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公開日: 2023/09/12

プラットフォーム事業社のデータ活用で、デジタル販促はますます進化する。「SP COMPASS」で実現する、効果の最大化(後編)

デジタルを用いたキャンペーンを実施する際に、どれだけ参加者が見込めるかをシミュレーションできるシステム「SP COMPASS」。株式会社 電通株式会社電通デジタルが協同で開発したこのシステムは、デジタル販促の効率化、最適化がかなう電通グループ独自のソリューションです。

前編に引き続き、開発に携わった電通の福田真大氏と、電通デジタルの飯野花音氏が登場。「SP COMPASS」の可能性や、今後の展望などについて話を聞きます。

エンドユーザーの動きが見えると、販促が変わる

Q.「SP COMPASS」はどのような課題を抱えている方に活用してほしいとお考えですか?

飯野:まずは、「キャンペーン設計を改善していきたい」「限られた予算で最大限できることを知りたい」といった要望をお持ちの方々に、利用いただきやすいシステムだと思います。セルイン(販売店などへの納品)とセルアウト(エンドユーザーによる販売店での購入)のうち、セルインの情報しか得られていない企業も少なくない中、誰がどんなふうに買ったのかという顧客データは、大きな販促の材料になります。

一方で、自社のCRM(顧客管理システム)内に会員のデータを持っている企業もありますが、そのデータをしっかりとキャンペーンの展開に活用できているかというとそうでない割合が高い、というのが実情かもしれません。プラットフォーム事業者が提供するデータクリーンルームによって分析できるデータは、さまざまなSNS、決済サービスなどとつながるものも多くありますから、これらを活用できれば、デジタル販促への認識が、「シールやレシートなどで応募するアナログな販促施策と並ぶ、または代替する、販促施策の中の1つの手段」から、「企業とお客さまとのつながりを創る手段」へと、ガラリと変わると考えています。

株式会社電通デジタル 飯野 花音氏

Q.キャンペーンの実績がない企業は、何から手を付ければいいのかが分かりませんよね。そうした企業も、「SP COMPASS」でデータを蓄積していけば、キャンペーン精度を高めていくことができる、ということでしょうか。

飯野:そうですね。例えば年中何かしらのキャンペーンを展開していて、自社の中に「大体こうなるだろう」というパターンを持っている、という企業もいらっしゃいます。ただ、新しいデジタル販促施策が出てくる度に、設計やインセンティブの流行も移り変わっていきます。インセンティブに反応するお客さまだけではなく、反応してほしいお客さま像が存在する中で、SP COMPASSを起点にプランニングしていきたいと考えます。他には、年に数回しかやらないとか、そもそもやったことがないという企業は、「どうすればいいか分からない」という状況に陥りがちではないでしょうか。そのようなデータ蓄積されていない企業にも活用が可能なのでぜひとも「SP COMPASS」を試していただきたいと思います。実際、手を動かしてデータを分析するのは電通グループのプランナーですので、デジタルにはまだ自信がない……という企業であっても、問題なく導入していただけると思います。

福田:キャンペーンを実施するに当たって、「どれくらい売れるのかが分からないと、決裁が下りづらい」という話もよく聞きます。そうした場合に、「SP COMPASS」をフックにしていただくこともできるかもしれません。実際にキャンペーンを実施する前にシミュレーションができるのは、大きな強みだと思いますし、各企業の担当者の方々にも歓迎していただけるのではないでしょうか。

効果を改善し続ける「デジタル販促」にするために

Q.販促がデジタル化してきている中で、販促領域の変化をどのように感じていますか?

飯野:「デジタル販促」の意味をしっかりと理解しないと、せっかくのいい企画も、どこでどのように展開するかで全く効果が変わってくる世界になっていると感じています。「デジタルキャンペーン」という言葉がありますが、これは、単純にスマートフォンなどのデジタルツールを使って応募をしやすくする手法のことを示す言葉だと私は思っています。それだけだと、応募してくださったお客さまとつながりが得られるのに、それをどう活用するか?という課題が残ります。

一方で、「デジタル販促」は、そこに参加してくださったお客さまたちの情報を同意の下お預かりし、キャンペーンを繰り返せば繰り返すほど、その情報は蓄積されていきます。それを正しく活用すれば、その後アプローチしていきたいお客さま像に、どんな企画なら参加率が高まるか、プロモーションをどう展開していくかなどを、精緻に割り出すことができるのです。デジタルだからこそ蓄積できるお客さまデータを活用するかしないかで、販促領域は全く手応えの異なるものになっていくと思います。

福田:よくクライアント企業と議論のポイントになるのですが、デジタル上のキャンペーンであっても、お客さまがキャンペーンに応募したら終わりではなく、むしろその後のつながりを大切にし、いかにクライアント企業とお客さまとの間に分断を起こさないかを考えなければいけないのではないか、と思います。デジタル販促は、お客さまとのつながりをつくるための手段ですし、そこで得られたつながりを、お客さまにとっても良い体験になるように活用していくことが重要と思います。効果が高いキャンペーンというのは、お客さまのニーズや嗜好にあったキャンペーンでもありますから、「SP COMPASS」は、お客さまとの関係をより良いものにしていくためのソリューションとも言えると考えています。

株式会社 電通 福田 真大氏

Q.リリースしてから半年が経過したところですが、「SP COMPASS」を今後、どんなふうに使ってほしいとお考えですか?また、これからどのように展開していきたいですか?

飯野:まずは、より効率的で効果的な販促施策を実現したいと考えている全てのプランナーに大いに活用してほしいですね。電通と言えば広告というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、「SP COMPASS」を通じて、電通グループはデジタル販促にも強みを持っている会社だということを多くのお客さまにご理解いただけるといいなと思っています。

そして、「SP COMPASS」は、データを蓄積しながらアップデートしていくことで、より販促施策に貢献できるソリューションへと進化していくものですので、実際のデジタル販促の現場でたくさん使って、フィードバックもいただきながら、一緒に作り上げていきたいです。まだ企画は固まっていないけれど、「こんなプロモーションをしたい」とか「こんなことはできるか?」と言った相談ベースの問い合わせも大歓迎ですね。

福田:飯野さんがおっしゃられた、クライアント企業に対して「SP COMPASS」でできることは何なのかを、相互にディスカッションできたらいいなと思います。

単純にご提案している設計をどうするのかという話でもいいですし、「SP COMPASS」が導いた分析結果について「こんなふうに読み解いたのだけれど、合っていますか?」とか「これはもっとこうした方がいい」という話でもありがたいです。とにかく、「SP COMPASS」を「ただのシミュレーション結果が表示されるだけのシステム」で終わらないように、さまざまな形で活用いただけるようにアップグレードを進めていきたいと思っていますので、そうしたキャッチボールをたくさんできたらうれしいですね。

飯野:このように各社さまと取り組ませていただいているデータクリーンルームによって、データを活用してより良いマーケティング施策を実施していきたいと思っています。

 


 

従来のアナログ販促とは大きく異なり、デジタル販促の進歩によって、キャンペーンを実施して終わりではなく、結果をデータとして蓄積することができるようになりました。「SP COMPASS」はもちろん、さまざまなシステムやサービスをうまく活用して、販促の効率化、最大化とともに、お客さまとのつながり方を考え続けていきたいものです。

※掲載されている情報は公開時のものです

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著者

福田 真大

福田 真大

株式会社 電通

国内IT系コンサルティングファームで、クライアントの基幹システム構築、運用やERP、CRMパッケージ、サービスの導入プロジェクトに幅広いフェーズで従事。その後、BtoBマーケティングサービスを展開する国内ベンチャー企業での、カスタマーサクセス、および、マーケティング活用のための企業データの収集・分析業務を経て、電通に入社。 現在は主に、システム構築・運用やデータ調査・分析の経験を生かして、大手プラットフォーマーのData Clean Roomを活用した広告や販促施策等の効果分析や、ソリューション開発に従事。

飯野 花音

飯野 花音

株式会社電通デジタル

2016年株式会社 電通入社。プロモーション局にてオンライン施策(デジタル動画広告・キャンペーン)とオフライン施策(流通対策)をシームレスに提案する統合プランナーとして従事。その後、事業協創局にてプラットフォーマーと協業し新しいソリューション開発プロデューサーとしても従事。2020年より株式会社電通デジタルに参画、培った経験を生かし国内大手プラットフォーマーデータを活用したOMO施策でクライアントのDX推進に貢献。

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