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公開日: 2024/08/19

Instagram・X・TikTokの使い方を2000名調査。消費行動モデルから考えるSNSマーケティング戦略(前編)

2023年11月、株式会社 電通マクロミルインサイトテテマーチ株式会社は、2,000名のSNS利用者を対象にSNSサービスの利用実態を共同調査しました。その調査データに基づき、2024年1月にはこれからのSNSマーケティング戦略について共同セミナーを開催し、大きな反響を得ています。そこで「Transformation SHOWCASE」では、共同セミナーに登壇した電通マクロミルインサイトの永原花菜氏とテテマーチの川又潤子氏に、調査データのサマリー、SNS時代の消費行動モデルについてインタビューを実施。特に若年層の利用率が高かったSNSの3大プラットフォームInstagram・X(旧Twitter)・TikTokにおいて、前編では利用実態、マーティングにおける有効性をひもときます。

若い世代ほどSNSが浸透、TikTokは10代にとって欠かせない存在に

Q.今やSNSは、消費者にとって重要な情報源となっています。こうした中、電通マクロミルインサイトとテテマーチでは、2,000名のSNS利用者を対象に、アンケート調査を行いました。まずは、そもそも2社が共同調査やセミナーを行うことになった経緯についてお聞かせください。

株式会社 電通マクロミルインサイト 永原 花菜氏

永原:電通マクロミルインサイトでは、クライアント企業さまとさまざまな調査を実施する中で、SNSの影響力の大きさを実感していました。各世代のSNSユーザーがSNSをどのように利用しているのか実証したいという思いから、SNSマーケティングに強みを持つテテマーチさんにお声がけいたしました。その調査結果に基づき、「マーケティングに使うSNSの選び方 2000名調査で分かったInstagram・X・TikTokの特徴」というテーマで、弊社とテテマーチさん2社によるオンラインセミナーも実施しました。

川又:今回のセミナーはとても反響が大きく、初回は250~300名にお申し込みいただき、その後も2回再配信しました。計3回も配信するセミナーは当社でも数えるほどなので、関心の高さがうかがえました。

Q.SNSは現在どのように利用されているのか、調査結果をお聞かせください。

永原:この調査では、15~59歳のSNS利用者、合計2,000名のデータから、Instagram・X・TikTokそれぞれのユーザー特性をひもときました。

まず、「生活者のSNS利用率」に関しては、Instagram、LINE、Xの利用率が60%以上と高く、その半数は毎日利用しています。また、Instagram、X、TikTokは若年層ほど利用率が高く、TikTokを1日当たり3時間以上利用している10代女性も少なくありませんでした。こうしたデータから、若い世代ほどSNSが浸透しており、中でもTikTokは10代にとって非常に身近な存在だということが分かりました。

消費行動の第一歩、商材の「認知」でSNSが効果を発揮

Q.調査結果からうかがえる各プラットフォームの特徴をお聞かせください。先ほどのお話からすると、TikTokは10代女性の支持が高そうですがいかがでしょうか。

永原:おっしゃる通り、TikTokは10代女性へのマーケティングで効果を発揮します。利用目的の圧倒的1位は「暇つぶし」。他のSNSでも同じですが、TikTokの場合、10~20代女性の70%以上が暇つぶし目的で利用しています。その一方で、10代女性利用者の約25%が、新商品・新サービスの情報収集のために使っているというデータもあります。

Q.TikTok経由で商品を認知することで、購買にもつながるのではないかと思います。TikTokは、消費行動にどのような影響を及ぼしていますか?

永原:商材ごとに「認知」「理解」「購入・来店」の各段階でどのような情報源を参考にしているか調査したところ、10代女性の中ではTikTokで化粧品、ファッション関連商材を「認知」する方が多いという結果になりました。他の商材に関しても、TikTokは10代女性の情報源として機能しています。商品の効果や注意点が分かるレビュー、他の商品との差別化ポイントなど、参考にする情報も幅広いのが特徴です。TikTokは動画メディアなので、ユーザーにとって気になる情報を集約して端的に伝えることができれば、購買に対する影響力を高められるのではないかと思います。

川又:TikTokは革新的なプラットフォームですよね。今までは、フォロワー数をいかに獲得するかがSNSマーケティングの主流でしたが、TikTokはフォローしているものを見るより、おすすめに表示されたものを見て楽しんだり、情報を得たりすることが多いのが特徴です。ある意味、アルゴリズムがフォロワーを代替していることになります。

ですから、フォロワーを伸ばしたい、これから知名度を高めたいといった企業やブランドでも認知拡大の可能性のあるプラットフォームだと思います。ブランドの認知度を高めてフォロワーを獲得したり、フォロワー数を増やすことが目的化していたこれまでとは違い、コンテンツ自体に魅力があれば一気にバズって人気が出る。そんな一発逆転の時代になりつつあると感じます。

テテマーチ株式会社 川又 潤子氏

Q.Instagramに関してはいかがでしょうか。

永原:幅広い世代で広く浸透しているSNSです。10~30代女性、10代男性の利用が多く、特に若年女性の中では毎日利用する方が70%を超えています。単に画像を投稿するだけでなく、友人・知人とのコミュニケーション、情報収集のための主流SNSとして利用されているのも特徴です。女性の場合、多くの商材で購入・利用時の情報源として活用しており、購買行動に影響を与えやすいSNSと言えます。

TikTokに比べても、「認知」「理解」「購入・来店」それぞれのタイミングでInstagramが効果を発揮しています。化粧品や外食店舗に関しては、認知から購入に至るまでInstagramを通して行われる傾向が強いです。

また化粧品やファッションの場合、インフルエンサー、次いで一般ユーザーの情報が参考にされています。憧れの人からのおすすめをまず見てから、一般ユーザーのレビューも参考にして、購入するかどうかを慎重に決めるという流れがうかがえます。特に外食店舗に関しては、一般ユーザーの投稿が重視されています。

Q.最後に、Xについてお聞かせください。

永原:Xは10~20代の利用者が多く、この世代では約半数が毎日利用しています。20~30代男性では、他のSNSに比べて利用率が高いという結果になりました。利用目的はInstagramとやや近く、暇つぶしの他、趣味や新商品の情報収集に使われています。

商材では、ゲーム/玩具、オンラインサービスと相性が良く、一般ユーザーの投稿を参考にする方が多く見られました。Instagramのように憧れの人のおすすめ情報を知るというより、一般ユーザーの身近な声を集める場として機能していることも分かりました。


 

今回の2,000名調査によって、SNSそれぞれの利用実態、効果を発揮する商材が見えてきました。この調査結果が、提供する商材・サービスに適したSNSマーケティング戦略の糸口になりそうです。後編では、テテマーチが提唱する消費者行動モデル「PERCARS(パーカーズ)」をベースに、購買につながるSNSマーケティングの在り方を探っていきます。

※掲載されている情報は公開時のものです

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著者

川又 潤子

川又 潤子

テテマーチ株式会社

1995年生まれ。Z世代マーケ研究室「lookey」のプロジェクトリーダー。2019年にテテマーチ株式会社JOIN後、SNSプランナー、プロデューサーとしてInstagram・X(旧Twitter)を中心としたSNSマーケティングにおける戦略・企画設計を手掛ける。若年層マーケティングを得意とし、大学生と企業担当者をつなぐイベント「インスタゼミ」立ち上げ。以降、SNSアカウント運用・キャスティング・キャンペーンまで本質的な企業プロモーション施策の企画、提案を行っている。

永原 花菜

永原 花菜

株式会社 電通マクロミルインサイト

2022年株式会社 電通マクロミルインサイト入社。食品やゲーム、不動産など幅広いカテゴリーの商材に潜在する生活者インサイトを起点に、コミュニケーションプランニングやPDCAサイクルの構築支援に従事。

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