電通総研、「女性×働く」調査を実施
「仕事継続層」:「仕事中断・再開層」:「仕事中止層」の構成比は2:4:4
有職女性の9割以上に管理職志向なし
2015/03/30
調査を2014年12月に実施した。この調査は、働いた経験を持つ三大都市圏の20~59歳女性3,700名を対象に、働き続けること、再び働くこと、辞めることへの意識や実態などについて聞いたものである。*
調査結果では、働き続けている「仕事継続層」は全体の約2割を占め、一度仕事を中断し再開した「仕事中断・再開層」が約4割、仕事を辞めたままの「仕事中止層」が約4割であることが明らかになった。また、有職女性の9割以上(92.6%)に管理職志向がないことも分かった。 女性がより活躍できる社会を考える上で、特に以下の結果に注目している。
1.初就職時から働き続けている女性は約2割にとどまる。現在働いている・いないにかかわらず、働きたいと思っている女性は全体の約8割を占める。
(1)「仕事継続層」:「仕事中断・再開層」:「仕事中止層」の構成比は、2:4:4。
(2) 働きたいと思っている女性は、全体の約8割。
(3) 今後も勤務継続意向がある女性は、平均57.9歳まで働き続けたいと思っている。
2.働き続けることへの動機づけは、働く前から始まっている。
(4)「仕事継続層」が初就職時点で何歳まで働き続けたかったかの平均は43.6歳と、「仕事中断・再開層」の37.0歳、「仕事中止層」の33.3歳に比べて高く、働き続けている女性は初めから「より長く働きたい」と考えている。
(5) 働くことに関して、約半数(49.2%)が「母親」の影響を受けている。
(6) 自分の「母親」は、「仕事を続けるべきだ」という価値観と「働き続けるよりも結婚・ 出産、家事・育児を優先すべきだ」という価値観を合わせ持つと感じており、女性(娘)が働く際の価値観に「母親」が矛盾と戸惑いを与えている可能性がある。
3.働き続けている女性は、周りをうまく巻き込んでいる。
(7)働きながら子育てをしている「仕事継続層」の周囲には、配偶者・親などの家族、上司・同僚など、「仕事中断・再開層」より多くの「力になってくれる人」がいる。
(2) 働きたいと思っている女性は、全体の約8割。
(8)「イクボス**」の認知率は約2割にとどまるが、「イクボス」がいると働きやすくなると捉えている人は約6割に上る。
4.「私」に合うロールモデルがない。管理職を目指すだけでない、多様な選択肢が欲しい。
(9)女性が希望する雇用形態・勤務形態は人によって異なるが、個人の中でもライフステージの変化とともに変わっていく。
(10)働いている女性でも、9割以上(92.6%)が非管理職志向。また、過半数はロールモデルを欲しい と思っていない。
(11)「2030」(政府による指導的地位に占める女性の割合の数値目標)の認知率は44.5%にとどまる。また、女性管理職が増えるだけでは女性全体が働きやすくなるわけではない、と捉えている人が多い。
5.仕事を辞めたことのある女性の約7割は「退職してよかった」と思っているが、再就職を希望する人 が圧倒的に多い。再就職時は、キャリアよりも家庭の事情を重視。
(12)仕事を辞めたことのある女性の約7割(69.2%)は「退職してよかった」と思っているが、そのうち約半数(48.5%)は仕事を再開し、仕事を再開していない「中止層」でも約7割(68.2%)は「今後働きたい」と思っている。
(13)再就職時は「自分の経験やキャリアをいかせるか」(13.5%)よりも、「勤務場所」(64.6%)、「勤務時間」(63.4%)、「雇用形態」(47.4%)、「勤務日数」(45.0%)などを重視しており、家庭の事情を優先させていることがうかがえる。
電通総研では、女性が働きやすい社会や環境を考えることは、男性を含めたこれからの日本人の働き方やライフデザイン、企業のあり方のヒントになるのではないかと考えている。
*【本調査における言葉の定義】
・「働く」:何らかの形で収入がある状態を指し、パートやアルバイトも含む。
・「働き続ける」:初就職後、6カ月以上の中断がなく働いている状態を指す。
・「辞める(離職)」:6カ月以上の間、収入と雇用主による社会保障がない状態と定義。産休・育休・介護休業・療養休暇など、会社の制度で認められた6カ月以上の休暇は「辞める(離職)」ではないとした。
**「イクボス」:職場でともに働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことを指す。(出典:NPO法人ファザーリング・ジャパンHP)
■「女性×働く」調査概要
・調査対象:20~59歳の就業経験のある女性、3,700名
・調査対象エリア:首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、関西圏(京都府、大阪府、兵庫 県)、中京圏(岐阜県、愛知県、三重県)
・サンプル数は人口構成比に従い、下記のとおり割付
・調査時期:2014年12月19日(金)~21日(日)
・調査手法:インターネット調査
・調査会社: 株式会社 ビデオリサーチ
電通ニュースリリースhttp://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2015031-0330.pdf