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公開日: 2026/03/23

企業トップが働き方の公平性を議論する「GCNJサミット2026」開催。dentsu Japanが取り組み事例を発表

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2026年1月27日(火)、国連大学本部ビルで「GCNJサミット2026-Fairness at work and home-」(以下、「GCNJサミット2026」)が開催された。

主催の一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下、GCNJ)は、国際社会が持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み「国連グローバル・コンパクト」のカントリー・ネットワークとして2003年12月に発足。本サミットには、GCNJが掲げる「公平な働き方」の実現に賛同する41社の企業の中から11社の経営トップが自ら出席し、働き方の公平性を妨げる「働く時間と場所の制約」と「家庭内の性別役割分担」について議論を交わし合った。なお、厚生労働省の共働き・共育て推進事業「共育(トモイク)プロジェクト」と親和性が高いことから、同省の後援を受けての実施となった。

長時間労働の削減は、組織設計の見直しから

サミットは、GCNJ代表理事を務める磯崎功典氏(キリンホールディングス 代表取締役会長CEO)の開会あいさつで開幕。

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GCNJ代表理事/キリンホールディングス 代表取締役会長CEO 磯崎功典氏

第1部では公平な働き方部会の座長を務める本島なおみ理事からの1年間の活動報告、東京大学大学院経済学研究科教授 山口慎太郎氏の基調講演「長時間労働に依存する組織は、なぜ競争力を失うのか― 『長く働ける人』を前提にしない組織設計」が行われた。

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GCNJ理事 本島なおみ氏

経営トップたちへ直接語り掛ける基調講演を行ったのは、労働経済学・家族の経済学が専門の東京大学大学院経済学研究科教授 山口慎太郎氏。山口氏は、長時間労働に頼らない環境づくりが企業の競争力を高めることを論じたうえで、その障壁となっている従来の配置・評価方式などを見直していく経営トップのコミットメントへ、強い期待を示しました。

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東京大学大学院経済学研究科教授 山口慎太郎氏による基調講演

柔軟な働き方を模索するdentsu Japanの取り組み

第2部は、dentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社長執行役員 佐野傑氏による事例紹介「dentsu Japanの『全員活躍』の取り組み」からスタートした。

「真のIntegrated Growth Partner」を目指すdentsu Japanでは、国内社員約2万3000人が個々の能力を最大限に発揮し、その力をチームとして掛け算することで価値を創造している。そのため、個人の成長、そしてチームの成長をHRミッションに掲げていると佐野氏は話す。

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dentsu Japan CEO 兼 電通 代表取締役 社長執行役員 佐野傑氏

個人の成長において、同社が重視するのはリーダーシップ。だが、dentsu が考えるリーダーシップとは、チームの先頭に立ち、スタッフを力強くけん引する資質のみではない。周りに対してポジティブな影響を与える、あるいは周りの人々の力を引き出すことをリーダーシップと定義し、人事評価においてもパフォーマンス(業績)とリーダーシップ(行動)の両方を重視していると明かした。

さらに、チームとしての競争力を高く保つべく、DEIを推進し、全員が活躍できる環境を整備。長時間残業を是とするカルチャーから脱却するため、チーフ・ダイバーシティ・オフィサーとチーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサーの2人を旗振り役に、DEIアクション創出独自プログラムの推進、キャリアパスの多様性促進などの変革を進めていると語った。

また、長時間労働に頼らず仕事の質を向上させる労働環境整備、時間や場所を柔軟に選べる働き方の推進、仕事と子育てを両立しながら活躍できる土台づくりにも力を入れている。その結果、2024年には法定外労働時間を2016年比で約65%削減し、1人当たりの営業利益は1.29倍に上昇していると明かし、労働環境改革による改善効果を印象づけた。

柔軟な働き方を加速させるカルチャーの醸成も、同社が注力するポイントだ。社員の「大切な人」である家族やパートナーらをオフィスに招く「オフィスカミングデー」、毎月1日の有休奨励日または特別休暇「リフレッシュホリデー」の設定、女性営業職が抱える課題を議論する6社横断「働きやすさNEXTプロジェクト」など、さまざまな施策を実施している。

こうした企業カルチャーを浸透させるには、マネジメント層の意識変革が不可欠である。そのため、dentsu Japanではグループ各社の幹部や中間管理職を対象に、継続的な研修を実施。DEIに関するアクション創出プラットフォーム「DEIパーク」、現GM(部長)と性別・年代の異なる未来GM(副部長)がペアで組織運営やリーダー育成を行う「ミライGM制度」、産育休復職支援プログラム「ふくサポ」など、実効性の高いアクションを各組織で行っていると語った。

こうした施策が功を奏し、オープンワーク社による転職・就職情報プラットフォーム「OpenWork」では、2025年「働きがいのある企業ランキング」で電通が1位、電通総研が4位を獲得。2024年には電通が「管理職が評価する企業ランキング」3位にランクインするなど、外部機関から高い評価を得ている。

企業風土の変化は数字にも表れており、電通の2025年の新入社員女性比率(正社員)は52.0%と男性を上回る結果に。女性管理職も増え、2025年時点で全体の15.0%に達している。また、男性従業員の育児休業取得率は、2024年に103.1%を達成し、男性の育休平均取得日数は67.1日に。女性社員の育休取得に対する理解も深まり、男女問わず活躍の場が広がっていると強調した。

2030年のゴールに向けて、さらなるアクションを

第2部後半のラウンドテーブルでは、公平な働き方について11社の経営トップが好事例や社内浸透の進め方、ジレンマなどの話し合いを行った。モデレーターは女性の働き方に関する発信の第一人者である、株式会社羽生プロ代表 羽生祥子氏。羽生氏は多くのワーキングペアレンツに向き合ってきた経験から、経営トップがコミットすることのインパクトの大きさを語り、参加した経営トップたちも「公平な働き方」の実現に向けた迅速な対応を改めて誓った。

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羽生プロ代表 羽生祥子氏


「GCNJサミット2026」経営トップ出席企業 (11社、五十音順)
岩瀬コスファ株式会社、花王株式会社、キリンホールディングス株式会社、KDDI株式会社、株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント、清水建設株式会社、住友化学株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、dentsu Japan(株式会社電通グループ)、株式会社BREXA Holdings、三菱電機株式会社

開催概要
名称:GCNJサミット2026-Fairness at work and home-
主催:一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン
開催日時:2026年1月27日(火)
会場:国連大学本部ビル

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