カテゴリ
テーマ

株式会社西日本シティ銀行、株式会社西日本新聞社、RKB毎日放送株式会社、そして株式会社電通九州は、2022年9月より4社協業のSDGsプロジェクト「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」を実施中。福岡地域企業のSDGs推進に関する現状を「未来リーダーズ」と呼ばれる子どもの目線を通じて発信するという、4社の得意分野を掛け合わせたことで実現した取り組みです。

前編では、プロジェクト発足のきっかけや概要、子どもを主役にすることで得られた気付きなどについて、プロジェクトに携わる4社の担当者が座談会形式で紹介しました。続く後編では、このプロジェクトに寄せられた反響や今後の展開、福岡の地域課題などについて、担当者らの考えをさらに深掘りします。

「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」の取り組みを途切れることなく継続していきたい

吉田:2022年9月に「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」のプレスリリースを出し、12月24日に5社で第1期をローンチしてからというもの、さまざまな反響をいただいています。反響には大きく2点あると感じています。1点目は、子どもが参加する企画であることへの前向きな声。「子どもが取材してくれるの?」と興味を持ってくれる企業さまがとても多いですね。2点目は、金額面でのポジティブな声です。なるべく多くの企業さまに参加いただくために、テレビCMや新聞での情報発信手段については、西日本新聞社さまやRKB毎日放送さまと悩みながらプランを練りました。そのかいがあってか「SDGsの取り組みを広報したいと思っていたし、この金額なら参加できるかもしれない」と前向きに検討してくださる企業さまが非常に増えてきており、うれしく思います。

山根:そうですね。われわれ銀行としても、お客さまに融資以外の提案もできるようになって情報提供の幅が広がりましたよね。

渡:確かに。現場で実際にお客さまと接する営業担当者に聞くと、SDGsという、いつもとは違う目線で話をする良いきっかけになったという声が多いです。

株式会社西日本シティ銀行 渡 大樹氏

山本:やはり子どもを起点とした取り組みは独自性がありますし、この地域に根ざした4社でタッグを組んでフォーマット化している、ということ自体もユニークなので、他のメディアからも注目されているのを感じますね。当社で制作する情報番組で取り上げたり、重要なトピックの1つになっています。

田中:西日本新聞社でも社内の反響は非常に大きかったです。プレスリリースを出した直後に4社のトップが集まった合同記者発表を行ったこともあり、「何が始まるのか?」と注目してもらえました。

吉田:それぞれ、良い反応が増えてきているのはうれしいですね。

次に、今後の展望についてお話しできればと思うのですが、電通九州としては、途切れることなく取り組みを継続して、プロジェクトを大きく育てていくことが現在の目標と考えています。トップ自らが「SDGsをやりたい、やらなければならない」と意気込んでいる企業さまは決断が早い一方で、「他社の様子をみて検討したい」「外へ向けて発信するほど取り組めていない」といった消極的な企業さまも多いのが実情。担当者レベルでは「SDGsはやらなければならない、発信しなければならない」と分かっていても、組織の判断として合意を得ることが難しいケースもありますよね。そんな方々も巻き込むためには、とにかくプロジェクトを継続して、福岡におけるSDGsの情報発信プラットフォームとして定着させる必要があると思うんです。

田中:同感です。われわれ西日本新聞社単独でできることは決して多くないのですが、この4社で2030年までプロジェクトを続けられれば、価値を最大化できると思っています。ただ、まだまだ企業さまの巻き込み方に検討の余地はありますので、日々アプローチの仕方を検討しながら進めていきたいです。

山根:「福岡県全体を挙げてやっている」ことをもっと打ち出していきたいですね。まだ実現できていませんが、イベントなども当初から案としては出ていて。

渡:そうですね。プロジェクト自体のプレゼンスを高めるための、例えばプロジェクトの取り組みを紹介するイベントの開催などは、今後の重要なポイントになると感じています。

米永:普段の仕事の中で、取引先企業の方と話していると、プロジェクトに参画いただいている企業さまに対しても興味を持っていただけることがあるんです。そうした企業間の交流が生まれるような、参画した企業さまが一堂に会するようなイベントができたらいいですよね。

株式会社電通九州 米永 日菜子氏

山本:それは素晴らしいですね。まだ昨年12月に始まったばかりなので、ここから参加企業さまが増えていくと、周りへのインパクトも強くなると思います。最終的に、福岡地域の企業全体で取り組んでいるプロジェクトになっていければいいですね。

課題は首都圏との意識差。地域を挙げた「盛り上がり」をつくるために

山本:前編でも話題に上りましたが、福岡地域に対して魅力を感じてくださる方は、地域の内外を問わず多いと思います。元々福岡に住んでいる方は、より多く福岡地域の魅力を知っていますよね。ただ、首都圏と比べると、やはり経済面では課題があると感じています。最新のビジネスについていくことに苦労している企業さまも多いですし、新興企業も増えてはいるものの、まだまだ数は多くない。そのあたりが改善されれば、さらにこの地域は盛り上がるのではないでしょうか。

RKB毎日放送株式会社 山本 雄貴氏

田中:確かにその通りで、やはり首都圏の方がビジネス感度の高い方が多いように思いますし、SDGsにも積極的に取り組んでいる印象がありますね。そういった情報発信の面では、われわれメディアとしてやるべきことがあると感じています。

山根:銀行の視点で見ると、まだコロナ禍による影響から回復し切れていない企業が多い印象です。そうした中で、SDGsや脱炭素、DXなどの推進が停滞してしまっているのも事実。地域の金融機関としては、そのあたりをこれからしっかり支えなければという思いがあります。私たちのお取引先には中小企業が多く、そういった方々に対し、金融機関からこのプロジェクトを通じて気付きを得るチャンスをご提供することも、これからの現場に求められているのではないかと感じています。

渡:当行では「地域の発展なくして西日本シティ銀行の発展なし」という信念のもと、従来よりさまざまな本業を通じた支援や地域貢献活動を行っています。このプロジェクトを通じて、福岡県のSDGsへの機運が高まり、県全体が盛り上がって元気になるきっかけになったらと思います。

 


 

「未来をつくろう Make Fukuoka SDGs」プロジェクトは、西日本シティ銀行が持つ地元企業との接点と営業力、西日本新聞社とRKB毎日放送が持つ人々への影響力、電通九州の企画推進力という、4社の得意領域を掛け合わせたプロジェクト。お互いの長所を生かして補い合いながら、プロジェクトを進めることで、福岡地域のSDGsへの意識がより高まっていくことが期待されます。

また、未来を担う子どもたちが主役になることで、現役世代と将来世代の両方にアプローチするプロジェクトでもあると言えるでしょう。他の地域からも注目される福岡地域から、こうしたプロジェクトを発信することで、福岡県から九州、ひいては全国へと、SDGsの機運を高めるきっかけにつながるかもしれません。4社がタッグを組んだ本プロジェクトの今後の展開に、どうぞご期待ください。

※掲載されている情報は公開時のものです

この記事は参考になりましたか?

この記事を共有

著者

吉田 考貴

吉田 考貴

株式会社 電通九州

電通TeamSDGs SDGsコンサルタント。電通総研 アソシエイト・プロデューサー。 電通九州に入社後、多岐に渡る広告主のコミュニケーション・プロモーションのプランニングを担当。2020年2月より電通総研に出向し、人口減少社会における「地域」「働き方」「次世代の希望」をテーマに活動。2022年1月に電通九州へ帰任し、SDGs、DE&I領域におけるプロジェクト業務など「社会発想」による中長期的なマーケティング支援を手掛ける。

渡 大樹

渡 大樹

株式会社 西日本シティ銀行

2002年株式会社西日本銀行(現:株式会社 西日本シティ銀行)入行。営業企画部を皮切りに、国際部や市場証券部など本部を長年経験し、2022年より広報文化部で勤務。同行で実施しているフードドライブ活動などSDGsへの取組みを推進するほか、同行キャラクター「ワンク」のオリジナルグッズを販売する“ワンクショップ店長”の肩書も併せ持つ。

山根 勇樹

山根 勇樹

株式会社 西日本シティ銀行

2005年株式会社 西日本シティ銀行入行。久留米営業部に配属後、営業店数ヵ店で主に法人営業を担当し、2021年より営業企画部で勤務。同部では、営業店時代の経験を生かし、SDGs応援ローンなど法人向け融資商品の企画に携わる。

米永 日菜子

米永 日菜子

株式会社電通九州

2021年株式会社電通九州入社。以来マーケティング・プランニング領域を担当し、2023年4月よりグロースマーケティング部から現営業部署へ異動。大学時代に石川県七尾市に数カ月間滞在し、地域活性化事業について学んだ経験も生かして、地元の鹿児島がある九州を盛り上げたいと奮闘中。

田中 稔大

田中 稔大

株式会社西日本新聞社

2009年株式会社西日本新聞社に入社。その後本社、東京支社で広告・企画業務に従事。2021年4月より現職。

山本 雄貴

山本 雄貴

RKB毎日放送株式会社

2018年RKB毎日放送株式会社に入社。以降、福岡を中心とするクライアントを担当し、テレビ・ラジオ・オンライン・事業などのさまざまな企画の提案・実行に従事している。

あわせて読みたい