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公開日: 2026/03/10

インドで成功する日本企業の共通点と、電通とドリームインキュベータの競争力

加形 拓也

加形 拓也

株式会社 電通

 葛西 悠葵

葛西 悠葵

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社

守本 剛

守本 剛

DENSO INTERNATIONAL INDIA

西岡 到

西岡 到

ドリームインキュベータ


世界最大の人口を誇り、急成長を続けるインド市場。企業にとっては魅力的な市場であるが、その国土・人口規模の巨大さ、市場の複雑さゆえの難しさがあり、参入には高度なローカライズ戦略が必要である。そこで、電通とドリームインキュベータは、現地の生活者理解とビジネスプロデュース力によって日本企業のインド市場進出やインドにおける新事業開発を支援するソリューション「Go-to-India Solutions」を立ち上げた。多様性と急成長が交差するインドで、企業の挑戦を支える新たな共創の形に迫る。

聞き手 日経ビジネス発行人 松井 健

※このコンテンツは2025年11月14日に日経ビジネス電子版SPECIALに掲載されたPR記事の転載です。
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/ONB/25/dc1_dentsu1205/
 

インドへの進出には、確かな戦略と方法論が必要

インド市場が、日本企業にとって注目度が高いビジネス展開先の候補になっている。大きな理由は、参入を難しくしてきた「構造改革の遅延」や「未知数の多さ」などの懸念が払拭され、逆にアジアNo.1の成長率、デジタル経済の進展、米中地政学的リスクの回避先、グローバルサウスの盟主国、良好な日印関係などの利点が高まっているからだ。

一方、やはりインド市場にはその巨大さ、多様さゆえの難しさもある。政策や税制のリスク、外資規制、インフラ未整備、厳しい市場競争、長期の投資回収、リソース不足などだ。地域ごとに言語と文化が異なる巨大な市場で、サプライチェーンの構築やブランド定着を図ることは容易ではない。そこでは、現地の理解とリスク評価に長(た)けたパートナーが必要となってくる。特に、戦略とマーケティングは、成功に欠かせない重要な2大柱だろう。

早くからインドに進出し、現地に確固たるネットワークを持つ電通とドリームインキュベータは、インド市場への参入を支援するサービス「Go-to-India Solutions」を立ち上げた。日本企業の新規参入、現地事業の拡大、新規事業のデザインなどを支援している。競争の激しいインド市場で日本企業の勝ち筋を見極め、課題解決を支援し、大きな成功へと導くことを目指している。

Case1:パナソニック「共存共栄」の精神でインド社会の未来に貢献

「Out-to-In」の戦略を軸に現地のスタートアップと協働

パナソニックEW グローバルR&D 企画部 部長 葛西 悠葵氏

葛西:パナソニックは1970年代からインド市場に参入していますが、2007年に現地のAnchor Electricals社を買収してからは電設資材の分野で大きく躍進してきました。さらなる成長をリードする新規事業創出を目的とし、2023年度より現地のスタートアップと共に事業を開拓するインド・スタートアップ・アクセラレーションプログラム「IGNITION」を始めました。スタートアップの強みと、われわれのブランドと豊富な商品ポートフォリオ、技術の強みを組み合わせる「Out-to-In」と呼ぶ戦略です。当社の視点のみを起点とするのではなく、スタートアップの価値観や発想を生かし、その強みを最大限に引き出すことを目指しています。

2024年度に始めたテーマは「インドのくらしソリューション」です。事業化を目指して協業するスタートアップを選ぶフェーズで、電通さんの力を借りました。

電通 グローバル・ビジネス・センター ソリューション・プランニング1部 チーフビジネスデザインディレクター 加形 拓也氏

加形:電通独自の「未来曼荼羅(まんだら)」というツールを使用して「人口・世帯」「社会・経済」「まち・自然」「科学・技術」の4つのカテゴリーで2030年のインド社会を予測し、42の未来トレンドを特定しました。電通インドのプランナーたちが、のべ数百時間をかけて作り上げたものです。

そして、パナソニックのさまざまな部署から15人ほどのインド人社員の方々に参加してもらい、ワークショップを実施。未来曼荼羅を通してインドの未来トレンドを共有した後、一旦パナソニックの既存事業や戦略をあえて忘れて、どのような価値や事業を創造できるかを考え、提案してもらいました。

電通インドには、インド人のマーケターやファシリテーターが大勢います。参加者が出すアイデアをすばやく整理し、方向性を見いだしていったのです。

葛西:アイデア創出ノウハウと現地文化の両面を知る電通インドのローカル社員のファシリテーターだからこそ、皆が本気になって自国の未来を考え、提案してくれたと思います。私たちも大いに刺激を受けました。

最終的に、Wi-Fiセンシング技術を持つRayIoT社と、調理器具を作っているEuphotic Labs社の2社を協業パートナーに選び、プロジェクトをスタートしました。

「未来曼荼羅」でビジョンを共有。お互いができることを持ち合う

葛西:未知の市場でやみくもにパートナーを探しても、うまく行きません。現地主導で協業相手を選び、事業化への意識を高めることができました。

加形:スタートアップの文化を尊重し、パナソニックの強みを融合させる「Out-to-In」戦略。実効性を高めるには、いきなり技術論、ビジネス論を行うのではなく、まずは未来曼荼羅でインドの未来像を共有し、お互いの強みを持ち寄るマーケティング的な手法が功を奏しました。

葛西:電通さんはとても心強いパートナーです。当社が創業時から大切にしてきた「共存共栄」の精神で、これからも現地の方々と一緒にインドの未来を創っていきます。

インド版・未来曼荼羅。「電通未来曼荼羅」は、電通グループ独自の未来予測ツール。インド版ではインド社会の未来を42のトレンドで可視化した


Case2:デンソーがインドで学んだ3つの実践知とは?

経済産業省とUNIDOの支援に採択。インドで開発し、米国市場へ展開

DENSO INTERNATIONAL INDIA Vice President 守本 剛氏

守本:デンソーは1984年から、OEM(相手ブランドによる生産)向けの自動車部品をインドで供給しています。既存事業が伸びる一方、インドという伸び盛りの市場で、デジタルを軸とする次の事業を立ち上げるのが、私の任務です。

「Sower(ソルバー)」というブランドで、製造・モビリティ向けの統合デジタルプラットフォームをインドで開発しました。このプラットフォームを大きくスケールさせ、社会実装を加速していくためには、市場の特性を理解し、戦略と実行を支援してくれるパートナーが必要でした。

数社にご提案いただいた中で、ドリームインキュベータさんを選びました。決め手になったのは、殻を破るような独自のアイデアがあったことです。売り上げ1000億円という大きな目標に、現実味を持たせてくれる内容でした。

西岡:ドリームインキュベータが長年蓄積したインド市場の特徴や知見を踏まえた上で、新規デジタル事業創出の構想策定と戦略立案をサポートしました。その後、経済産業省とUNIDO(国際連合工業開発機関)による産業協力プログラムに採択され、2025年7月にUNIDOとのグラント・アグリーメントを締結したのをきっかけに共創パートナーとなり、現在はワンチームで事業開発に取り組んでいます。

守本:経産省とUNIDOの支援を受けながら、2027年までに社会実装を実現します。その先は、インド全土への拡大とグローバル展開です。インドの市場ニーズに合わせて低コストで競争力の高いサービスを開発し、米国を含むグローバル市場へ展開する「リバースイノベーション戦略」を採用しています。

インドで学んだ3つの実践知。「仲間づくり」が人を動かす

守本:インドで事業開発を進める中で、現場で培った実践知が3つあります。1つ目は、「あきらめない力」です。インドでは失敗を恐れず、動きながら改善する文化「Jugaad(ジュガール)」が根付いています。日本型の「品質最優先」から「品質とスピードの両立」の思想に切り替える必要がありました。

2つ目は「標準化」です。IT業界標準の業務フローと組織構造を取り入れ、インドの高い人材流動性に耐えられる仕組みをつくりました。

3つ目は「仲間づくり」です。共感と覚悟を共有する仲間を増やしていく必要があります。現在もSolwerを使ってくださる仲間が増えています。これからも、より多くの方々にご利用いただけるプラットフォームへ進化させていきます。

ドリームインキュベータ ディレクター 西岡 到氏

西岡:そのような中で当社が行った支援内容は、大きく3つあります。1つ目は「新規事業テーマの探索・推進」です。当社のVC投資で培った知見を生かし、有望なテーマを探す「テーマアップ」から、戦略策定、事業検証、資金調達までを一気通貫で支援しました。

2つ目は「新規事業のための組織づくり」です。デンソーさんがインドでデジタル事業を始めるには、従来の日系企業とは違う組織づくりが必要でした。

3つ目は「スタートアップ・政策連携」です。守本さまがおっしゃった「仲間づくり」の部分ですね。インドでの連携先候補の洗い出しや、デジタル公共インフラの調査と検討などの観点からご支援しました。Solwerのソリューションに共感する顧客・パートナー企業へのサービス導入が進むにつれて、現地支援に手応えを感じており、これからもワンチームでインド市場開拓を伴走していきます。

「Solwer」の事業展開プラン。インドで社会実装した後、グローバル市場への展開を目指す


事例紹介:インドのトップブランドになったユニ・チャームの戦略

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ユニ・チャーム 取締役 専務 CMO 高久 堅二氏

ユニ・チャームはベビーケア、フェミニンケア、ウェルネスケア、ペットケアの4事業を世界約80の国と地域で展開している。インドはその重要な拠点の一つだ。参入した2008年から、電通グループと密接に連携してビジネスを進めてきた。

「インドで成功するには、①消費者ニーズに応える商品力、②露出を高めてトライアルを促進する店頭実現力、③製品の価値を伝えるコミュニケーション力が必要です」と、ユニ・チャーム取締役 専務の高久堅二氏は話す。

①では、現地に強い地盤を持つ調査力により、常にリアルな生活者ニーズを理解している。②では、インド特有の商慣習にきめ細かく対応している。例えば、インドは小規模店舗が多く、ベビーケアだけで400万店舗をサポートする必要がある。③では、機能価値、情緒価値、自己表現価値を丁寧に提案し、カテゴリーとブランドを浸透させている。

インドは社会貢献を重視する文化が根強い。パーパス「SDGsの達成に貢献すること」を軸に、ミッション「共生社会の実現」、ビジョン「Love Your Possibilities」、バリュー「共振の経営」を掲げ、人々が自分らしく生きられる未来と持続可能な「共生社会の実現」に貢献していく。

「Go-to-India Solutions」が日本企業を後押し。インド進出、成功の秘訣(ひけつ)とは?

成功の鍵は「大きな戦略」。リスクを見極め、インサイトを捉える

変化の激しいインド市場では、戦略とマーケティングを一体で進める必要がある。戦略策定に強いドリームインキュベータと、マーケティングに強い電通グループがワンチームとなり、インド市場へ進出する日本企業を支援するサービスを提供する。

「インド市場は大きく仕掛けていかないと成功しません」(西岡氏)。社会課題から入り、新規ビジネスにつなげる。

「インドの特徴は、企業の社会貢献を重んじる文化です。生活者の視点で企業の在り方を考える電通グループの強みが生かせます」(加形氏)。クライアントの目的や状況に応じて、どの段階からでも支援できると話す。

両社に共通する強みを、西岡氏は「リスクの取り方がうまいこと」と表現した。「新規参入は常にリスクが伴います。そこで、リスクの取り方が重要になってきます」(西岡氏)。インキュベーションの実績も豊富なドリームインキュベータは、インドにおいて数々のスタートアップ支援(含む日本企業との協業)を推進してきた、スタートアップ・新規事業の目利きのプロだ。過去9年でインドの30社に投資し、3社のユニコーン(評価額が10億ドル以上の企業)を出した。電通は2003年にインド市場に本格参入。現地に2200人のインド人社員を擁し、インドのマーケティングや広告の世界で、すでにトップ企業の一角を占めている。インドの水先案内人として、これ以上ないタッグが実現した。


取材を終えて

日経ビジネス発行人 松井 健

インドが世界経済の中心国の1つになっていくことは間違いありません。その市場に電通とドリームインキュベータがここまで浸透している事実に驚きました。インド市場への参入が容易ではないこともよくわかりました。そこで事業をどう展開し、インド発のビジネスとして世界に広げていけるかが、日本企業が世界で勝ち残るための1つの鍵になっていきます。「Go-to-India Solutions」が果たす役割に注目していきたいと思います。

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著者

加形 拓也

加形 拓也

株式会社 電通

グローバル・ビジネス・センター

チーフビジネスデザインディレクター

電通マーケティング部門~電通デジタル~電通コンサルティングで保険会社の2050年構想/自動車会社のスマートシティ構想/食品企業の新事業など、企業の事業デザインをサポート。現在は日本の他にインド・ASEAN・中国・台湾で事業構想やサービスデザインに関わる。都市工学をバックグラウンドとしたコンサルティングと縦割りを打破していくファシリテーションが得意。電通相撲部主将。右四つ。得意技は下手投げ。

 葛西 悠葵

葛西 悠葵

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社

グローバルR&D 企画部

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守本 剛

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