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経営戦略としての「人事」No.4

風通しのいい「人事」とは、なにか?

2021/11/29

経営戦略としての「人事」

ご自身のキャリアをベースに、企業のあるべき姿、形を提言しつづける八木洋介氏。八木氏が説くテーマを、一言で表すなら「人事改革」だ。人事改革なくして、企業の持続的成長などあり得ない。「人材こそが、わが社の宝である」と多くの企業は言う。しかしながら、その宝を「持ち腐れ」させてはいないだろうか?記事化にあたっては、八木氏ウェビナー(※)を聴講し、独自のインタビューも試みた。

老いも、若きも、男も、女も、他国の人々も。さまざまな個性が、ひとつの企業に集う。そのことの意味、そのことの楽しさ、そこから生み出される未来というものを、八木氏が顧問を務めるサイコム・ブレインズの取り組みからひもといてみたい。私たち一人ひとりは、ただ単に企業という「箱」に押し込められた「道具」ではないという思いを込めて。

文責:ウェブ電通報編集部

(※)サイコム・ブレインズによる「八木洋介氏と考える、これからの会社をリードする人事に必要な学び~ポスト・パンデミックの世界で勝つ~」と題されたウェビナー。詳細は、こちら

八木洋介氏: people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長) サイコム・ブレインズ顧問 1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
八木洋介氏:
people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長)
サイコム・ブレインズ顧問
1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
タイトル1

社員にとって居心地のいい組織、機能する組織のことは、しばしば「風通しのいい組織」と表現されるが、その正体とは一体、どういうものなのだろうか。八木氏とはビジネススクールの同窓生で、現在、サイコム・ブレインズ代表取締役社長として経営人材育成の分野で活躍する西田忠康氏は、このように語る。「企業にとって必要なのは、遠心力と求心力、といわれているんです」
会社や部署、肩書といったものに縛られることなく、自身の可能性やキャリアを外へ外へと広げていく「遠心力」と、自身が身を置いている組織や仲間への愛着ともいうべき「求心力」。この二つがない組織には、人の心をドライブする力がないのだ、と。明るく自由闊達(かったつ)な組織、といったような精神論ではなく、このように説明されると合点がいく。

タイトル2

同じことを八木氏は、このように説明する。「オフィスや会議室の、いわゆるお誕生日席でやっていることといえばハンコを押しているだけ、みたいなおじさん、いますよね?あんな人は、本来、要らないんですよ。組織の風通しを悪くしているだけ」
幸か不幸か、リモートワークを始めてみて、誰もがそのことに気づいてしまった。「会議室のお誕生日席で、ふむふむ、とか言っている分には、それなりに格好がつきますよ。でも、リモート会議でそんなことをしていたところで、なんの価値もない。この人、なにも考えていないんだな、ということが、誰の目から見ても明らかだからです」

タイトル3

経営や人事を考える際には、風通しをよくすることもそうだが、時代の風を読むことも必要だ。風あたりの強さや、風の向きといったものは、常に一定ではない。その変化にいち早く気づいて、明日への対応策を講じる。それができない企業が、持続的に成長していくことなどできはしない。
それは、いわゆる「空気を読んで、差し障りのないことを、無難にこなしましょう」というものとは違う。むしろ、真逆の発想ではないか。大切な作物(社員)を守るために、この位置に防風林を設置しよう。金など、いくらかかろうと構わない。今、それをしなければ、うちの畑は荒れ果ててしまう。そうした発想で、人事というものを考えている経営者が、果たしてどれほどいるのだろうか?ということだ。

サイコム・ブレインズによる講座は、こちら。

CCBP育成講座
~個のキャリアを支援し組織を強くする変革リーダーを育成する~

次世代戦略人事リーダー育成講座

■講師コメント(酒井章氏)

新型コロナによって起こったことは「キャリア・ショック」と呼ばれています。働き方をめぐるさまざまな環境変化に加え、在宅を余儀なくされたことで、多くの人がこれまでの、そしてこれからの人生や働き方を深く考えたのではないでしょうか。誰もが自分のキャリアに不安を持ついま、キャリア支援を行う人の役割がますます重要性を増しています。本講座は、このようなニーズに対応し、他の講座には見られないような多彩な講師陣からの豊富で多角的なインプットに加え、職種も世代も多様な参加者との刺激的な切磋琢磨(せっさたくま)によって、これからのキャリア支援職に必要とされるマインドとスキルをアップデートすることができます。

■講師コメント(山口周氏)

これまでの「正解」も「定石」も通用しなくなったいま、人に求められる要件も劇的に変化しました。それは、問題を自ら発見できる「意味」のある人です。一方、仕事に対するやりがいでは世界でも最低ランクに位置づけるなど、日本人の働き方は異常な状態に陥っています。そして、新型コロナという未曽有の事態の到来によって、潜在的に起こっていたこのような問題があらわになりました。いまこそ、企業における最大の資源である人財を生かすキャリア支援職の皆さんの出番ではないでしょうか。こうした問題意識に基づいて立ち上げられた本講座の理念に賛同し、講師として参加させていただきます。これからの働き方やキャリアをより良くする志を持った皆さんとディスカッションさせていただくのを楽しみにしております。


本記事の作成にあたっては、八木洋介氏に筆を入れていただくとともに、電通OB酒井章氏(クリエイティブ・ジャーニー 代表/電通アルムナイ・ネットワークマネージャー)に監修を依頼しました。

酒井章氏が代表を務めるクリエイティブ・ジャーニーのHPは、こちら

酒井章氏:
電通に入社後、コピーライター、営業(自動車担当)、マーケティングプロモーション部門を経て2004年よりシンガポール(アジア統括オフィス)に駐在。11年帰任後はグローバル部門を経て人事局、キャリア・デザイン局でキャリア開発施策を担当。19年3月定年退職後、4月に起業。

酒井章氏と電通キャリア・デザイン局(当時)大門氏によるアルムナビでの対談記事は、こちら