世界最大のマグロカンファレンス「TUNA 2024」に、電通の志村和広氏が登壇
2024/07/18
国際政府組織INFOFISHが主催する、世界最大のマグロのカンファレンス「World Tuna Trade Conference & Exhibition(通称:TUNA 2024)」が5月20日から22日にかけてタイ・バンコクで開催された。電通のクリエーティブ・ディレクターであり「TUNA SCOPE」のプロジェクトリーダーを務める志村和広氏が一昨年に続いて2年ぶりに登壇し、AIのさらなる進化とプロジェクトの展望について講演を行った。
「TUNA 2024」は、国際政府組織であるINFOFISHが主催し、世界各国の水産大臣、国連食糧農業機関(FAO)の関係者、研究者ら、世界中の水産業界関係者が集う国際会議である。第18回を迎えた今年は、"Advancing Blue Transformation, Sustainable Development and Innovation through the Global Tuna Industry (世界のマグロ産業によるブルー・トランスフォーメーション、持続可能な開発、イノベーションの推進)"をテーマに開催され、40を超える国から集まったスピーカーによる講演が実施された。
電通のクリエーティブチームによって開発された、日本の熟練の職人によるマグロの目利きを継承したAI「TUNA SCOPE」。今もなお、豊洲や焼津をはじめとした日本各地の市場や水産工場から収集された目利きデータをもとに学習を続けており、AI実用化の先進事例として注目を集め続けている。
志村氏は講演のなかで、「TUNA SCOPE」のさらなる進化に触れるとともに、AIによる品質判定がマグロ取引にもたらす革新的な変化について、世界の水産業界関係者にむけて語った。
「AIによる公平で明快なグレーディングは、売り手と買い手の間の駆け引きも不要にし、世界のマグロビジネスをもっとスムーズで活気あるものに変えていきます。日本の高度な目利き基準がテクノロジーの力で広がり、品質に世界共通の言語が生まれることで、日本と世界をつなぐことができたらうれしいです」
志村氏の講演では、従来は難しかったクロマグロの尾の断面から「トロ」を検出する新たなAIモデルの取り組みや、水産工場への導入事例、そして、スーパーマーケットや寿司チェーンで「AIまぐろ」 として商品化されたことなど、「TUNA SCOPE」がもたらした世の中へのインパクトにも話が及んだ。
世界中のさまざまなプレーヤーを巻き込んで水産業のデジタル・トランスフォーメーションを加速させていく、とビジョンが語られると、会場では各国の政府関係者や水産業界関係者を中心に、大きな反響を呼び、新たなパートナーシップにむけたディスカッションも生まれた。
「TUNA SCOPE」の発表から5年がたった今もなお、プロダクトは進化を継続しながら、グローバルビジネスとして規模を広げようとしている。世界の水産業が直面しているさまざまな課題に応えるソリューションとして、その影響力を広げていくための挑戦が続いている。