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公開日: 2025/12/11

早稲田×電通 共に未来をつくるクリエイティブセッション「未来学」開催レポート

2025年10月28日(火)、早稲田大学にて電通と早稲田大学商学部による特別共同講義「未来学 早稲田×電通 未来にひらめく200分」が開催された。本講義は、早稲田大学が「国際社会に貢献するビジネス・リーダー」の育成を目指して展開する「Global Management Program」の一環であり、全学の学生を対象に“未来をつくる思考法”を体験する機会として企画された。

講義は、電通 未来事業創研※の知見をインプットする「未来学Ⅰ」と、クリエイティブセッションを疑似体験し学生自身が“つくりたい未来”をアウトプットする「未来学Ⅱ」の二部構成で実施された。

※未来事業創研…新規事業開発や中長期戦略策定など、未来視点を生かしたビジネスソリューションを提供する電通グループの横断組織。


冒頭、早稲田大学商学学術院 広田真一教授は「従来、大学は過去の出来事や事象を学ぶ場だったが、これからは未来について考えることが必要になる。未来を創造する電通と共に学ぶ今回の機会が、その契機になれば」とあいさつした。

早稲田大学商学学術院 広田真一教授

続いて登壇したのは、早稲田大学出身の電通 福島陽氏。学生時代の実体験を交えながら「自ら進んで新しいことに挑戦する『進取の精神』を持つ早稲田生だからこそ、未来を考えてほしいし、その力があると信じています」と本講義への思いを語った。

電通 第9ビジネスプロデュース局 福島陽氏


未来学Ⅰ:未来をつくる「Vision Driven」を学ぶ

未来学Ⅰでは、電通の未来事業創研ファウンダー 𠮷田健太郎氏が「未来の作り方」をテーマに講義を行った。

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電通 未来事業創研ファウンダー 吉田健太郎氏

近年、「未来」を考えることに対するニーズは高まっており、その理由のひとつに、“当たり前”が簡単に変わる現実があるという。吉田氏はあるスマホ決済サービスの利用率がたった7年で0%から60%以上へと急増した例を提示。10年もたたず“当たり前”が変容していることに会場からは驚きの声が上がった。

そうした変化はチャンスだと吉田氏はいう。人口の変化、気温の変化、情報の変化など未来の8つの視点を紹介しながら、変化を課題ではなく機会ととらえるべきだと語った。

「重要なのは、“未来は予測するものではなく、つくるもの”ということです。大きな成功の裏には必ずビジョンがあります。今ある課題を減らしていく『課題解決型のIssue Driven』ではなく、つくりたい未来を仲間と一緒につくっていく『価値創造型のVision Driven』が、これからの社会に必要です。この『未来学』では、創造型プロセスを通して、“つくりたい未来”を言葉にするという第一歩を、皆さんに挑戦してほしいと思います」と締めくくった。

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未来学Ⅰでは他にも、電通従業員による未来づくりの実践例を共有。時にうなずきながら真剣な面持ちで講義を聴く学生たち


未来学Ⅱ:Future Creative Sessionで、つくりたい未来の風景をアウトプット

後半の「未来学Ⅱ」では、電通がクライアントと未来を共創する際に用いる「Future Creative Session」でアウトプットを行った。「Future Creative Session」とは、議題に沿ってジャッジする会議とも、ブレストとも異なり、参加者一人一人のアイデアを引き出して“重ねていく”ことを目指すクリエイティブプロセスだ。この未来をつくるためのセッションを、会場にいる学生約200人で疑似体験してみよう、というのが今回の試みだ。

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セッションは共同で講義準備を進めてきた学生もステージに上がり、会場内の学生も一緒になって行われた。電通 Future Creative Lead室 増原誠一氏と、電通 サステナビリティコンサルティング室福島崇幸氏による、セッションのポイントや所作についての解説からスタート
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「即興歌舞」など、声を発するワークも行われると、学生から自然と笑顔が見られ、会場全体がいっそう熱を帯び始めた

テーマは「日本がワクワクする社会になるには?」。まずは、日常にあるワクワクを阻害するものを話し合い、それをもとに問いを立てていく。「友人と遊ぶことが目的なのかSNS用に映える写真を撮ることが目的なのかわからなくなっている」「周囲と違う道を歩むことへの恐怖があり、自由に生き方を選べない」「就職活動の早期化と長期化が進んでいる」など、学生視点のリアルな声が次々と上がった。

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セッションの所作を取り入れながら、意見を出し合う
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学生たちの意見は、リアルタイムでグラフィックレコーディングされた。スクリーンに投影されると会場からも感嘆の声が上がった。グラフィックレコーダー:電通クリエイティブピクチャーズ 中尾仁士氏

出された意見に共通する問いとして「日常が固定化している」ことが立てられ、セッションは、この問いに対するアクションプランを考え、「未来の風景を構想」するフェーズへ進んだ。

「住む場所を自由に転々とできる定額制の住まい」「寝たい人が集まる車両、ライブ映像を見る人が集まる車両など、テーマ別に車両を分けた電車」「高校を2年延長し将来を考える時間をつくる」など、固定化された日常を覆す柔軟な「未来の風景」が多数出された。

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身振り手振りを使いながらアイデアを重ね合う学生たちの姿が会場中で見られた


AIで生成する「未来へのコミット宣言」

最後に、電通のプロデューサー兼AIマスターの木幡容子氏が制作したシステムを使用して、一人一人の「未来へのコミット宣言」が行われた。学生が自身の顔写真と未来の具体的なイメージを入力すると、AIが“未来の自分”のイメージ画像を生成する。「多言語を操り世界中の人と働くお母さん」「世界をつなぐ金属貿易家」「犬と囲まれながら働ける未来」など、多彩で個性的な宣言が並び、会場は大きな盛り上がりを見せた。

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電通 プロデューサー兼AIマスターの木幡容子氏
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実際に学生が作成した画像
AIツール制作:WIT COLLECTIVE
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セッションを終えて

増原氏は「今回のように、一人一人が意見を出し合い、皆で未来をつかむことが大切です。誰かの敷いたレールではなく、自分の人生のハンドルを自分で握ってほしい。未来学も、皆さんと未来をつくる場として今後さらにアップデートさせていきたい」と語った。

最後に、早稲田大学商学学術院 中出哲教授は「会場が一体化していて一つの舞台を見ているようだった。過去を学ぶのは未来のためであり、その視点があって初めて意義が生まれる。大学の教育ももっと進化していく必要があると感じました。学生の意見も吸い上げて講座を準備してくれた電通はまるで未来から来たようで、未来の授業のあり方を教えてもらったようだ」と述べ、セッションは幕を閉じた。

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早稲田大学商学学術院 中出哲教授

産学が連携して未来を主体的に描く機会を生み出すことは、“未来をつくる人財”の育成にも直結する。「未来学」は、次世代の思考と想像力を開く取り組みとして、今後の展開が期待される。

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未来学のために開発されたビジュアルとステートメント
デザイン:電通 第4CRプランニング局 友田菜月氏 ステートメント:福島陽氏


 

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