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ad-fusion(アドフュージョン) 〜広告がメインコンテンツに!No.3

スマホでツッコミながら見るドラマ!?
〜さらに進化したアドフュージョンドラマ第2弾の話〜

2019/04/22

電通CDCの中尾です。

広告をメインコンテンツに融合させるという広告の新しい考え方、「アドフュージョン」。

その第1弾として2018年、フジテレビと共同でドラマと広告を完全に融合させた史上初のアドフュージョンドラマ「名探偵コジン」を企画。「そんなのできっこないよ…」「無理に決まってんじゃん」なんて声も聞こえてくる中、フジテレビとわれわれ電通チームが一致団結していろんな課題や障壁を乗り越え、6月に遂に無事放送することができました。おかげさまで、その年のACC賞メディアクリエーティブ部門ブロンズ賞を受賞しました。

大反響!予想を超えた広告効果だった第1弾

全く新しい試みで、放送前から日経新聞やヤフートピックスに載るなど、注目を集めたアドフュージョンドラマ。放送後の反響はさらに大きく、最終的にはさまざまなメディアに計40件以上の記事が掲載され、大きな話題となりました。

また、メインコンテンツのドラマと広告が融合することで期待した
・飛ばされない広告、どうしても見たい広告の実現
・高い興味・関心度、好意度、利用意向、推奨度の獲得

という新しい効果に関しては、放送後の調査(概要は末尾に)の結果、われわれの予想を超えた高い数値を残すことができ、今までのテレビCMとは異なる効果を発揮する新しい広告メニューとしての可能性を指し示すことができました。

調査①から「CM中視聴台数キープ状況」
調査①から「CM中視聴台数キープ状況」
調査②から「商品X 興味関心・好意度・検討意向・利用意向・推奨度」
調査②から「商品X 興味関心・好意度・検討意向・利用意向・推奨度」
調査②から「商品Y 興味関心・好意度・検討意向・利用意向・推奨度」
調査②から「商品Y 興味関心・好意度・検討意向・利用意向・推奨度」

その結果、テレビ、広告業界のみならず多くのクライアントからもご質問や次回実施のお問い合わせを頂き、今回、晴れて第2弾を制作、オンエアすることになりました!!!!

いや〜本当に感無量です!!!

調査②から「番組の感想」
調査②から「番組の感想」

第2弾で実現した二つの進化

でも、せっかく第2弾を実施するんだから第1弾と全く同じじゃつまらないです。「テレビとCMの新しい可能性を切り開く」なんて大きなことを言って取り組んでいる企画なので、やっぱり常に新しいチャレンジをしないと。

©フジテレビ 左から出演者の小池美由さん、紺野ぶるまさん、柳ゆり菜さん、おのののかさん、大後寿々花さん
©フジテレビ 左から出演者の小池美由さん、紺野ぶるまさん、柳ゆり菜さん、おのののかさん、大後寿々花さん

そこでわれわれは今回二つのチャレンジを実施し、さらに進化した新しいアドフュージョンドラマをつくることができました。

・スマホでツッコミながら見るドラマ
・さらに物語に深くアドフュージョンするドラマ

この2点が今回、進化したポイントです。

スマホでツッコミながら見るドラマとは?

分かりやすくいうと、ニコニコ動画みたいにリアルタイムで視聴者の意見がバンバン流れてくるドラマです。

アドフュージョンドラマの画面

さすがにニコ動みたいにメイン画面の中にツッコミが出ると、ドラマが見えなくなってしまうので、皆さんからのツッコミ投稿は画面の下に表示します。そして、リアルタイムに投稿されるドラマへのツッコミに対しては、主人公の#や番組の中の人の#からちょいちょいリプライして双方向の会話を生み出します。

一部のニュース番組やバラエティー番組など、視聴者のツブヤキが画面に出る仕組みは今までもありましたが、これをドラマで実施するのはおそらく初めてだと思います。なぜなら「やっぱり視聴者はドラマを集中して見たいでしょ!」って番組を制作する側の人たちも思っているから。

ところが、今回のアドフュージョンドラマ は一見タブーにも見える、ドラマ放送中にストーリー以外の情報である視聴者からのツッコミを画面に出すという挑戦をしました。実は、これにはある明確な勝算があったからなんです。

「スマホでツッコミながら見る」を可能にした若者の能力

その勝算とは、デジタルネイティブ、スマホネイティブな近頃の若者が獲得している二つの能力です。

それは…

・情報量に対しての膨大なキャパシティー
・圧倒的な情報処理能力、特に不要な情報をスルーする能力

今の若者はスマホを手に膨大な情報に触れ、常にそれを取捨選択しながら生きています。だから、1970年生まれの僕みたいな典型的なオジサンとは比べものにならないほどの情報量への高いキャパがあります。非スマホ時代にはあり得なかったほどのスピードで情報は消費され、話題はどんどん切り替わっていきます。そんな中で、彼らはあまりストレスを感じることもなく、その膨大な情報の中から自分の興味があることだけを素早く取捨選択する能力を身に付けています。

その中でも特に注目したのが、不要な情報をスルーする能力です。僕らオジサンは情報がそこにあると必要のあるなし、興味のあるなしに関わらず、どうしても気になってしまいます。しかし、スマホネイティブな若者たちは「既読スルー」なんて言葉が表しているように、興味がない情報や、必要ないと思ったことは平気で無視することができ、かつ必要なときだけ平気で関わることができるのです。

これって本当にすごい能力だと思います。だから、ドラマの画面の下にじゃんじゃんツッコミが入ってきても、興味があるときだけ反応して、それ以外の時は無視、つまりスルーできるはずだと考えました。

これから若者向けに広告やコンテンツを制作するときには、非スマホネイティブの自分基準ではなくて、こうした彼らの能力をより意識したつくり方をしていく必要があるし、それによって今までタブーとされていた新しい表現がどんどんアリになるのでは?と思います。

今回の広告は、物語に決定的な役割を果たします!

第1弾の制作を共に経験したことで、脚本家、監督、フジテレビの皆さんとのリレーションはより素晴らしいものになりました。そして、自分自身も作業を通じてものすごい数の広告脚本を書きまくったので、今までこの世に存在しなかった「ドラマ広告脚本」なるものの経験とスキルが結構たまりました。

そこで、第2弾のアドフュージョンドラマでは、第1弾以上に広告がドラマのストーリーと深く関わり決定的な役割を果たす!を目標に掲げ、実際にかなり高いレベルでそれを実現することができました。

でもこれは、僕が勝手に広告部分の脚本を書いても実現できることではなくて、ドラマ本編の脚本家の森さんと、監督の後藤さんの多大なるご理解とご協力があったからこそできたことなので、この場を借りてお二人には本当に感謝です!

というわけで、第2弾ではどれだけ広告がドラマにフュージョンできたのかをここで皆さんにご紹介したいと思います。

まずは、ドラマの概要から。

アドフュージョンドラマ第2弾「ザ・リアリティ・ショー」

それは、今流行の恋愛リアリティショーの頂点を目指したすごい番組。全てガチで「やらせ」一切なし!ハイスペック王子様をめぐって、5人の女子が恋愛バトルを繰り広げるべく、多額の予算を投じた高級別荘での1カ月の収録開始直後に事件は起こる…。

番組予算を管理していた一人のアシスタントプロデューサーが、予算の大半を持って消えてしまったのだ。この追い詰められた状況で、監督とプロデューサーは「2日で1カ月分全てを撮影する」、つまり「やらせ」で撮り切ると決断。果たして、こんな番組は成立するのか!?そして、参加者たちは幸せをつかめるのか!?

という設定のマストゴーオン(何があっても中止できない)型のラブコメディードラマです。

この物語の中で各番組提供スポンサーの商品と広告が大活躍します!

あっ、でもココからはネタバレ注意です!

オンエアを見逃した方は、ぜひFODの見逃し配信を見てから読んでください。もしくは以下の記事を読んで実際どんなふうにドラマに深くアドフュージョンしていたのかが気になった方も、ぜひFODでドラマを見て確認ください!

・東京建物「ブリリア」
超ハイスペックプリンスが暮らしているのが東京建物の都市型超高級ラグジュアリーマンションの「ブリリア」という設定。ブリリアのラグジュアリーさで、彼がどれほどの成功者なのか?を視聴者に分かりやすく伝えてくれる。と同時にそのシーンは全てブリリアで撮影しているので物語と深く融合したプロダクトプレースメントとしても機能している。

・サントリー「ザ・プレミアム・モルツ神泡サーバー」
制作費の持ち逃げが発覚し、もう番組の存続は不可能だと全員が諦めモード。なすすべもなく現場に差し入れられたプレミアムモルツを神泡サーバーで注いで飲む一同。しかしそのとき、神泡サーバーが自力で素晴らしい神泡をつくり出している様子を見た監督が、自分たちも自力で物語をつくり出せばよいと気付く。リアリティショーを「やらせ」に変えるという、この物語の大きな分岐点。

・エクスコムグローバル「イモトのWiFi」
「やらせ」の脚本を書いてくれるはずの脚本家の先生と連絡がつかない!と思ったら先生は海外にハネムーンに出掛けていた。一難去ってまた一難。今度こそもうダメかと思った時、何と先生はハネムーンにイモトのWiFiを持って行っており無事連絡がつく。以降はイモトのWiFiで先生から送られてきた脚本にしたがってリアリティショーの撮影を続行することに。

また、第1弾からの西村社長のドラマ出演のご希望については、番組エンドロールでの似顔絵出演という形で実現しました。

西村社長は、番組エンドロールでの似顔絵出演
©フジテレビ

・ロコンド
主人公の琴子が助監督の田宮に告白の演技指導をしてもらう。その際、琴子の緊張をほぐすためにロコンドのサウンドロゴに合わせてミュージカル風に歌う演技指導をする田宮。ロコンドのサウンドロゴの力で心を解放する琴子。楽しそうにロコンドのサウンドロゴに合わせて歌う二人の様子から、実は二人は恋に落ちてしまっていることが分かる。そして、やらせの脚本には書かれていなかった二人の真実の愛がこのドラマを思わぬ結末へと導いてゆく。

・サントリー「クラフトボスTEA」
最後の告白シーンで想像もしなかった事件が次々起こり番組はお蔵入りに。と思ったとき、春菜は「もっと自由でいいんじゃない?」のクラフトボスTEAの広告を例えに、琴子の恋愛ももっと自由でいいんじゃない?と彼女の背中を押す。クラフトボスTEAに勇気をもらった琴子は真実の愛に突き進み…クラフトボスTEAが、このドラマを思いもよらぬ結末へと導く。

いかがですか?

皆さんが想像していた以上に深〜くドラマのストーリーにアドフュージョンできていたでしょ?

だから、視聴者の皆さんにも、広告であることを忘れて、ドラマの一部として広告パートを心の底から楽しんで見ていただくことができるんです。そしてその結果、通常のテレビCMではあり得ないような高い興味・関心度や好意度、利用意向、推奨度を獲得することができるんですね。

オンエア中は大反響で、なんとTwitterのトレンドワードランキングで1位を獲得しました!!

以上が、さらに進化したアドフュージョンドラマ第2弾のお話です。

これからもアドフュージョンドラマ から目が離せないですよ!!!!

今度は皆さんの会社の商品やサービスで、アドフュージョンドラマしてみませんか?!

【番組概要】
■タイトル 「ザ・リアリティ・ショー~突然コマーシャルドラマ2~」

■放送日時 2019年4月19日(金)24時55分~25時55分 フジテレビにて放送
※放送直後より、FODで2週間無料見逃し配信実施

■出演者
柳ゆり菜、大後寿々花、おのののか、小池美由、紺野ぶるま、芹澤興人、土佐和成、JP、中山麻聖、渋谷謙人

■ストーリーテラー
滝藤賢一

■スタッフ
統括・広告脚本:中尾孝年(電通)、明松 功(フジテレビ)
プロモート:日高康宏、岸浪卓志(電通)
デジタル施策:多々良樹、宗像悠里(電通)
プロデューサー:関 卓也(共同テレビ)
監督・プロデューサー:後藤庸介
脚本:森 ハヤシ
企画:赤池洋文、野﨑理(フジテレビ)
制作著作:フジテレビ
制作協力:共同テレビ

【調査概要】
①「名探偵コジン」提供効果測定調査
・調査対象:関東1都6県 男女15~69歳、番組視聴者:500s ・番組非視聴者:500s
・調査時期:2018年6月20日(水)24:30~ 25:30 キャッチアップ:放送終了後~1週間
・調査方法:インターネット調査
・調査機関:電通、ビデオリサーチ

②「名探偵コジン」効果測定調査
・調査対象:関東1都6県 男女15~69歳 1350s   
・調査時期: 2018年6月22~26日
・調査方法:インターネット調査
・調査機関:電通