5万人の気候危機インサイトから考える、今後日本が起こすべきアクションとは(前編)
カーボンニュートラルへの対応は、今や企業にとって重要な経営課題の1つです。しかし、2015年にパリ協定で掲げられた「世界の年間平均気温の上昇を産業革命以前と比べて1.5℃に抑える努力をする」という「1.5℃目標」がある中、2024年は産業革命以前と比べて観測史上最高となる約1.5℃の上昇を記録しました。近年の異常気象は私たちの生活を揺るがす社会課題であり、企業のさらなる対応と、具体的な成果が求められています。
株式会社 電通では、dentsu Japan(国内電通グループ)でサステナビリティに関するプロジェクトを推進する組織「dentsu carbon neutral solutions」を調査主体として、「カーボンニュートラルに関する生活者調査」を定期的に実施しています。本記事では、第14回調査(調査期間:2024年5月31日~6月3日)から得られたファインディングスを基点に、気候変動問題の第一人者であり本調査の監修を担当する東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり氏、「地球一つで暮らせる未来」の実現に向けて取り組む、一般社団法人SWiTCHの佐座マナ氏、「dentsu carbon neutral solutions」のプロジェクトリーダーである株式会社 電通グループの荒木丈志氏が、カーボンニュートラルに関して今求められる行動変容や企業が果たすべき役割について、前後編にわたって語り合いました。
5万人の意見をAIで分析。気候変動への関心の低さが浮き彫りに



多くの人の参加を促し、自分事化することが重要



行動変容を起こすには、教育とインセンティブが重要

行動変容を起こすスイッチは、人によってそれぞれ異なります。「dentsu carbon neutral solutions」では、今後の生活者調査を通じ、そのスイッチの在りかも分析していく予定です。後編では世界に目を向け、2024年11月に開催された「COP29」(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)の所感と、そこから見えた新たな課題について語り合います。
この記事は参考になりましたか?
著者

佐座 マナ
一般社団法人 SWiTCH
カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン大学院 サステナブル・デベロップメントコース卒業。Mock COP グローバルコーディネーターとして、140カ国の環境専門の若者をまとめ、COP26と各国首相に本格的な18の政策提言を行い、世界的な注目を浴びる。COP26日本ユース代表。COP28に日本政府団として参加。2021年、SWiTCHを設立。2023年、Forbes Japan 30 Under 30に選出される。現在は2025年大阪・関西万博に向け、100万人のサステナブルアンバサダー育成プロジェクトを推進中。

荒木 丈志
株式会社電通グループ
入社以来、パブリック領域の業務に従事。特に環境政策に精通し、脱炭素領域においては、中央省庁のみならず、民間企業への支援・連携案件にも数多く携わる。また、電通グループ自身や広告業界・マーケティングソリューションの脱炭素化に向けた「Decarbonization Initiative for Marketing」を立ち上げ、業界連携・横断での活動を積極的に推進中。

高村 ゆかり
東京大学
島根県生まれ。専門は国際法学・環境法学。京都大学法学部卒業。一橋大学大学院法学研究科博士課程単位修得退学。龍谷大学教授、名古屋大学大学院教授、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)教授などを経て現職。国際環境条約に関する法的問題、気候変動とエネルギーに関する法政策などを主な研究テーマとする。中央環境審議会会長、東京都環境審議会会長、サステナビリティ情報開示の基準を策定するサステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員、アジア開発銀行の気候変動と持続可能な発展に関する諮問グループの委員なども務める。再生可能エネルギー買取制度調達価格等算定委員会委員(2015年3月〜2024年2月。2021年3月からは委員長)も務めた。『環境規制の現代的展開』『気候変動政策のダイナミズム』『気候変動と国際協調』など編著書多数。

