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公開日: 2026/07/08

「つながるPRIDE2026」を開催──トランスジェンダーの日常を描く映画「息子と呼ぶ日まで」を上映

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2026年6月16日(火)、dentsu JapanのつながるPRIDE事務局が主催する「つながるPRIDE2026」※1が開催された。2022年のスタートから今年で5回目を迎える本イベント。テーマは、「企業はLGBTQ+に関する課題にどう向き合い対応していくか」というものだ。

※1 「Online PRIDE」としてスタートし、2026年に「つながるPRIDE」へと名称変更。セプテーニグループ、電通PRコンサルティング、電通デジタルの3社が「個社にとどまらず、グループへ、そして社会へ広げていきたい」という思いのもと始まった。4年の間に賛同する従業員・dentsu Japan各社が増え、今では7社が参画している。「一つの取り組みが、人をつなぎ、企業をつなぎ、やがて『安心できる空気』を広げていく」べく、歩みを続けている。


当日は映画の上映に続き、監督・脚本を務めた黒川鮎美氏と主演の合田貴将氏によるトークセッションが行われた。会場には80人以上の電通グループ社員が集い、2人の言葉に耳を傾けた。

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映画「息子と呼ぶ日まで」……不動産屋で働くトランスジェンダー男性の翔太(翔子)は、カミングアウトをきっかけに田舎に住む父親と疎遠になっていた。社会で生きていく中で感じる偏見や違和感、家族との関係に悩みを抱えながらも、パートナーの絵美とともに自分らしい生き方を見つけていく。


本作は、トランスジェンダーの主人公が、現代社会に渦巻く差別と偏見の中で葛藤する姿と家族の絆を描いたヒューマンドラマ。黒川氏にとってLGBTQ+をテーマにした作品は2作目にあたる。主人公の翔太を演じるのは、トランスジェンダー当事者限定の一般公募オーディションで選ばれた合田貴将氏だ。

「真実がねじ曲がって伝わっている」──映画制作の出発点

トークセッションでは、黒川氏がまず制作の動機を語った。ソーシャルメディアやネットニュースでは、トランスジェンダーに対して「自分の権利ばかり主張している」といった否定的なコメントを多く見て、身近な当事者たちが抱く思いとの間には大きな温度差があると感じていたという。「映画を通じて、当事者が本当に困っていること、日常的な悩みを届けることが自分の使命だと考えて制作を始めた」と述べた。

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黒川鮎美氏 脚本・監督を手掛けたのは、同性婚をテーマにした映画「手のひらのパズル」に続き2作目となる。

合田氏はオーディションについて、「募集されていた役どころが、トランスジェンダーで、不動産勤務で、30歳くらい。このオーディションは自分のために開催されたのではないかと思った」と振り返る。自身の境遇と完全に重なっていたため、演技未経験ながらチャレンジを決意したという。

会場では、当時のオーディション映像を公開。映像の中で合田氏は、トランスジェンダーという言葉が世の中に広まるのは、ほとんどが炎上するときであると感じると率直に語っていた。その中で、「エンターテインメントを通して、トランスジェンダーにフォーカスを当ててもらえることに、当事者としてお礼を言いたいと思い応募した」と述べていた。

その真摯(しんし)な姿勢に、黒川氏は「たとえ映画を誰にも見てもらえなかったとしても、合田さんと一緒に作品を作りたい」と感じたという。

「言ってくれてありがとう」──家族へのカミングアウト

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合田貴将氏 「この映画を見て勇気が出る人がいる」と、監督への感謝とともに語る。

トークの内容は合田氏の実体験へと深まる。親へのカミングアウトは大学2、3年生のころ。就職活動や卒業を視野に入れる中で、避けては通れないと感じたという。

「仲のいい家族だからこそ、カミングアウトによって今まで築き上げてきた信頼関係が崩れてしまうと思い、なかなか踏み出せなかった」と話した。覚悟を決め、自分は性同一性障害で心は男性だと打ち明けた合田氏。両親からの第一声は、「言ってくれてありがとう。今まで気づいてあげられなくて申し訳ない。自分の人生だから好きにしていい」というものだったという。

話を聞いた黒田氏は、「生まれたときの性別=その子の性別ではないことを念頭に置き、子どもたちの選択肢を広げる教育を心がけてもらえるとうれしい」と続けた。

レインボーのシールが並んだオフィス──職場でのカミングアウト

続いて、合田氏の就職活動時の苦悩に焦点が当たった。

今よりLGBTQ+の取り組みが活発ではなかった10年前、男性として入社試験を受けるか女性として受けるかを悩み、結論を出せないまま大学を卒業した合田氏。卒業後も悩んだ結果、女性としてスカートとポニーテールで就職活動に臨み、野村證券から内定を得たという。

その後実施された1対1の面談の場で「心は男性のトランスジェンダーであり男性として働きたい」と伝えた。友人からカミングアウトをしたら内定を取り消された話も聞いていた合田氏にとって非常に勇気のいる相談だったという。その日の夕方には人事部から電話があり、「入社の対応については、むしろわれわれが合田さんから教えていただきたい。もちろん男性として入社してほしい」という回答を受けたそうだ。

迎えた入社初日。配属先のドアを開けると、支店長から2年目の社員まで全員がレインボーのアライ※2シールをパソコンに貼っていたという。不安を抱えていた合田氏は、カラフルになったオフィスを見て、「ここで男性として生きて、働いていけるのだ」と感じたと振り返った。

黒川氏は「さまざまな企業でレインボーグッズを取り入れる動きがある中、アライシールなど、LGBTQ+への理解や支援を見える化することで、当事者の居場所を作ることができる。生き方の選択肢がある世の中が、生きやすい世の中だと思う」と続けた。

※2 アライ=LGBTQ+のことを理解し、支援のために行動する人。英語の「ally(同盟、仲間、味方、支援者)」が語源。


知識より気持ち──アライ(ally)になるということ

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セッションの後、司会者が参加者を代表して「アライ活動を行う人とその活動への参加に躊躇(ちゅうちょ)する人のギャップを埋めるために、必要なことは何か」と問いかけた。

黒川氏は「LGBTQ+に関するすべての用語を答えられないとシールを貼ってはいけないというルールはない。誰かを思い、居場所を作ってあげたいと考えていること自体がアライであり、知識がなくても目の前の人を大切にすることがアライの本質だ」と答えた。

合田氏は、配属先のオフィスに新たに転勤してきた人の例を挙げた。「転勤者からは『このシールは何?』という問いを受けた。意味を伝えると理解が広がり、自らもシールを付けるという連鎖が生まれた。シールやストラップといった視覚的なアイテムは会話のきっかけにもなるため、そういうものを身に着けるところから始めるのも一つの手だと思う」と語った。

最後に、登壇者の2人が改めてそれぞれの思いを強調した。

「映画や本イベントの内容を共有し合ってもらえたらうれしい。プライド月間だけでなく、1年を通してLGBTQ+に目を向けてほしい」と黒川氏は語った。合田氏は「企業が取り組んでいるLGBTQ+の活動が、今まさに悩んでいる10代・20代の当事者に届いてほしい」という願いを述べ、イベントを締めくくった。

【開催概要】
名称:「つながるPRIDE2026」
主催:つながるPRIDE事務局
開催日:2026年6月16日(火)
会場:電通ホール

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