シンガポール発★現地版グッドデザイン、最優秀賞は複合開発「サウスビーチ」
2016/04/01
シンガポールデザイン協会(DBCS)が主催する「シンガポール・グッドデザイン・マーク」(SGマーク)の受賞者 が、17日に発表された。日本のグッドデザイン賞をモデルにしたシンガポール独自の総合的デザイン評価・推奨制度で、3回目を迎える今年は環境保護を意識したデザインに重点を置いた審査となった。国内外96件の応募作品の中から61件が選ばれた。
アジアの経済ビジネス情報を配信するNNAによると、最優秀のプラチナ賞にはシンガポールの不動産開発大手シティー・デベロップメンツ(CDL)と、マレーシアの不動産開発業者IOIグループが手掛けた中心街ビーチロードの複合開発事業「サウスビーチ」が受賞。
環境に優しい建築デザインを多用し、日よけと通風を両立する全長280メートルのキャノピー部分に太陽光発電装置を取り付け、LED照明の電力源にする他、屋上緑化を推進するなどしている。建物全体で年間最大1700万キロワット時の電力、17万4000立方メートルの水を節約することが可能だという。DBCSのタイ・リーシャン会長は「建物全体が環境保護を意識した造りになっている他、新旧デザインを織り交ぜて独自の雰囲気を演出している部分も魅力的だ」と話した。
プラチナ賞に次ぐゴールド賞には、工業団地運営機関JTCコープが手掛けた多目的工業団地「JTCスペース@トゥアス」、シンガポール4校目の公立大学であるシンガポール技術デザイン大学(SUTD)、OCBC銀行の子ども向け預金サービス「マイティー・セーバーズ」用アプリケーションの3つが選ばれた。
SGマークは、「生活」「産業」「公共」の3項目をそれぞれ「製品」(ハードウエア部門)「コミュニケーション」(ソフトウエア部門)に分けて募集。日本のグッドデザイン賞と同様に、有形無形を問わず工業製品やサービス、建物、アプリケーションなど幅広い分野を対象として受け付ける。地場企業・団体だけでなく、外資系企業・団体も審査対象に含まれる。
応募者の出身国・地域は、シンガポールだけでなくマレーシアや香港などアジア各地にも広がっている。過去の受賞の中には、日本のグッドデザイン賞を受賞した商品もある。将来的には、アジアでSGマークの認知度をさらに高め、海外市場開拓や出資獲得など、企業・団体の商機拡大に役立ててもらいたい考えだ。SGマークの受賞商品・企画は、17日から6月30日までシンガポール中心部にある国立デザインセンター(NDC)で展示される。
■日本人専門家も審査員に
グッドデザイン賞を運営する日本デザイン振興会は、シンガポールでのデザイン評価制度の立ち上げや、審査員派遣、展示などで協力関係を結んでいる。今年は、デザインプロジェクトを手掛けるインフィールドデザインの代表取締役で、グッドデザイン賞の審査員も務める佐々木千穂氏が、SGマーク第2次審査で審査員メンバー5人のうちの1人として参加した。