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経営戦略としての「人事」No.3

潤いのある「人事」とは、一体なんだろう?

2021/11/08

経営戦略としての「人事」

ご自身のキャリアをベースに、企業のあるべき姿、形を提言しつづける八木洋介氏。八木氏が説くテーマを、一言で表すなら「人事改革」だ。人事改革なくして、企業の持続的成長などあり得ない。「人材こそが、わが社の宝である」と多くの企業は言う。しかしながら、その宝を「持ち腐れ」させてはいないだろうか?記事化にあたっては、八木氏ウェビナー(※)を聴講し、独自のインタビューも試みた。

老いも、若きも、男も、女も、他国の人々も。さまざまな個性が、ひとつの企業に集う。そのことの意味、そのことの楽しさ、そこから生み出される未来というものを、八木氏が顧問を務めるサイコム・ブレインズの取り組みからひもといてみたい。私たち一人ひとりは、ただ単に企業という「箱」に押し込められた「道具」ではないという思いを込めて。

文責:ウェブ電通報編集部

(※)サイコム・ブレインズによる「八木洋介氏と考える、これからの会社をリードする人事に必要な学び~ポスト・パンデミックの世界で勝つ~」と題されたウェビナー。詳細は、こちら

八木洋介氏: people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長) サイコム・ブレインズ顧問 1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
八木洋介氏:
people first 代表取締役(前LIXILグループ執行役副社長)
サイコム・ブレインズ顧問
1980年京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社に入社。96年National Steelに出向し、CEOを補佐。99年にGEに入社し、複数のビジネスで人事責任者などを歴任。2012年にLIXILグループ 執行役副社長に就任。Grohe, American Standard, Permasteelisaの取締役を歴任。17年 people firstを設立して、代表取締役。TBSホールディングス 社外取締役、GEヘルスケア・ジャパン 監査役。その他複数の会社の顧問に就任。著書に『戦略人事のビジョン』。
タイトル1

前回の取材で、「戦後レジームからの脱却」というヒントを、八木氏から教わった。人事畑(ひとのはたけ)の例えでいうなら、太陽光の降り注ぐ先祖伝来の農地の土壌改革にまず取り組め、ということだ。長年、ほったらかしにされた土地にいくらタネをまいたところで、作物がすくすくと育つわけがない。
ところで、畑をつくるとなると、誰でも思いつくことがある。水だ。豊かな水を確保しなければ、畑は干上がってしまう。そこに日本企業の「油断」や「慢心」はないのだろうか。
戦後レジュームからの脱却に必要なのは、この痩せた土地では、しょせん、たいした作物などつくれない、という思い込みを捨てること。その土地の持っているポテンシャルと本気で向き合えば、ひょっとしたらパパイヤが育つかもしれない、マンゴーが実るかもしれない、という発想。それには、人事畑(ひとのはたけ)というものを、単なる制度ではなく、システムとして見直すことが必要。そうなると、ポイントの一つに「水」が挙げられる。

タイトル2

不思議なことに、日本人には、水はタダ同然みたいな思い込みがある。でも、例えば戦国時代の国づくりで一番重要なのは、治水だったはず。飲み水や農業用水を確保することも大事ですが、川の氾濫を抑える、といった広義の意味での「治水」。これをやらなければ、システムとして農地は機能しない。いまどきの言葉でいうなら、水を治めることなくして、サステナビリティを確保することはできない、ということだ。
人事畑(ひとのはたけ)における「水」とは、なんだろう?経験かもしれない。発想力かもしれない。それらを有効に生かすための水車をつくる技術なのかもしれない。人事というものを、「人を育て、人を実らせる畑のようなものだ」と捉えた場合、自然と向き合う農業従事者のような経験と技術と心構えが必要だと思う。水だけではない。肥料もやるし、植え替えもする。その手間をいとわないからこそ、豊かな実りが生まれる。

タイトル3

組織というものは、ほうっておくと痩せていくものだ、と八木氏は指摘する。豊かな田畑の風景を見ると、都会の人間は「ああ、のどかだなあ」などとのんきな感想を持ってしまいがちだが、とんでもない。その豊かさを維持するために、どれだけの労力がかけられているか、ということに思いをはせなければならない。組織改革も、同じようなものではないだろうか。そこそこ手を入れたから、ああ、これで人事部の役目は終わった、ということではない。
水の例えをつづけるなら、やみくもに水をまいていたのでは、作物によっては根腐れを起こしてしまう。そこが、人を育てるということの難しさだということだ。もちろんこの連載も、まだまだ終わらない。

サイコム・ブレインズによる講座は、こちら。

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■講師コメント(酒井章氏)

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本記事の作成にあたっては、八木洋介氏に筆を入れていただくとともに、電通OB酒井章氏(クリエイティブ・ジャーニー 代表/電通アルムナイ・ネットワークマネージャー)に監修を依頼しました。

酒井章氏が代表を務めるクリエイティブ・ジャーニーのHPは、こちら

酒井章氏:
電通に入社後、コピーライター、営業(自動車担当)、マーケティングプロモーション部門を経て2004年よりシンガポール(アジア統括オフィス)に駐在。11年帰任後はグローバル部門を経て人事局、キャリア・デザイン局でキャリア開発施策を担当。19年3月定年退職後、4月に起業。

酒井章氏と電通キャリア・デザイン局(当時)大門氏によるアルムナビでの対談記事は、こちら