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公開日: 2025/02/21

今話題のマーケティングトレンドワード5:2025年2月

 

世界情勢が複雑化する中で、国内でも少子高齢化や人口減少、物価高騰などが個人の生活に大きな影響を及ぼしています。こうした社会的・経済的な課題に対し、企業の取り組み方が問われる中、注目されるキーワードがいくつか登場。例えば、人口減少などに伴い交通インフラが不足する「交通空白」や、品質保証済みの中古品を低価格で提供する「リファービッシュ」などが挙げられます。これらのトレンドワードを理解することで、社会のニーズに応える新たなビジネスアプローチのヒントを得られるかもしれません。この記事では、今話題のトレンドワードを5つピックアップしてご紹介します。


 

 

移動手段が見つからない?全国的に広がるインフラ問題「交通空白

 

高齢化や人口減少が進む中で、深刻化している問題が「交通空白」です。「交通空白」とは、電車やバスなどの公共交通機関がすぐに利用できる距離になく、日常的な移動手段の確保が難しい場所のこと。ある試算によれば、住まいの1km圏内に駅やバス停がない地域を「交通空白」とすると、日本の全人口の約2%が該当するとされています。さらに、住まいの500m圏内に駅、300m圏内にバス停がない地域まで含めると、その割合は約20%に上ります。こうした状況は、地方や過疎地だけでなく、都市部でも発生しており、国土交通省を中心に対策が進められています。具体的な解決策としては、日本版ライドシェアの導入やマイクロモビリティの普及、さらにはコンパクトシティの構築などが挙げられます。これらの取り組みを進め、「交通空白」を解消するには、自治体や企業が連携し、テクノロジーを最大限に活用しながら知恵を集結させる必要があるでしょう。

企業の収益性向上策としてBtoB企業を中心に注目されているのが「RevOps(Revenue Operations)」です。「RevOps」とは、営業やマーケティング、カスタマーサクセスといった収益に関わる部署が連携することで、業務プロセスの効率化と顧客満足度の向上を同時に実現させ、収益最大化を目指す取り組みのことを指します。CRO(最高収益責任者)がチーム全体を統括し、統一された収益目標に基づいてKPIの設定やデータの共有・活用などを進めるのが一般的です。ある調査によれば、2026年までに米国の有力企業の7割以上が「RevOps」の導入を検討しており、既に導入した企業ではリード顧客の一元管理を通じて商談数が40%増加したといった成功事例も報告されています。日本でも収益性に課題を抱える企業が「RevOps」導入を検討する動きが広がりつつあります。早めの情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。

米国では新たな消費者セグメントを指す言葉が次々に生まれています。ミレニアム世代などで増えている「Henry(High earner,not rich yet)」もその1つで、「まだ富裕層とはいえない高所得者」を指します。以前取り上げた「Hifis」も所得の高い層ですが、違いとしては「Henry」は自らを「富裕層ではない」と捉え、承認欲求を満たすために贅沢をすることも好まず、堅実なお金の使い道を選ぶ点にあります。具体的には、実家暮らしで住居費を節約する、資産運用を自ら着実に行う、モノよりも体験を重視する、といった傾向があります。「Henry」は、購買力は高いため、企業にとって重要なターゲットといえます。しかし、彼らは質や体験に対して適正な対価を支払いたいというスタンスなので、贅沢さや豪華さを訴求する広告などは響きにくいと考えられ、「Henry」の特性を押さえた戦略が求められるでしょう。

「メンタルアベイラビリティ」は、日常の中であるブランドや製品が消費者にどれだけ「思い出されやすい」か、「フィジカルアベイラビリティ」は、思い出された際にどれだけ「アクセスしやすい」かを指す言葉です。オーストラリアの研究者が提唱した概念で、企業の売り上げ増加には両者を最適化することが重要とされます。「メンタルアベイラビリティ」を高めるには、特定のブランドを想起するきっかけとなるカテゴリーエントリーポイントを意識した広告展開などが有効とされ、「フィジカルアベイラビリティ」の場合は、チャネル戦略や店頭での見せ方、ECサイトのUX改善などが効果的な手法として挙げられます。前者はマーケティング部門、後者は営業が担当することが多く、先に取り上げた「RevOps」のような部署間の連携がカギといえるでしょう。自社のマーケティングやブランディングに課題を感じている方はこれらが突破口になるかもしれません。

 


 

 

低価格でサステナブルな新たな選択肢?「リファービッシュ」とは

 

CtoCプラットフォームの普及やサーキュラー・エコノミーの定着が進み、中古品に対する消費者の捉え方は大きく変化しています。こうした流れの中で、近年あらためて注目を集めているのが「リファービッシュ」です。「リファービッシュ」は、メーカーなどによる状態確認やテストを経て、返却された製品や中古品を新品に準じた状態に仕上げること、またはそうして仕上げられた製品を指します。最大のメリットは、新品より低価格でありながら、通常の中古品より状態が良い点です。ヨーロッパでは既にスマートフォンの約3分の1が「リファービッシュ」品というデータもあります。国内でもスマホをはじめ、家電製品の「リファービッシュ」品の販売が広がり、物価上昇や環境意識の高まりを背景に今後のさらなる普及が見込まれます。リユース品やリサイクル品の需要が高まる中で、SDGs関連のキーワードの1つとしてもこの動きを追っていきましょう。


 

今月は、社会や個人が直面する課題に関連するキーワードに加え、「RevOps」や「メンタルアベイラビリティ/フィジカルアベイラビリティ」など、企業のマーケティングやセールスにおける課題解決のヒントとなるキーワードも取り上げました。消費者の経済状況や価値観が多様化・複雑化し、従来の手法が通用しにくくなる中、企業にはこうした変化に適応した新たなアプローチの開拓が求められているといえそうです。自社製品に合ったマーケティング手法や、消費者ニーズや市場動向に基づいた戦略を模索している方は、ぜひ私たちにご相談ください。

※掲載されている情報は公開時のものです

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