連載:言葉の森No.11
言葉の森:11
2024/09/09
「視覚」を閉ざして深く内省し、他者と対話できる環境をつくることで、その人にとって大事な思いや根本的な考えが言葉として腹の奥底から出てくるのではないか。
2024年9月4日掲載
「見えない」から、見えてくる ブラインド・コミュニケーションとは
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そのように仮説を立てた電通PRコンサルティング・石井裕太氏は、「ブラインド・コミュニケーション」という手法に基づき、これまでにない新しいワークショップを開発した。ユニークなのは、参加者全員がアイマスクを着用すること。そして、ファシリテーターの助けを借りながら、自分の心の奥底に潜む言葉を探すことで、自分と向き合い、相手と語り合う。ワークショップは、企業のパーパス浸透や若者のキャリア支援に活用され、住民主体のまちづくりへの活用も期待されている。石井氏とともにワークショップの開発を主導したのは、2016年に視力を失い、現在はブラインド・コミュニケーターとして活動する石井健介氏。「見える世界と見えない世界をポップにつなぐ」ことを目指しているという。見える世界にいる者が、見えない世界に学ぶ。そんな社会が始まっている。