2026年3月17日(火)、電通本社ビルで国際女性デー特別イベント「現役女性営業職に聞く 5つの壁と私の働きやすさNEXT」が開催された。本イベントは、電通が推進する「働きやすさNEXTプロジェクト」の一環として行われたもの。同プロジェクトは、企業や業界の枠を越えて知見や思いを持ち寄り、働き方のアップデートに挑む取り組みだ。
当日は、業界もカルチャーも異なる6社から、第一線で活躍する女性営業職が登壇。三井不動産の西田弥生氏、日本航空の本郷由季氏、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの窪田朱里氏、ENEOSの枝夏美氏、日本マクドナルドの芹口美幸氏、電通の五反田美穂氏をパネリストに迎え、電通の後藤一臣氏による進行のもと、リアルな経験談を交えたトークセッションが繰り広げられた。日々の業務から得た「気づき」や、壁を乗り越えて自分らしい「働きやすさ」を見つけるためのヒントを探った、セッションの模様をお届けする。
企業や業界の枠を越え、働き方のアップデートに挑む「働きやすさNEXTプロジェクト」
イベントの冒頭では、プロジェクトリーダーである電通の国政裕子氏が登壇。働く女性たちが直面している「5つの壁」と、それに対する解決策としてプロジェクトから生まれた「5つの働きやすさNEXT」を説明した。
多様な業界から集まった6人のリアルボイス
「できない」を伝える勇気。個人の課題をチームの力へ
最初のテーマは「仕事と育児の両立」。ENEOSの枝氏は、自身の復職時の経験を振り返る。「コロナ禍を経て対面の業務が再開したとき、子育てとの両立に直面しました。例えば、朝9時の会議に間に合わない。そこで初めて『この時間からは難しいので、調整いただけますか』と伝えたんです」。この正直な一言が、周囲の理解を深め、新しい働き方を模索するきっかけになったと語った。
日本航空の本郷氏も、枝氏の意見に深く共感。「育児のタイムスケジュールは変えられないからこそ、仕事のやり方を工夫し、周りに頼ることが大切」と語る。本郷氏は、念願の部署に配属された直後に夫の地方赴任が決定。4年前の話であることを前置きした上で、「ここで私が諦めたら後輩たちの道を閉ざしてしまうかもしれない」と、ワンオペ育児と仕事の両立を決意。逆境を乗り越えようとする強い意志が、新たなキャリアを切り開く力になったことを共有した。
ライフイベントをキャリアの力に。対話が生む新たな可能性
続いてのテーマは「ライフプランとキャリアの板挟み」。日本マクドナルドの芹口氏は、予期せぬ転勤の経験を語った。「子どもが1歳のとき、生まれ育った福岡から神戸への異動を告げられました。キャリアアップの機会と理解しつつも、縁もゆかりもない土地での子育てに不安は大きかったです。しかし、『これは成長の機会だ』とマインドを切り替えて挑戦した結果、チームで互いに支えあう、自分がいなくても現場が回るチームを築け、エリアの業績も向上。家族の絆も深まり、キャリアの大きな財産となりました」と当時を振り返った。
富士フイルムビジネスイノベーションジャパンの窪田氏は、「世代間の価値観や意識のズレ」から得た気づきを共有。「2005年に妊娠した当時は、営業からアシスタント業務への異動が当たり前でした。会社からの配慮や優しさなのですが、本人の意欲やキャリアの可能性を狭めてしまうこともある。良かれと思っての配慮がすれ違いを生まないよう、本人の意思を確認する対話が不可欠だと実感しました」と、経験からの気づきを語った。
三井不動産の西田氏も、この「過度な配慮」について言及。「『育児中だからここまでしかできないだろう』という思い込みが、本人の成長機会を奪ってしまうことがあります。挑戦したいのか、今はセーブしたいのか。丁寧な対話を通じて本人の意思を確認し、伴走することが、個人の成長と組織の活力につながると信じています」と対話の大切さを強調した。
最後に、電通の五反田氏は「女性活躍推進手段の目的化」に触れた。「当事者が『下駄を履かされている』と感じてしまっては本末転倒です。性別という属性ではなく、『あなただから任せたい』という期待を具体的に伝えることが、本人の自信と組織全体の成長を促す鍵になります」と、自身が担うHRM(Human Resource Management)業務での経験も交えて語った。
壁を乗り越える鍵は「共有」と「対話」
ディスカッションの最後には、これらの壁を乗り越えるための鍵として「共有」と「対話」の重要性が改めて強調された。
芹口氏は「自分で勝手に壁をつくってしまうことがありますが、それを打破できるのが『共有』。上司や家族と共有することで、道が開けることがあります」と語り、窪田氏は「共有は一方通行ではだめ。『相互理解』が大切です。なぜ相手がそう言うのかを理解しようと歩み寄ることで、本当のコミュニケーションが生まれると思います」と続けた。
西田氏は「双方向のコミュニケーションのためには、まず相手の話を『聞く』ことが第一歩。相手の価値観を受け止め、心を開いてもらうための信頼関係を築くことが大切です」と述べた。
枝氏は、「最初に自分の状況をオープンに共有したことで、周りもサポートしやすくなったと感じます。小さな一歩が、大きな変化を生むきっかけになりました」と自身の経験を振り返った。
本郷氏は、「一人で抱え込まず、弱みを見せることも大切。チームを信頼して頼ることで、自分もチームも強くなれると実感しています」と、チームで乗り越えることの重要性を語り、五反田氏は、「対話は、相手を変えるためではなく、お互いを理解するためにある。多様な価値観を認め合う文化が、働きやすさの土台になるのだと思います」と締めくくった。
多様な業界で活躍する女性営業職が、自らの経験から得た気づきや学びを共有し、未来の「働きやすさ」のヒントを探る貴重な機会となった。参加者からは「他社の事例が聞けて参考になった」「自分の悩みが言語化され、次の一歩が見えた」といった声が寄せられ、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。
当日はグラフィックレコーディングも実施(担当:電通BXクリエイティブセンター佐藤恵美子)
【開催概要】
名称:国際女性デー特別イベント 現役女性営業職に聞く 5つの壁と私の働きやすさNEXT
主催:働きやすさNEXTプロジェクト
開催日:2026年3月17日(火)
会場:電通本社ビル