル社会指標」(DSIスコア)の算出には、上記に加えて二次データ(文献調査)を利用。二次データは最も信頼度の高いデータ提供者(Oxford Economics、世界銀行、国連など)が発行した最も直近で入手可能なものを利用。指標の設計は、すべての項目で均等加重を適用。「デジタルニーズ充足度」の算出はDSIサーベイのみを利用。
     

    以上


    電通ニュースリリース
    http://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/0409-009792.html