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公開日: 2023/05/11

リモートワーク中にTeamsから宅急便が送れる。時代に求められる配送DXソリューションをヤマト運輸と連携し提供(前編)

リモートワークや在宅勤務を導入する企業が増える中、業務上必要な荷物を自宅など「オフィス以外の場所」から発送する機会が増えています。ただ従来の配送サービスを使う場合、「手元に送り状がない」「送り状を書いたり、経費を立て替えたりするのが面倒」といった問題が生じることも多いのではないでしょうか。

このような問題を解決すべく、株式会社 電通はヤマト運輸株式会社と、ビジネスパーソンがオフィス以外の場所からMicrosoft Teams(※1)を使って簡単に宅急便(※2)を発送できるソリューションを提供。現在、本格的なソリューション提供に向けて実証実験を行っています。そこで今回は、この事業の開発に携わった電通の清水福主氏と、佐藤憲政氏に話を聞きました。

送り状も経費の立て替えも不要。自宅や外出先から、仕事用の荷物を簡単に発送

株式会社 電通 清水 福主氏

Q.この度電通は、「Teamsから簡単に宅急便が送れるソリューション」をヤマト運輸と提供すると発表しました。このソリューションの概要や特徴を教えていただけますか。

清水:一言で言えば、ビジネスパーソンが仕事上で必要な荷物を、オフィス以外の自宅や外出先から、簡単に送ることができるソリューションです。Microsoft社のグループウェアである、Microsoft Teams(以下、Teams)を活用して、送り状を手書きで書かなくてもスマートフォンやパソコンに入力をするだけで簡単に宅急便の発送手続きができることが大きな特徴です。Teams上で送り先情報を入力すると、専用の二次元コードが作成され、最寄りのコンビニやヤマト運輸の営業所などで提示するだけで、宅急便を発送することができます。

佐藤:つまり、コンビニのレジで送り状を記入したり、荷物を送るためにわざわざ出社したりする必要がなくなるわけですね。配送費用は会社に一括請求されるので、配送料を個人が立て替え、後で経費として精算するといった手間もなくなります。総務など宅急便の利用を管理する側にとっても、データで利用状況を一元管理できることがメリットです。今までのように伝票を見ながら利用した部署に経費を振り分けたり、集計したりする必要がなくなり、生産性の向上につながるのではないかと考えています。

多様な働き方や生産性向上などのニーズにお応えし、幅広い方々に利用していただけるようなソリューションとして設計

Q.そもそもこのソリューションはどのような背景、経緯で誕生したのでしょうか。

清水:コロナ禍以降、リモートワークやハイブリッドワーク(※3)が普及したものの、オフィス以外で働く人向けに考えられた配送サービスが存在しませんでした。働き方が変わっているのに、配送サービスはまだそれに対応できていない。ヤマト運輸さまから、当初そのような課題意識を共有いただいておりました。

ヤマト運輸さまのご担当者も、知人から、「在宅勤務中に商品サンプルを会社へ送る際に、経費を自費で立て替えて月末に精算している」という声を聞いていたそうです。

そのためヤマト運輸さまでも、この課題を解決すべくさまざまな検討をされる中で、世の中のニーズを正しくつかみ、企業や社員の方々にどうしたら利用しやすくなるのかを見当する段階で、私たちにもお声掛けをいただきました。

株式会社 電通 佐藤 憲政氏

Q.実際にソリューションをつくりあげる上で苦労したこと、工夫したことを教えてください。

佐藤:私たちはこのプロジェクトにおいて、事業計画から実証実験の推進までを担当させていただいています。また、システム構築部分は、グループ会社の株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)が技術支援をしています。さらに電通とISIDのメンバーで運営事務局をつくり、企業へ当ソリューションの導入支援を行っています。

このようにヤマト運輸さまと連携して1つのビジネスモデルをつくることは、われわれにとっても新しい試みでした。特に、電通グループの中の多様な人材をいかにうまく巻き込むかがこのプロジェクトのカギだったので、その点は非常に大変でしたね。とにかく電通社内の部署のスタッフの話をよく聞き、プロジェクトの意義やメリットを粘り強く伝えることで、グループ内のさまざまなスタッフに協力していただくことができました。

清水:一般的に、社員が利用する配送サービスを管轄するのは、総務課や購買部の方々が中心かと思います。ただ私どもとしては、このソリューションのプレゼンスを高める上では、より幅広い組織、部門の皆さまにとって役立つソリューションにすることが重要だと考えました。コロナ禍における多様な働き方や生産性向上に対するニーズも非常に高まっていましたので、そういった面でのベネフィットも意識しながら、事業部門や、あるいは人事部のような方々も利用したくなるようなソリューションとして設計することが重要だと考えました。

物流という社会インフラを担うヤマト運輸さまと共に提供する新しい価値

Q.このソリューションは2023年1月末にリリースされましたが、その後の反響はいかがですか。

清水:思っていた以上に多くの企業から「導入したい」とのお問い合わせをいただいています。こちらが想定していなかったような業種も含め、幅広い方々が検討してくださっています。

佐藤:現在はまだ実証実験の段階で、利用者の声を集約しているところです。それをもとにさまざまな改善や調整を行った上で、本格的にソリューション提供を開始できればと考えています。

宅急便は、日本人の生活の中に定着し、社会への影響力が大きい重要なインフラと考えております。そんな宅急便に新しい付加価値を与えることで、さまざまな社会課題の解決に結びつけることが可能です。今後もそのような視点でソリューションを進化させていきたいと考えております。

 


 

「Teams」で宅急便は、リモートワークの普及をはじめとする働き方の多様化や、時代の要請に応じて生まれたソリューションです。後編ではヤマト運輸さまとのプロジェクトを通して学んだ、事業開発における重要なポイントなどについて話を聞いていきます。

 

※1 Microsoft、Microsoft Teams、Teamsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※2 「宅急便」はヤマトホールディングス株式会社の登録商標です。
※3 従来の出社型/オフィスワークと、自宅やシェアオフィスなどで働くテレワーク/リモートワークを組み合わせた働き方。

※掲載されている情報は公開時のものです

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著者

佐藤 憲政

佐藤 憲政

株式会社 電通

広告会社を経て2006年株式会社 電通入社。入社以来、食品、総合化学、運輸、ITサービスなどのクライアントを担当。企業やプロダクトの戦略プランニングから、オンオフ統合コミュニケーションプランニング、クリエーティブ、PR、スポーツビジネス、サービス開発など多岐に渡るビジネスをプロデュース。

清水 福主

清水 福主

株式会社 電通

株式会社 電通入社後、マーケティング・コンサルタントとして、製造業や金融機関のデジタル化を推進。その後、プロジェクト・マネージャーとして、グローバルIT企業のさまざまなサービスの国内展開を推進。2018年より、顧客企業の事業変革を支援する専門組織である、電通ビジネスデザインスクエアに参画。ビジネス・プロデューサーとして、顧客戦略を起点とした事業開発から、DX構想や業務改善に関するプロジェクトを推進。

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