カテゴリ
テーマ
公開日: 2023/05/09

今話題のマーケティングトレンドワード5:2023年5月

 

毎年頭にラスベガスで開催されているデジタルの見本市「CES」では、ヘルスケアや自動車産業などを中心にさまざまな最新テクノロジーが紹介され、トレンドを生み出しています。高齢者の抱える課題をデジタルで解決する「エイジテック」や、人にストレスを与えず、日々の生活へナチュラルに溶け込んでくれる「カームテクノロジー」などはその代表例です。テクノロジーの進化と共に、人とデジタルの関わり方が大きく変化しようとしている昨今。この記事では、今話題になっているトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。


 

349_エイジテック_re.jpg

 

高齢社会への切り札となるか?「エイジテック」に注目

 

日本や欧州などで進む少子高齢化。そんな中で世界的に市場規模の拡大が見込まれているのが、高齢者が抱える悩みや課題を解決するテクノロジー、「エイジテック」です。体調をモニタリングするサービスやオンライン診断など、健康に関わるサービスが代表的ですが、孤独化の防止に役立つアプリや生活支援ロボットなど、高齢者の暮らしに寄り添うサービスの開発も進んでいます。その他、顔認証による徘徊防止システムなど、介護者にとってもサポートとなるようなサービスも。こういった技術は高齢者のQOL向上につながることはもちろんですが、高齢者にとって使いやすいものは、他の世代にとっても使いやすいものである場合が多く、普遍性のあるサービスを生み出すきっかけになるという点でも価値があります。自社でどのようなアクションがとれるか考えてみてはいかがでしょうか。

日々、膨大な情報が生まれては消費されていく現代社会。集中力を奪われ、疲労やストレスを溜め込んでしまっている人も少なくないでしょう。そのような現状への問題提起として提唱されたのが「カームテクノロジー(穏やかな技術)」。生活に自然と溶け込み、人があれこれ思考を巡らせたり、意識を向けたりしなくても活用できるテクノロジーのことを指します。代表例としては、設定さえしておけば自動的に掃除を実行し、静かに充電スペースまで戻ってくれるロボット掃除機が挙げられます。その他、スマートスピーカーをはじめとしたIoTデバイスも、人の意識を過剰に奪うことなく、集中力の分散につながると期待されています。カームテクノロジーの考え方は製品開発に深く関連し、マーケティング施策やUI・UXデザインにも活用が可能です。今後のビジネスのヒントとして取り入れてみるのも1つの手かもしれません。

 


 

349_CASE_re.jpg

 

CASE」が導くクルマの未来。さらにはモビリティ業界を超える影響も

 

技術革新が進む自動車業界で、未来を象徴するキーワードの1つが「CASE」です。「Connected(IoT化)」「Autonomous(自動運転)」「Shared&Service(シェアリング・サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった言葉で、今後、自動車業界が進むべき方向性を示していると言えるでしょう。似たような言葉に「MaaS(Mobility as a Service)」がありますが、こちらは鉄道やバスなどモビリティー全体を1つのサービスに統合する考え方。対して、CASEは特定の業界における電動化の変革を表す言葉。最近では自動車産業だけでなく、建設機械やフォークリフト、産業用ドローンなど専門分野におけるモビリティーのCASE対応が進められています。また、一般旅客向けの水上タクシーでも、小型電動船を用いた自律航行システムの実証事件が始まりました。今後さらに広範囲に影響をもたらすと考えられる、自動車産業から始まったCASEの動向、継続してウォッチしてみては?

 


 

349_1-click checkout_re.jpg

 

BNPLが後押しに?「1-click checkout(ワンクリック決済)」がもたらす新たな購買体験

 

ECでの買い物は、商品を検索し、カートに入れ、個人情報を入力……とそれなりに手間が掛かるもの。そんなECでの購買フローを短縮するとして期待されているのが「1-click checkout(ワンクリック決済)」です。商品ページで購入ボタンを1回クリックするだけで、すぐに決済が完了するこの仕組みは、煩雑な手続きを省略することで、素早く購入したいユーザーと、購入を促進したいEC側の双方にメリットが生じます。大手プラットフォームが有していた特許が2017年に失効したことや、購入前のフリクションレスを実現する、という点で共通するBNPL(後払い決済)の流行などを契機として、アメリカを中心にスタートアップ各社が参入し、盛り上がりを見せています。まずは、その仕組みについて理解し、カスタマージャーニー最適化を考えるヒントにしていきましょう。

 


 

349_ジェネラティブアート_re.jpg

 

ジェネラティブアート」とNFTの新たな関係性とは

 

「ジェネラティブアート」とは、コンピューターのアルゴリズムによって機械的に生み出されるデジタルアートを指す言葉ですが、最近は、NFTの文脈で用いられることが増えました。AIにより、複数のパーツをランダムに組み合わせることで自動生成されるNFTアートは、「ジェネラティブNFT」とも呼ばれ、パーツの組み合わせ方次第で数千から数万に及ぶ膨大な数のコレクションを生み出すことができます。これまでは海外での人気が圧倒的でしたが、日本発の人気シリーズが登場したことで、国内でも注目を集めるようになりました。企業がジェネラティブNFTを発行した場合、そのアートにファンが集まれば出資が見込めるため、ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングに次ぐ新たな資金調達の手段としても期待されています。Web3.0の観点からビジネス展開を考える際の、1つの参考にしてみてはいかがでしょうか。


 

今月は、デジタルに関連性のあるキーワードを中心にご紹介しました。デジタルテクノロジーの発展は、デザインやアートの分野にもさまざまなトレンドを生み出しています。とりわけ、メタバースやNFTの普及に伴い注目されるキーワードが増えており、中でも「ジェネラティブアート」はその代表例と言えるでしょう。世界と比較し、日本ではまだこれから、という分野こそ、他社に先駆けて力を入れることで大きなインパクトを生み出せるかもしれません。

この記事は参考になりましたか?

この記事を共有

あわせて読みたい