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公開日: 2026/11/09

AI時代、企業はいかに変革し、成長していくか AI活用のプロが語る 「Xplorers 2026」開催

事業変革の最前線を探究するカンファレンス「Xplorers」が8月27日(木)、東京・港区の八芳園 CLUB FLOORで開催された。第一線で活躍する変革のリーダーが集結し、事業変革やDXに関する最新の情報に触れ、議論を深めるこのイベント。プラチナプレゼンテーションでは、電通 第1ビジネス・トランスフォーメーション局 局長 加藤剛輔氏がモデレーターを担当。登壇者は、dentsu Japan チーフ・AI・オフィサーの並河進氏、アドビの菅原健三氏、Salesforceの田崎純一郎氏、マイクロソフト 執行役員常務エンタープライズサービス本部長兼パートナー事業統括の浅野智氏の4人。AI時代の経営変革をテーマに、各社の戦略やビジョンが語られた。

また、ネットワーキングランチには電通 第1ビジネス・トランスフォーメーション局 グロースHR部 部長 高橋舞氏と、ビジネス・デザイナー 佐々木学氏が登壇。今年3月に設立した新組織の取り組みと、AI時代における人事の新たな役割について、示唆に富んだプレゼンテーションが行われた。

各領域のリーディング企業が語る、「安全」と「効率」を両立したAI戦略

最初に登壇したアドビの菅原氏は、同社が注力する「コンテンツサプライチェーン」(コンテンツの計画から効果測定までの一連の流れ)について解説。現代のマーケティングでは多様なチャネルやそれに合わせた内容のバリエーションに対応するため、コンテンツの量が爆発的に増加し、制作プロセスが複雑化していると指摘した。

アドビは、このプロセスの中でも特に「クリエイティブの作成」と「バリエーション展開」でAIによる効率化を推進。企業のブランドに準拠したコンテンツを生成する「カスタムモデル」を強みとし、スピーディーな制作と商用利用の安全性を両立させていくことを強調した。

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「コンテンツサプライチェーンを日本に浸透させ、コンテンツ制作を効率化していきたい」とアドビの菅原氏

続いて登壇したSalesforceの田崎氏は、同社が「エンタープライズ向けAIハーネスを売る会社」へと変革したと語る。企業がAIでROI(投資対効果)を出すには、達成目標に向けて自律的に計画・実行するAIエージェントが必要だが、その自律性から不測のコンプライアンス事案などにつながることもある点を指摘。それを防ぐため、AIを安全かつ効率的に動かすための実行・制御基盤「AIハーネス」が不可欠だと述べた。

Salesforceはこのハーネスを提供することで、企業が「AIネイティブ」な組織になることを支援。モバイルネイティブの時代にUberやAirbnbといったサービスが生まれたように、AIネイティブ時代の新たなビジネスモデル創出を後押しするとした。

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Salesforceの田崎氏はAI導入時の組織変革の重要性にも触れた

続く浅野氏は、汎用LLMが持つ知識と、企業固有のビジネスコンテキストを分けて扱うことで、企業の競争力を守るという考え方を提示した。企業がIP(知的財産)として保持すべきデータや業務知識などを「Work IQ」と表現し、LLMの知識とは別に蓄積・活用することで、企業の独自性につなげていくという。

「Foundry IQ」には、 Microsoft 365 上の仕事の流れや関係性に関するコンテキストと、企業固有の業務プロセス、顧客・業務データなどが含まれる。これらのデータや知識、その関係性をオントロジーマップ(※)として整理・構造化し、AIが業務の文脈を理解できる仕組みを構築すると説明した。

※オントロジーマップ=言葉や概念の意味と関係性を整理・構造化した知識マップ

 

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「Microsoftの戦略軸は“インテリジェンス”と“トラスト”にある」と日本マイクロソフトの浅野氏

「個人のAI」から「チームのAI」へ

dentsu Japanの並河氏は、AI変革のステップが新たな段階に入ったと語る。これまでは社員一人一人がAIを壁打ち相手に使う「個人のAI」のフェーズだったが、自律型AIエージェントの登場により、人とAIが協働する「チームのAI」へと移行しつつあるという。

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チーフAIオフィサーとして、社内外でAI推進を支援しているdentsu Japanの並河氏
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「チームのAIになってくると、AIに突出して詳しい社員が一人いても全体のパフォーマンスは上がりません。経営レイヤーや部門長が、人とAIをどう組み合わせればイノベーションが生まれるかを考えなければいけません」(並河氏)

さらに、電通が掲げるビジョン「人とAIが高め合う」を紹介。アドビとはコンテンツ制作のワークフロー改革、Salesforceとは営業顧客接点の変革、マイクロソフトとはHR(人的資源)領域でのデータ活用など、各者と協働しながらAIを軸とした取り組みを進めていることを明らかにした。

AI時代、企業の競争力をいかに高めていくか

各社のプレゼンテーション後、ディスカッションへと移った。モデレーターの加藤氏が投げかけた最初のテーマは、「AI利用が進み、企業の競争力が同質化する中で、自社の競争力をどのように作っていくか」という問いだ。

菅原氏は、「新しい価値創造にフォーカスしすぎるのは良くないのでは」と主張。まずは既存の業務プロセスの見直しと効率化という「土台固め」にAIを活用すべきであり、従来のプロセスを温存したままでは意味がないと述べた。

田崎氏は、「何をAIに任せ、何を人がやるか」の切り分けが重要だと話す。縦軸に「ミスの取り返しがつく/つかない業務」、横軸に「成功定義が明確/曖昧な業務」を置いて業務を整理し、取り返しがつき、成功定義が明確なタスクからAIに任せるべきだと提案。そして人間は、成功定義が曖昧で、ビジネスインパクトの大きい戦略的意思決定に集中することで、AIを効果的に活用しながら、企業の競争力も高められるとの見方を示した。

AIが専門性を翻訳し、「組織の壁」を越える

続いてのテーマは、DXにも共通の課題である「“組織の壁”をどう乗り越えるか」。

浅野氏は、「テクノロジーの進化とともに、コミュニケーションやコネクションの取り方も進化していくだろう」とし、その例として、トヨタ自動車とともに開発を進めた生成AIエージェントシステム「O-Beya(オーベヤ)」を挙げた。これは、エンジン、バッテリー、法規制など、異なる専門領域の知識を持つ複数のAIエージェントが、エンジニアの質問に各領域の観点から情報を提示する仕組みだ。Microsoft AzureのAI技術を活用し、専門知識の共有やエンジニアの調査・意思決定を支援している。人間では難しい並行的な多角検討をAIが行うことで、組織横断的な課題解決を促進できるという。

これを受けてdentsu Japanの並河氏は、AIが持つ「翻訳能力」が、組織の壁を超える力になると説明。「これまで壁になっていた“専門性”を、AIが翻訳してくれる。ただ、壁を越えようという意思自体は人間が持たなければならない」と語った。さらに、AI時代を組織・領域の壁を超えるチャンスだといい、すでに各所でそういった勢いが生まれつつあることを示唆した。

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各領域のプロフェッショナルが、組織におけるAI活用について深く語り合った

最後にモデレーターの加藤氏は、「AIによって仕事、人、組織のあり方が変わる中で、各社が連携して企業の変革をサポートしていきたい」と希望を語り、セッションを締めくくった。

AI時代の潮流――人事の役割は「管理」から「価値と関係性の設計」へ

ネットワーキングランチ「AIのある『みらいの人事』」では、電通の高橋氏と佐々木氏が登壇した。

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電通 第1ビジネス・トランスフォーメーション局 グロースHR部 部長 高橋氏

初めに高橋氏が、2026年3月に設立した新組織Human Capital Growth センターを「社員一人一人が、やる気と能力を解放する」ことを支援する組織だと説明。続けて昨今重要視されている「人的資本経営」に触れ、人財獲得が困難になり、働きがいが重視される現代において、人財そのものの捉え方や人事の役割が大きく変化していると指摘した。こうした中で、人事や人的資本に関する課題・悩みを持つ企業が増えてきているという。電通は「戦略」「AI・データ」「クリエイティビティ」の3要素を強みとし、電通自身の企業変革の実体験・リアリティある自らの教訓を掛け合わせ、社員の熱量を引き出しながらクライアントの人事変革を実現する姿勢を明確にした。

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最後に高橋氏は、AI時代の人事の在り方を「『社員を管理する存在』から、『AIにはない人間価値や、人と人、人と仕事、人と組織の関係性を再設計する存在』になること」と定義した。

続いて登壇した佐々木氏は、より具体的なアプローチと、電通グループとしての実践例やソリューションを解説。まずAIによる人と組織の変革について「点での施策ではなく、複数のテーマを同時並行で動かしていく必要がある」と組織全体で取り組むことの重要性を強調した。

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電通 ビジネス・デザイナー 佐々木氏

変革の起点として「with AIでの業務プロセスの変革」を挙げた佐々木氏。変革で生まれた余力を新たな業務や組織で活用し、新しい収益や価値創造につなげることで、初めて組織としてのパフォーマンス向上につながると語った。

次に、電通グループの実践例として、プライバシーやコンプライアンスに配慮しながら、Microsoft 365のデータを活用し、組織のコミュニケーションやコラボレーションの傾向を可視化する取り組みや、AIエージェントに相談しながら部署を超えたアサインを行う仕組みなどを紹介。後者は、個々のスキルデータや業務希望をAIにインプットし、プロジェクトへの貢献と育成を両立させるアサイン案を検討するという。

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最後に佐々木氏は「AI時代の人事は、より高度なサイエンスとクリエイティビティが求められる、今までにない役割を担う存在になるだろう」と、AIが人事領域にもたらす変化とその可能性を示唆し、プレゼンテーションを結んだ。

Microsoft、Microsoft 365、Microsoft Azureは、米国 Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

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