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今、注目されるポジティブプラットフォーム「Pinterest」の価値とは?

成田 敬

成田 敬

ピンタレスト・ジャパン合同会社

松田 健太郎

松田 健太郎

株式会社 電通デジタル

画像や動画を起点に、アイデアやインスピレーションを見つけるグローバルなプラットフォーム「Pinterest」。近年、国内でもPinterestを活用するユーザーの勢いが増す中で、ブランドや広告主、メディア各社からの注目が高まっています。本連載では「Pinterest活用最前線」と題し、プラットフォームの特性やマーケティングでの活用、クリエイティブの工夫までを多角的にひもといていきます。

第1回は、ピンタレスト・ジャパン マネージングディレクター/日本代表の成田敬氏と、Pinterestと広告主とのパートナーシップを担う電通デジタルの松田健太郎氏が、Pinterestが今注目される理由や、他のSNSとは異なる使い方や特徴について語り合います。

(左から)ピンタレスト・ジャパン マネージングディレクター/日本代表の成田敬氏と、Pinterestと広告主とのパートナーシップを担う電通デジタルの松田健太郎氏


全世界で月間6億人、国内1280万人が利用するプラットフォーム

松田:はじめに、改めてPinterestのサービス概要やユーザー層について教えてください。

成田:Pinterestは、ユーザーが日々の暮らしの中で役立つアイデアを見つけ、実際に行動やショッピングにつなげていくためのプラットフォームです。コンテンツは企業やメディアがみずから投稿しているものや、クリエイターによるオリジナルコンテンツ、そしてユーザーがウェブ上で見つけた画像を保存したものなど、さまざまなコンテンツの集合体によって構成されています。

松田:グローバルでの利用者数はどのくらいですか?

成田:現在、世界では月間6億人(※1)のユーザーにご利用いただいており、レシピやファッション、美容から、季節イベント、結婚式、引っ越しといったライフモーメントに至るまで、幅広いテーマでアイデアを投稿していただいたり、探していただいたりしています。

人と人とのつながりが主軸のSNSとは異なり、Pinterestの特徴は、「自分がこれからやってみたいこと」や「買いたいもの」のアイデアを見つけて実行に移す場である点です。自分自身に向き合う探索型のプラットフォームと言えるかもしれません。ニールセン調べでは日本でも月間利用者数は1280万人(※2)に達しており、順調に伸びています。

※1 出典:Pinterest 2025 Q3 Earningsレポート
※2 出典:Nielsen Mobile Netview 利用者数、日本、2025 年3月現在
 

 

松田:どのようなユーザー層が中心になっているのでしょうか?

成田:もともとはミレニアル世代が中心でしたが、近年はZ世代のユーザーが大きく伸びています(※3)。国内ではファッションやインテリア、美容といった定番のカテゴリーのアイデア探しに加えて、推し活にPinterestを活用するケースも目立ってきました。

たとえばK-POPや日本のアイドルなど、推しの画像を集めたり、世界観を楽しんだりと、非常に積極的に活用されています。また、日本では一人あたり年間12カテゴリーものテーマでアイデアを探しています。ファッションやインテリアだけでなく、旅行、アート、レジャーなど、多様なジャンルを横断的に活用していただいています。

※3 出典: (1)Global Web Index、日本、2024年1月-12月、Pinterestの月1回以上のユーザー (このデータは第3者機関のデータに基づいておりPinterestの実際のユーザーデータとは異なる場合があります)
 

松田:若年層の利用方法で特徴的な点はありますか?

成田:検索のスタイルが大きく変わってきていることが挙げられます。生成AIを活用した検索も広がっていますが、それ以上に「ソーシャルからの検索」や「画像ベースの検索」が日常化しています。ファッションやメイク、ヘアスタイルなどは言葉よりもビジュアルで探した方が早くて分かりやすいため、ニーズが高まっているのです。

また、先ほどの推し活も含め、個人が自分のライフスタイルを豊かにするために使っている傾向が強く見られます。これは日本に限らず、グローバルでも共通している特徴です。

Pinterestは「ポジティブプラットフォーム」

松田:Pinterestのユーザー体験について、もう少し踏み込んでお聞きしたいと思います。私自身、K-POPが好きで、推しのビジュアルを楽しみたいときにPinterestをよく使っています。また、趣味のサーフィン道具を収納するためのラックのDIYアイデアを探すときにも、Pinterestがとても役立ちました。

このように、Pinterestは「パーソナルな空間」という印象で、そこが他のSNSとは大きく違うと感じています。SNSの多くは誰かとのコミュニケーションや、今起きていることの共有が中心ですが、Pinterestは自分のためのアイデア探索に集中できる。その意味では、音楽を聞くときのような感覚に近いかもしれません。気分を整えたり前向きにしたりするために音楽を聞くように、Pinterestもポジティブな状態をつくるために自然と訪れる場所になっているのではないかと。このような気分との親和性を持つプラットフォームは珍しいと感じていますが、その点についてはいかがでしょうか?

成田:まさに、今お話しいただいたような「ポジティブでパーソナル」な体験は、Pinterestならではの価値だと感じています。Pinterestには5000億件以上のピンと、100億件以上のボードが存在しています(※4)。それらの膨大なピンを画像解析で認識し、一人一人に合わせてAIが最適なアイデアを提案する技術が優れており、今興味を持っているジャンルだけでなく、まだ気づいていない「これから好きになりそうな」アイデアも含めて、幅広くレコメンドを行っています。

特にファッションやインテリアのように言語化しづらいテーマでは、画像ベースの直感的な探索体験が力を発揮します。ユーザーが「これ、いいかも」と思えるアイデアと出合えることは、ポジティブな気持ちを引き出すきっかけにもなっていると思います。

※4 ピンは、お気に入りの画像をブックマークする印。ボードは、ピンした画像を保存するフォルダー。出典:Pinterest内部データ、グローバル、2024年1月
 

 

松田:たしかに、Pinterestには「人と比べる」という視点がありませんよね。他のプラットフォームでは、ユーザー同士の交流が活発な一方で、自分と他者を比較しやすい構造になっている側面もあると思います。Pinterestは、自分自身の「好き」や「こうありたい」といった感情に自然と向き合える設計になっていますよね。

成田:各プラットフォームがそれぞれ異なる役割や魅力を持っている中で、Pinterestは「自分の未来に向き合う時間を支える」ことに重きを置いています。たとえば、Pinterestではバズっているコンテンツや多く見られているものが優先的に表示されるのではなく、ユーザーが「これは自分に合っている」と感じてボードに保存したアイデアを中心に体験が構成されていきます。Pinterestは自分の気持ちとていねいに向き合える場所として、多くの方に選ばれているのだと思います。

松田:心理学や行動経済学の研究でも、ポジティブな感情状態が人の思考を拡張し、気分と一致する情報を受け入れやすくなる、という知見があります。Pinterestのような設計思想を持つプラットフォームでは、広告に対しても心理的な抵抗感が少なく、自然に受け入れられやすいのではないかと感じています。UIのデザインも含めて、全体的に心地よい体験として整っているからこそ、広告であっても違和感がなく、「このブランドもいいな」「これも試してみたいな」と思わせる力があるのではないでしょうか。

安心感とシームレスな体験が広告媒体としての強み

松田:ここまでPinterestのユーザー体験や設計思想について伺ってきましたが、社会的な評価という点ではどのような反響や実績があるのでしょうか?

成田:2024年に、アメリカのタイム誌で「世界で最も影響力のある100社」に選出されました。これは、ユーザー数の拡大やZ世代(16~24歳)を中心とした浸透という点だけでなく、私たちがプラットフォーム全体としてポジティブで安心できる体験を重視している点が評価された結果だと受け止めています。もちろん、すべてが完璧というわけではありませんが、それぞれのユーザーが自分らしく、心地よく使える環境づくりを意識していることが、ソーシャルメディアの在り方としても注目されているように感じます。

松田:タイム誌の選出は非常に象徴的ですね。ほかにも、ポジティブな心理状態がユーザーにもたらす影響について、何か事例はありますか?

成田:2023年に、カリフォルニア大学バークレー校と共同で行った調査では、大学生にPinterestを1日10分程度使用してもらったところ、リラックス効果やメンタル面でのポジティブな影響が見られたという結果が出ています(※5)。この調査結果も、Pinterestが情報過多な日常の中で、自分の「好き」や「やりたいこと」に向き合える場所として機能していることを示していると思います。

※5 出典:https://business.pinterest.com/blog/positivity-research-pinterest-berkeley/
 

松田:広告媒体として捉えたときにも、Pinterestがもたらす安心感は大きな価値だと感じます。特に、ブランドセーフティの観点で信頼されているという点は重要で、企業にとって広告が好意的に受け取られる環境にあるというのは、ブランドイメージを大切にする広告主にとっては大きな魅力です。単に炎上しづらいというだけでなく、ユーザーがポジティブな心理状態でいるからこそ、広告への態度も前向きになる。そうした効果は、実際に想起リフトなどのデータにも表れていますよね。

成田:はい、ポジティブな心理状態で広告を見ていること、そして何よりPinterestでは広告もアイデア探しにつながるコンテンツであることが、広告の視認性や効果測定の観点でも、非常に高い結果が出ています。さらに、Pinterestはユーザーがアイデアを発見する段階から、実際の購買までをシームレスにつなげることができる、という点も強みの一つです。

もちろん、各プラットフォームがそれぞれ異なる形でフルファネル対応をされていますし、どれが優れているという話ではありません。ただPinterestにおいては、「画像」というビジュアルベースの入り口があることで、たとえば「気になるインテリアの雰囲気」から、自然な流れでその商品に出合い、購入に至ることができます。

松田:まさに、ユーザーの最初のひらめきから最終的な決断までを一貫してサポートできるのがPinterestの面白さですよね。特に最近は、コラージュのように自分の好きな画像を集めて表現する若い世代も増えていて、そこに広告が違和感なく溶け込む設計は非常にユニークだと感じます。UIや導線設計の面で、ショッピング体験に寄与している工夫があれば教えていただけますか?

成田:一つは、EC企業のカタログと連携することで、販売している商品のピンを自動生成できる仕組みがあります。自分の探していたアイデアの中に、自然な流れで商品が登場し、そこからスムーズに購入につながるケースもあります。

また、Pinterestでは、商品の魅力をより引き出すために、AIが商品に合った背景画像を自動生成するクリエイティブ機能を提供しています。ユーザーの好みや商品のテイストをAIが判別し、その世界観に合うシーンの中で商品を見せる仕組みです。たとえば椅子であれば、椅子単体の画像だけでなく、実際の部屋のインテリアに置いたイメージを見せることで、ユーザーは「自分の暮らしに合いそう」と、具体的に想像しやすくなります。

言葉にならない欲求を形にする、「ビジュアルサーチ」の価値

松田:続いて、Pinterestならではの「ビジュアルサーチ」の価値について、さらに詳しくお聞きできればと思います。Z世代を中心に、テキスト検索だけではなく画像検索=ビジュアルサーチを利用するユーザーが増えてきています。従来の検索エンジンが「明確に知りたいことの答え探し」に強いのに対して、ビジュアルサーチは「なんとなくこういう雰囲気」といった、まだ言語化できていない段階でのニーズに寄り添える。その中でも特にPinterestは、1枚の画像から連鎖的にアイデアが広がっていく体験がありますよね。近いものも出てきますし、あえて少し外した提案が出てくるのも面白い。まさにセレンディピティが生まれやすい設計になっていると感じています。

成田:おっしゃる通りで、ユーザーの目的や検索シーンによってツールを使い分ける時代において、Pinterestが担っているのは「ビジュアルを通じて直感的に発見できる検索体験」です。私自身も生成AIを用いた検索をよく使いますが、生成AIはプロンプトの設計が重要で、目的がはっきりしていないと正確なアウトプットにたどり着きにくいという側面があります。

一方でPinterestは、ファッションやインテリア、メイクアップのような「言葉では伝えにくい」テーマに強みがあります。色味や質感、世界観といった感性的な要素において、ビジュアルベースの探索は圧倒的に有効です。さらにPinterestはこの領域に15年以上取り組んでおり、独自のAIによる高精度なレコメンド技術も含めて、画像から始まる発見体験において独自のポジションを築いてきたと自負しています。

松田:私自身もそれを感じた瞬間がありました。先ほど少しお話ししましたが、サーフボード用のラックのアイデアを求めてPinterestで検索していたときに、カヌーラックの画像が出てきたんです。それがかえって理想的な構造だったので、「これをベースにできるかも」と思ってさらに検索すると、今度はアメリカの農具収納の画像が出てきました。それらを組み合わせていくことで、自分の理想のラック像が自然と形になっていったんです。こうした視覚的に組み合わせていく思考こそ、Pinterestのビジュアルサーチならではの体験だと感じました。

成田:まさにそういった発想の広がりこそが、Pinterestの醍醐味(だいごみ)だと思います。ビジュアルだからこそ国や言語を超えて直感的に伝わる部分もあり、日本のユーザーの中には「もっと日本の画像を増やしてほしい」という声もありますが、同時に「海外のアイデアも参考になる」という声も多いです。

実際、アドビの調査(※6)では、Z世代の約39%がPinterestを検索の起点として使っているという結果も出ています。世界的に見ても、画像から発想を広げる検索行動は若年層のスタンダードになりつつあるのではないでしょうか。

※6 https://www.adobe.com/express/learn/blog/pinterest-as-a-search-engine
 

松田:今回のお話を通じて、Pinterestが「検索」という行動に対して新しい可能性を切り開いていることを改めて実感しました。直感的で自由度が高く、それでいて深い発見につながる。この体験設計には、今の時代に求められている本質が詰まっているように思います。次回は、そうしたPinterestの強みを生かした広告戦略について、より具体的にお伺いできればと思います。

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著者

成田 敬

成田 敬

ピンタレスト・ジャパン合同会社

マネージングディレクター 日本代表

三井物産、AOLアドバタイジングジャパン、アマゾンジャパンを経て、2021年にピンタレスト・ジャパンに入社。アマゾンでは、広告事業の営業本部長として、広告主営業、代理店パートナーシップ、アドテクノロジーの各事業を主導。ピンタレストでは日本事業の責任者として、日本市場における同社広告ビジネスの立ち上げ、事業拡大をけん引。

松田 健太郎

松田 健太郎

株式会社 電通デジタル

プラットフォーム部門

部門長補佐

独自の広告ソリューション開発を経て、2020年よりMetaとの連携を推進。2022年にソーシャルプラットフォーム部長となり、ソーシャルプラットフォームのパートナーシップを管掌し、総合SNSマーケティング支援組織「Social Connect Group」を設立。現在、プラットフォーム部門 部門長補佐としてプラットフォーマーとの連携を推進。

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