あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」という生き方。スマドリが考える「飲まない/飲めない人」へのアプローチ(前編)
時代の変遷とともに、お酒との付き合い方にも大きな変化が生まれています。欧米では若者を中心に、あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」(「Sober:しらふ」と「Curious:好奇心が強い」を組み合わせた造語)という価値観が広がり、健康上の問題がなくてもお酒を飲まない人が増えているとか。日本国内でも、お酒を飲まない/飲めない人が増加傾向にあります。ライフスタイルの多様化に伴い、従来の画一的なお酒の楽しみ方に不満を感じる人、自分のペースで心地良い時間を楽しみたい人が増えているということでしょう。
そんな中、アサヒビール株式会社では2020年12月に、飲む人も飲まない人もお互いが尊重し合える社会の実現を目指すため、「スマートドリンキング®︎」を提唱。株式会社電通デジタルはこの理念に賛同し、アサヒビールの取り組みをサポートしてきました。こうした経緯を経て、2022年1月にはアサヒビールと電通デジタルによる合弁会社である「スマドリ株式会社」を設立することに。お酒を飲まない/飲めない人に焦点を当て、さまざまな情報発信を行うとともに、お酒を飲まなくても楽しめるバー「SUMADORI-BAR SHIBUYA」を渋谷にオープンさせました。
そこで、このたび設立1周年を迎えたスマドリのビジョンや展望について、代表取締役社長の梶浦瑞穂氏、創業メンバーである電通デジタルの濱田美晴氏にインタビューを実施。前編では、「スマートドリンキング®︎」という考え方、新会社設立の背景について伺いました。
お酒を飲む人も飲まない人も互いを尊重し合う「スマートドリンキング®︎」を提唱
Q.スマドリ設立の前段階として、アサヒビールは2020年12月に「スマートドリンキング®︎」を提唱しました。これはどのような考え方でしょうか。

新会社設立に込められた「スマートドリンキング®︎」への強い意欲
Q.飲まない/飲めない方々に向けた商品・サービスを作るだけではなく、いきなり会社を起こすというのは思い切ったチャレンジだと思います。アサヒビール内の新規事業ではなく、あえて新会社を設立したのはなぜでしょう。

Q.梶浦さんはスマドリ設立時には、アサヒビールの中でどのようなポジションだったのでしょうか。もともと新規事業をつくる部署に在籍していたのですか。
Q.濱田さんは、どのような経緯でこのプロジェクトに参画したのでしょうか。
Q.アサヒビールでは既にノンアルコールビールを販売していましたし、グループ内にはアサヒ飲料株式会社のように各種飲料水を扱う企業もあります。そういった中で、あえて新しい企業を立ち上げたことは、アサヒビールの中では、どのように受け入れられましたか?
法律上、お酒を飲むことができる国内人口のうち、今や半数以上がお酒を飲まない/飲めないという選択をするようになり、酒類メーカーは大きな事業転換を求められています。そんな中、スマドリは「アサヒビールの新事業部」ではなく、「新しい企業」を立ち上げることで、時流に対応し、さらにビジネスの開拓を進めていこうとしています。後編では、スマドリ創設が社内にもたらした効果、設立1周年を迎えた現在と、今後の展望などについて伺っていきます。
※掲載されている情報は公開時のものです
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著者

梶浦 瑞穂
スマドリ株式会社
1998年アサヒビール株式会社入社。国内マーケティング部門でクリアアサヒの開発、スーパードライのブランドマネージャーを歴任。早稲田大学でMBA取得後、海外事業のマネジメントを担当。インドネシアに駐在し飲料事業の経営に携わった後、国内事業に復帰。現職でローアルコール、ノンアルコール、プレミアム事業を統括。2022年より株式会社電通デジタルとのJV、スマドリ株式会社を立ち上げCEOに就任。スマートドリンキング社会の実現を目指す。

濱田 美晴
スマドリ株式会社
2016年株式会社電通デジタル入社。放送・出版・広告等メディア企業でITをフックにした事業開発を得意とし30歳でデジタル広告代理店取締役を経験。現職では、経営経験を基軸とした事業改善を担当。マーケティング領域にとどまらず、必要であれば採用や企業間コラボも含めたプロジェクトビルディングを行い、常に企業さまに寄り添って実行する“伴走型支援”を得意としている。アサヒビール株式会社に2年8カ月出向し、JVを立ち上げ帰任。現在に至る。

