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公開日: 2023/10/10

「働きがいのある会社」7年連続選出。イグニション・ポイントが従業員エンゲージメントを維持できる理由(前編)

企業の成長において、社員1人ひとりが誇りとやりがいを持って仕事に臨む「従業員エンゲージメント」の向上は不可欠です。とはいえ、モチベーションの高い人材を育てるのは容易ではなく、多くの企業が課題を感じているのではないでしょうか。

そんな中、企業のイノベーションや変革を支援するイグニション・ポイント株式会社は、Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)が認定する「働きがいのある会社」ランキングで7年連続ベストカンパニーに選出されています(※)。設立9年目の同社は、どのようにしてエンゲージメントを向上させ、高いレベルを維持しているのでしょうか。インタビュー前編では、共同創業者 兼 代表取締役社長の末宗喬文氏にその秘訣を語っていただきます。

社員が「ゆたかさ」を感じられる会社を目指して

Q.イグニション・ポイントは、従業員エンゲージメントの高い企業として実績を出し続けています。末宗さんは、従業員エンゲージメントをどのように定義していますか?また、その重要性についてどうお考えでしょうか。

末宗:従業員エンゲージメントは、社員の働きがい、やりがいであり、事業の成長において非常に重要だと考えています。エンゲージメントが高い組織の方が優れた人材が集まり、パフォーマンスも向上するはず。従業員エンゲージメントを重視したことが、弊社が現在の規模まで急成長できた1つの要因だと思っています。

イグニション・ポイントの企業理念は、「ゆたかな人生のきっかけを」です。そこには、「世の中をイノベーションによってゆたかにしたい」、「社員がゆたかさを感じられる会社にしたい」という2つの思いを込めています。この理念を体現するために、職場環境や各種制度を整えるとともに、毎月エンゲージメント指数をモニタリングしています。

イグニション・ポイント株式会社 末宗 喬文氏

Q.従業員エンゲージメントのモニタリングは、いつごろからどのように行っているのでしょうか。

末宗:創業したばかりの頃は定量的調査を行っていませんでしたが、社員が増え、組織が大きくなるにつれてその必要性を感じるようになりました。そこで、エンゲージメントを数値化して把握できる「エンゲージメントサーベイ」や「組織改善サーベイ」といったツールを使い、毎月の調査でエンゲージメント指数をモニタリングするようになりました。月に一度という高頻度でのモニタリングは特例だったのですが、サービス提供会社との調整を重ねることで実現することができました。

常に先手を打ち、社員が納得できる制度を整備

Q.創業から9年目ですが、既に7年連続「働きがいのある会社」に選ばれています。なぜ長期にわたり、従業員エンゲージメントを高いレベルで維持できているのでしょうか。

末宗:組織の状態は、目まぐるしく変化します。特に急成長企業の場合、半年、1年も経てばフェーズが変わり、もはや違う会社と言っていいほど。従業員の心理も1カ月で激変するため、常に先手を打つことが大事です。毎月のモニタリングにより、問題が見つかったらすぐにアクションを起こす。そして、社員が納得できる制度、仕組みに整えていく。その積み重ねに勝るものはないと思います。

市場的にも人材流動の激しい急成長企業では、職場環境や制度をきちんと整えなければ優れた人材がどんどん流出してしまいます。その危機感があるからこそ、従業員エンゲージメントを向上させようという意識が高いのかもしれません。

例えば、プロジェクトの進行状況を見ながら、場合によっては参画メンバーを思い切って変えるということも、必要に応じて行っています。また、直属の上司には言いづらい仕事の悩み、中長期的なキャリアなども気軽に話せるよう、「パフォーマンスマネージャー」という相談役を設置し、2週間に一度の頻度で1on1ミーティングを行っています。そこでもし問題が見つかれば、上長に判断や指示を仰いだり、対応を要請したりすることもあります。

Q.組織においては、仕事のパフォーマンスと部下のマネジメント能力が一致しない人材もいるのではないかと思います。仕事のパフォーマンスが高くても、マネジメント能力に難がある、といった人材像についてはどのようにお考えでしょうか。

末宗:そうですね。昔は「俺について来い」型のリーダーが多く見られましたが、今は時代が違います。ピープルマネジメント(仕事の成果ではなく、従業員1人ひとりの成功や成長にコミットするマネジメント)に長けた人材が、リーダーにふさわしいと考えています。

ただ、それも状況によります。例えば組織の規模がまだ小さい時やゼロからイチを生み出す段階では、かつてのような突破力のあるリーダーが求められることもあります。同じタイプのリーダーばかりそろえても多様性のない組織になってしまうため、組織の規模に応じてリーダーを育成・アサインすることが大事だと思います。

Q.イグニション・ポイントでは、マネージャークラスの方々にピープルマネジメントの重要性が根付いているのでしょうか。どのように意識を高めたのでしょう。

末宗:従業員エンゲージメントは、OKR(Objectives and Key Results:「達成目標」と「主要な成果」を設定し、企業やチーム、個人が同じ重要課題に取り組むための目標管理手法)の目標設定にも入っているため、マネージャークラスにとってピープルマネジメントのスキルは必須です。

評価に関しても、成果に基づく「ロール&レスポンシビリティ評価」、会社のバリューに基づく行動を取っているかという「バリュー評価」の2軸で行っています。こういった制度から、意識が根付いていったのではないでしょうか。

Q.他に、従業員エンゲージメントを向上させるための制度や取り組みはありますか?

末宗:イグニション・ポイントは、コンサルティング事業の中でも新規事業の開発を強みとしています。こうした特性上、弊社には「いずれは自分も起業したい」「自らプロダクトやサービスを立ち上げたい」という社員が少なくありません。そこで設置したのが「CXOチャレンジ制度」です。

これは、自分自身で事業を立ち上げてCEOになったり、自らが手を挙げてジョイントベンチャー(複数の企業が出資して立ち上げた新しい会社)の経営幹部になったり、当社が立ち上げたサービスの責任者になったりできる制度です。このように、幅広いキャリアパスを提供することも社員の働きがいにつながっていると思います。

 


 

企業理念「ゆたかな人生のきっかけを」を体現するため、社員1人ひとりの働きがいを重視するイグニション・ポイント。毎月のモニタリングによる課題の発見と迅速な改善、社員のチャレンジ精神を後押しする各種制度などにより、高い従業員エンゲージメントをキープしています。インタビュー後編では、モチベーションの高い人材を育てる方法、マネジメント層に向けたアドバイスをお伝えしていきます。

※ 2023年「働きがいのある会社」調査 中規模部門(従業員100~999名)の企業カテゴリーにおいて。

※掲載されている情報は公開時のものです

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著者

末宗 喬文

末宗 喬文

イグニション・ポイント株式会社

慶應義塾大学経済学部卒業。アクセンチュア株式会社、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社を経て、イグニション・ポイント株式会社設立、取締役副社長を経て代表取締役社長に就任。経営コンサルタント、コンサルティング事業責任者として新規事業立ち上げ、デジタルトランスフォーメーションなどの多数の案件に従事。創業から一貫しイグニション・ポイントグループのマネジメントを担い、グループの事業拡大を推進中。

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