広告主、CMタレント、旧友が華やかに祝う~TCC賞授賞式・HALL OF FAME 顕彰式
2015/10/30
東京コピーライターズクラブ(TCC)は10月23日、2015年度TCC賞授賞式と、HALL OF FAMEの顕彰式を、東京・千代田区のホテルニューオータニで開催。コピーで選ぶ広告賞として、TCCグランプリを獲得したTUGBOAT・多田琢氏、最高新人賞の電通・山本友和氏をはじめ、TCC賞 11作品、新人賞21人、審査委員長賞2人が表彰された。
広告コピーのクオリティーと社会的評価を高める上で顕著な功績を残した先達を称えるHALL OF FAMEには、仲畑貴志氏が選ばれた。
受賞作品、受賞者の一覧はこちら(TCC公式サイト)。
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一倉宏審査委員長は「TCC賞が例年に比べてかなり若返っている。受賞者たちが今の第一線のクリエーターであることをひしひしと感じた。次の世代がTCCを盛り上げてくれるのが楽しみだ」と総評。グランプリ作品は「ふたを開けてみたら圧倒的に強かった」、最高新人賞は「クライアントが言いたいことを全て詰め込みなおかつ世間の話題になったプロの仕事」と授賞の理由を述べた。
祝辞にはサントリー食品インターナショナル 食品事業本部 コミュニケーションデザイン部長・三好健二氏が駆け付け、グランプリ受賞の多田氏によるコピー「自分より強いヤツを倒せ。」(同社・ペプシネックス ゼロ)をたたえた。多田氏から同コピーの提案があった際には感動で泣きそうになったと言い「その後、見積もりを見せられて泣いた」と会場を和ませたが「ITTT(いいもの作れば高くて当然)」「安心してください、払いますよ」と流行語に乗せて祝意を表現。会場の笑いを誘った。
「あんちゃん! WAKEだよ! ドデカクつかおう。WAKEだよ!」(ダイハツ工業・WAKE)で受賞した最高新人賞の山本氏は、檀上で緊張の様子。7年間の営業セクション勤務を経てコピーライター5年目での受賞となった経歴を振り返り「夢のよう」と喜びを語った。
人生の各節目で山本氏を支えたという広告コピーを紹介し、自分もコピーライターとして責務を果たしていきたいと決意を述べた。またその一つが多田氏のコピーであったと明かして「あこがれを嫉妬に変えたい」と多田氏にスピーチをつないだ。
「自分より強いヤツ」をイメージして日々戦い広告を制作しているという多田氏は、広告主への感謝とともに「いろんな意味でいろんな人にこの言葉を解釈してほしい」と述べた。特に社会人となる息子たちに向けて「自分の敵を見つけて正々堂々と戦ってくれ」とのメッセージを込めたという。また、所属するTUGBOATの4人を受賞作CMのモチーフでもある桃太郎のパーティーにたとえ、メンバーへの熱い思いを語った。
続いてのHALL OF FAMEの顕彰式では、同選考委員会副座長のコピーライター・鈴木康之氏が登壇。TCC会長を務めて5期目・9年目となる仲畑氏だが、数年間の高い得票にもかかわらず、会長職を理由に受賞を拒んでいたという。「昨年、選考委員会で現役会長の殿堂入りを可能とする条項を加え、本人からもやっと承諾を得た」と選考過程を解説した。
仲畑氏へのサプライズとして、30年来の付き合いだという広告主、クレディセゾン・林野宏代社長と同社CMに出演した女優の武田梨奈さんが登壇。花束を贈呈した。
林野社長は「仲畑さんは経営の話をさせても超一流。その感性が広告制作の優れたセンスになっている」と仲畑コピーが「刺さる」理由を述べた。
仲畑氏は「表現者は弱い。だからいいことを掛け合わせていいことを表現する。するとデザイナーやクライアント、世の中が『よかった』と言ってくれる。いろんな人の拍手や声掛けを自分のパワーにして書いてきた。応援になる良いリアクションの最たるものが私にとってのTCCだった」とTCC新人賞を受賞した時代から振り返り、謝辞を述べた。
コピーライターの糸井重里氏もプレゼンターとしてサプライズ登場。仲畑氏と熱い抱擁を交わした。
糸井氏は「小さいころから付き合っているので景色みたいになっている部分もある」という仲畑氏を「仲畑くん」と親しみを込めて呼び、「良いコピーを探しているのではなくて、本当のことを探していて、それをコピーにしているのだと思う。仲畑さん自身の人柄もそうなので、ずっと付き合ってきた」と仲畑コピーの力と永年の友好を語った。
今回の受賞作品は『コピー年鑑2015』(宣伝会議)としてまとめられ、「コピーライターの日」である11月11日に刊行される。続いて開かれた発刊記念パーティーでは、受賞者らが和やかに杯を交わした。