インド発★ オートエキスポ、「セダン重視」が鮮明に
2014/02/18
インド北部のウッタルプラデシュ州グレーターノイダで開催された自動車・二輪車展示会「オートエキスポ2014」(2月5~11日)では、自動車各社が中型・小型セダンの新モデルや既存モデルのアップグレードモデルを披露した。インドの自動車市場の主役がハッチバックからセダンに移行しており、その現状が強く反映される展示となった。アジアの経済情報を配信するNNAが伝えた。
トヨタ自動車は、第11世代となる中型セダン
トヨタ自動車は、第11世代となる中型セダン「カローラ・アルティス」を発表。5日から予約販売を開始した。同モデルは2003年にインドに投入されて以来、8万8000台を売り上げている。チーフエンジニアの安井慎一氏は「前輪と後輪の車軸間隔を100ミリ広げ、高い居住性を確保した」と説明している。同社はまた、主力ブランド「エティオス」の小型SUVタイプの「クロス」も発売した。
日産自動車も中型セダン「サニー」の第10代目となる新モデルを公開した。インド自動車工業会(SIAM)によると、サニーは同社のインド販売(輸出含む)の約4割を占める主力車種だ。この他、新興国向けブランド「ダットサン」のハッチバック「GO(ゴー)」も公開した。
最大手のマルチ・スズキは世界戦略車の小型セダン「デザイア」のカスタマイズ版「Opula(オープラ)」を発表した。同社のパンニート・ダワン役員(広報担当)は「われわれの強みは小型車にある。市場のニーズを見ながらだが、引き続き『アルト800』や『スイフト』などのセグメントが主力となる」とし、中型化や高級化については慎重な姿勢を示した。
シェア2位の現代自動車(ヒュンダイ・モーター)は、新型車の小型セダン「エクセント」を投入する。主力の小型ハッチバック「グランドi10」の車台をベースに開発された新モデルで、運転席と助手席の2カ所にエアバックを搭載。サイドミラーの動作も自動にする。
フォードは、世界戦略車の中型セダン「フィエスタ」の他、小型ハッチバック「フィーゴ」のコンセプトカーでセダン仕様となるモデルを公開した。全長は4メートル以下のため、インドでは乗用車販売の3分の1を占める小型(Bセグメント)に分類され、厳しい競争が予想される。ただ広報担当者は「世界的に小型需要は高く、輸出も含め販売を伸ばしていきたい」と話している。
スクーターでは日本勢先行
二輪車でも日本勢がスクーターの新モデルを相次ぎ発表し、急速に拡大する市場を取り込むため低燃費や運転性能の高さをアピールした。二輪車ブースでは最大スペースを確保したホンダモーターサイクルアンドスクーターインディア(HMSI)が、主力スクーター「アクティバ」の上位車種となる新モデル「アクティバ125」(排気量125cc)を発売すると発表した。日本から駆け付けた伊東孝紳社長は「(インド市場に)数あるスクーターの中でも(燃費性能などが)優れているモデルだ」と強調した。
インディア・ヤマハ・モーター(IYM)は、新モデル「アルファ」(排気量113cc)を公開した。燃費性能はガソリン1リットル当たり62キロと高く、女性やファミリー層の取り込みを狙う。価格は4万9518ルピー(約8万円)で、販売開始から1年で20万台の販売を目指す。日本から記者会見に参加したヤマハ発動機の柳弘之社長は「新モデルで消費者の心をつかむ」と意気込みを見せた。
SIAMによると、13年4~12月のインドでの二輪車販売台数は1246万6991台に上る。このうちスクーターは265万2720台と全体の21.3%にとどまるものの、伸び率は前年同期比17.8%と、オートバイの伸び率(同3.6%増)を大きく上回る。これは、都市部で女性の利用が進んでいることや、近所の買い物などへの移動手段として活用されていることが背景。荷物の積載スペースが大きいスクーターは利便性が高いとの認識が高まっている。
二輪車市場では、ヒーロー・モトコープがシェアトップだが、スクーター市場ではホンダが首位を走っている。日本勢は、潜在需要が大きい市場で販売モデルを増やし、技術などで出遅れている地元勢を突き放したい考えだ。
地場はコンセプトカーで勝負
地場メーカーはコンセプトカーを重点的に出展した。バジャジ・オートは四輪リクシャのコンセプトカー「UCAR(ユーカー)」(発売時期は未定)を発表した。ガソリン以外の燃料でも動く仕組みになっているほか、サイドドアは縦方向にも開くようにしたのが特長だ。
二輪最大手のヒーローは、軽油と電気を動力源としたハイブリッドスクーターのほか、酸水素燃料電池で走るモーターバイク「iON(イオン)」や電動自転車なども公開し、技術力の高さをアピールした。
テラは電動二輪で勝負
一方、電動二輪車の新興企業テラモーターズは、2014年度(14年4月~15年3月)のインドでの販売目標を1万台に設定した。インドの電動二輪車の市場規模は約10万台で、同社はこの1割獲得を目指す。
同社はまた、電動スクーター「A4000i」を発売する計画(価格や発売時期は未定)だ。A4000iはリチウム電池式バッテリーを搭載しており、家庭で充電できる仕組み。1回のフル充電時間は約4時間30分で、充電池の寿命は約5万キロとなっている。最高時速は65キロとガソリンタイプのバイクに比べるとスピードでは劣るが、バッテリー性能など日本の技術力をアピールして差別化を図る考え。
同社の徳重徹社長は展示ブースで記者会見し、工場の新設や販促活動、販売網の構築などに合計3億ルピー(約4億9000万円)を投資することも明らかにした。