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(左から)伊藤健一郎 コピーライター、小林麻里絵 コピーライター、中山計 コピーライター、石川眞吾 PRプランナー、大川淳子 PRプランナー、高橋慶生 コピーライター、庄形和也 プロデューサー、中西夏奈子 コピーライター、廣瀬大  コピーライター

現代は情報があふれる時代、変化のスピードが速い時代です。だからこそ、その企業らしい言葉、その企業しか言えない言葉、その企業の本質が表れた言葉の重要性が高まっています。

私たち電通メッセージング・パートナーズは、 パーパス・ミッション・ビジョン・バリューなどの企業理念、そして経営トップ自身が発信するスピーチライティングなどを担う専門チームとして発足しました。コピーライターに加え、PRプランナー、プロデューサーといった多様なバックグラウンドをもつメンバーが「メッセージング・パートナー」の名刺を携え、活動しています。

この連載では、われわれチームのオリジナリティや専門性、さらにはこれからの「経営トップのメッセージング」のあり方について、ていねいにお伝えしていきたいと思います。

「企業理念」「トップメッセージ」……。経営にとってとても重要な言葉が、 “確たる方法”もなく “毎回、手探り”で作られてきた。

はじめまして。電通メッセージング・パートナーズの中山計です。私からは「経営の言葉」である「トップメッセージ」の価値とは何か、といったことを「電通メッセージング・パートナーズ」のユニークネスとともにお伝えしたいと思います。

「企業理念なんかより売り上げ」「トップメッセージなんてただの言葉」。そんな乱暴なことを言う経営者は、今時、いらっしゃらないと思います。

ますます変化の激しくなる時代だから、意思決定の軸となる企業理念の重要性が増しています。優れた人材を企業同士で奪い合う時代だから、社員のエンゲージメントを高め、社員の力を引き出すトップメッセージの大切さが増大しています。経営にサスティナビリティ(持続可能性)が求められる時代だから、長きにわたり価値を生み出し続けるパーパスの意義が高まっています。
パーパス・ミッション・ビジョン・バリューなどの「企業理念」や「トップメッセージ」、つまり「経営の言葉」こそが、何十年にわたり企業を成長させ続ける原動力である、と考える経営者も多いのではないでしょうか。

しかし、その一方で、これらの言葉をクオリティ高く(ここでいうクオリティとは言葉の表面上の洗練を指しているわけではありません)生み出す「プロセス」の重要性を自覚している経営者の方はどれほどいらっしゃるのでしょうか。ましてや、その言葉を生み出す「方法」を熟知している経営者の方は、どれほどいらっしゃるのでしょうか。

「社長就任から半年、新社長としてのメッセージを全従業員に発信したいが、誰の力を借りていいかわからない」「年度始めに大方針を発表したいが、経営企画に考えさせるか?」「社員の意見も取り入れたいので、若手社員を集めてワークショップでもやらせてみるか?」

企業を持続的に成長させ続けるために極めて重要な「経営アジェンダ」である「トップメッセージ」の開発が、あまりにも行き当たりばったりに行われている状況を私たちはたびたび目にしてきました。そこで「企業にとって重要なトップメッセージは、それにふさわしいプロセスと専門性のもとに行うべきではないか」という考えのもと、長年にわたりさまざまな企業の経営層の方々に提供してきたノウハウを集約し「トップメッセージ」の開発支援を専門に行うチーム「電通メッセージング・パートナーズ」を組織化しました。


「企業の中に」潜在する価値は「企業の中から」では発見しづらい。 だから「電通メッセージング・パートナーズ」が存在します。

「専門組織」というと「御社はこんなメッセージを出すべきです」と、企業の外から小ぎれいでしゃれた言葉を押しつける人たち、といったイメージを抱かれる人がいるかもしれませんが、それは全くの誤解です。企業経営の根幹に関わる言葉は、その企業独自の歴史とDNA、そしてその企業ならではの未来の可能性を踏まえて、その企業の「内」から生み出されるべきものだからです。

その一方で、企業の内部にある価値や宝は、企業の内部からは見つけづらい、という構造的な問題があります。一つ一つの企業に存在する、その企業独自のユニークな価値を抽出し、独自の理念に昇華させるには、外部のプロの視点と独自のノウハウが必要であることも、また事実なのです。

「どうして私たちの根幹にある価値を言いあてることができたのですか?」
ご支援をさせていただいた経営者や経営層の皆さまから、プロジェクトの後にこのような言葉をしばしば頂戴しますが、私たちがやっていることは特別なことではありません。それぞれの企業が、それぞれの企業の歩みの中で培ってきたその企業独自の価値と未来の可能性を、埋もれている地層の中から丁寧に掘り起こし、それを言葉によって目に見える形で顕在化させているに過ぎません。それぞれの企業がすでに持っている価値ある原石を、地下深くから発掘し、磨きあげ、提示する。私たち電通メッセージング・パートナーズのやっていることは、鉱物の発掘や土木作業に近い仕事と言えると思います。

電通は長年の広告事業の中で、商品に内在する(商品開発者さえも気づいていない)価値を発掘し、それを可視化し世の中に「これを求めているのではないですか?」と差し出し、社会の人々から共感を得る。そんな技やノウハウを磨いてきました。その技を、単体の「商品」ではなく、さまざまな事業を展開する「企業」全体に置き換えて、内在する価値を可視化する活動を行うのが「電通メッセージング・パートナーズ」の仕事だと考えていただくと、わかりやすいかもしれません。

「人的資本」「社会関係資本」……企業の持続的成長にとって不可欠な「目に見えない価値」を育てるのも「経営の言葉」の仕事です。

「人的資本」「社会関係資本」という言葉を最近よく耳にします。それはきっと「会社を持続的に成長させていくためには、お金以外にも“目に見えない大事な価値”があり、それを育てることが経営の重要な役割なのだ」という考えが経営の「常識」になりつつあるからなのだと思います。しかし、その“目に見えない大事な価値”はどうやって育てるのでしょうか。その鍵こそが、「人」の「共感」であり、人の共感を生み出す源泉となるのが経営トップの発信する「トップメッセージ」なのだ、と私たちは考えます。

「企業がどこに向かおうとしているのかわからない」そんな従業員の不安な気持ちを前向きな一つの希望に束ねるのも「トップメッセージ」の力。「この会社を信じていいかわからない」そんな外部のステークホルダーの不安感を払拭し、ファンに変えるのも「トップメッセージ」の役割なのだと思います。

「法人」という言葉がありますが、優れた「企業理念」や「トップメッセージ」は、企業の「人格」を如実に体現するものであるべきです。企業の「人格」を体現する「トップメッセージ」だからこそ、社員との「つながり」を強くし「人的資本」を蓄えることができる。社会に暮らす多様な人々との「信頼」を深め「社会関係資本」を豊かにすることができる。そう思うのです。

一般的なコンサルティング会社にはない変革の解像度。それは「人の心を動かす」ことにこだわる、電通のユニークなアプローチから生まれます。

私たち電通は、すでに単なる「広告の会社」ではありません。「商品を売る」を支援する領域にとどまらず「企業の成長」を支援する領域に(つまりコンサルティング領域に)、活動の範囲を広げているのが実態です(すでに売り上げの30%以上をしめるまでにいたっています)。このコンサルティング領域における私たち電通の、他にはないユニークな特色、それは「どうしたら人々の共感を生み出すことができるのか」「どうしたら人の心は動くのか?」にとことんこだわり、現実の変化を解像度高く設計するアプローチにあります。

経営も、企業も、組織も、社会も、全ての活動は「人」が行っており、その「人の心」が動かなければ、何も動かないし、何も生まれないし、何も変わらない。その厳然たる事実に向き合うことから、人の心を動かす力を持った「トップメッセージ」が生まれることを、私たち電通メッセージング・パートナーズは経験の中で熟知しています。

人々の気持ちを見失った独りよがりな経営者の発言によって、いとも簡単に社会からの信頼を失うこともある。そんな時代だからこそ、人の共感を生み、人の熱量ある行動を生みだす「トップメッセージ」の役割と意義は、ますます増大していくことでしょう。そしてその役割と意義に応えられる「共感の専門家」が求められるのだと思います(電通メッセージング・パートナーズのメンバーに、コピーライターとリスクコンサルティング経験の豊富なPRプランナーがいることはその理由からです)。

「経営の言葉」をもっと磨くことで、企業の持つ「目に見えない資本」をもっと豊かなものにしたい。「経営の言葉」にもっと力を注ぎ込むことで、企業に眠るポテンシャルを、もっと未来へ解き放ちたい。「一つひとつの企業が持てる力は、こんなものじゃない」。そんな想いを共に、私たち電通メッセージング・パートナーズは、企業の可能性とこの国の未来を信じて、今日も、企業に眠る素晴らしい価値の「発掘作業」をコツコツと行っています。

電通メッセージング・パートナーズ
Email:messaging@dentsu.co.jp

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著者

中山 計

中山 計

株式会社 電通

10年以上にわたりさまざまな経営者に寄り添い、企業理念、社長メッセージの開発、インナー/アウター双方への企業ブランディングの戦略・実行、企業成長の物語化など、未来に向けた企業変革の根幹に関わる仕事に従事。その中で、独自のMVV開発メソッド、企業文化変革の方法を磨き上げ、経営層への支援プロジェクトは数十にのぼる。

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