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公開日: 2026/08/24

「広告小学校」20周年。北海道で未来を創る授業

人口減少時代に誕生した新しい学校で、子どもたちが地域の未来を創るCMづくりに挑戦した。
2026年7月15日、北海道・中富良野町立なかふらの学園で、電通の社会貢献活動「広告小学校」による特別授業が実施された。今年20周年を迎える「広告小学校」の発展プログラム「ふるさとCM篇」として行われたもので、5年生23人が参加した。

子どもたちは、自分たちが暮らす町を見つめ直し、「誰に、何を、どう伝えるか」を仲間と考えながら15秒のCM劇を制作。その後は映像化にも挑戦し、自分たちで地域の観光案内施設での上映を提案するなど、教室の外へと学びを広げていく予定だ。

学校、地域、企業。それぞれの強みが重なり合った今回の授業は、コミュニケーションを通して人と社会をつなぐという「広告小学校」の20年間の歩みが、新たな教育現場でどのような可能性を生み出せるのかを考える機会にもなった。

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人口減少をきっかけに生まれた、新しい学校

北海道のほぼ中央に位置する中富良野(なかふらの)町。人口約4400人のこの町では、少子化の影響を受け、かつて6校あった小学校が3校にまで減少した。

町は、この変化を単なる学校統廃合の課題としてではなく、「これからの学校教育をどうつくるか」を考える機会と捉えた。そうした議論を経て、2026年4月、小学校3校と中学校1校を統合した義務教育学校「なかふらの学園」が開校した。

学校づくりのキーワードは「つながる」だ。
学校と地域、小学生と中学生、教科と教科。さらに、自然や歴史、企業や行政、地域で暮らす人がつながる。そして、一人一人の学びが未来へとつながることを目指している。

知識を身につけるだけでなく、自ら考え、人と協働しながら地域や社会と関わる力を育む。この教育理念は、CMづくりを通して子どもたちの「考える力」と「伝える力」を育む「広告小学校」の理念とも重なっている。

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こうした考えを形にしているのが、総合的な学習の時間だ。
なかふらの学園では、義務教育学校としては全国的にも珍しい総合学習専科教員を配置し、9年間を見通した探究学習を設計している。

その中心を担うのが渡邊雄大教諭である。
渡邊教諭は、地域資源を活用した商品開発や企業との共同プロジェクトなど、子どもたちが社会と関わりながら学ぶ実践を続けてきた。その取り組みが高く評価され、「Forbes JAPAN」2026年8月号「『アントレプレナーシップ教育 未来をひらく先生』100人」に選出されている。今回の「広告小学校」特別授業も、渡邊教諭との連携のもとで実施された。

「広告小学校」が育てたいのは、答えを探す力ではなく、考える力

「広告小学校」は、電通が2006年に開始した社会貢献活動だ。目的は広告制作の技術を教えることではない。
CMづくりを通じて、「誰に、何を、どう伝えるか」を考え、相手を思いながら伝える力を実践的に育むことにある。

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今回の授業でも、子どもたちはまず中富良野町の魅力を書き出すところから始めた。
ラベンダー、美しい景色、おいしい農産物、豊かな自然——。
たくさんの魅力が挙がった一方で、それらを並べるだけでは、人の心は動かない。
「誰に届けたいのか」「その人に、どんな気持ちになってほしいのか」仲間との対話を重ねるうちに、子どもたちの視点は「町の特徴」から、「町の価値」へと少しずつ変化していった。

答えが一つではない問いに向き合い、意見を交わしながら自分たちなりの表現を形にしていく。その試行錯誤の過程こそ、「広告小学校」が大切にしてきた学びである。

授業では、アイデアを考えることが得意な子もいれば、絵で伝えることが得意な子、演じることで場を盛り上げる子もいた。一つのCMを完成させるまでには、多様な役割がある。
だからこそ、それぞれの子どもが自分らしい強みを発揮できる場面が生まれていたことも印象的だった。

今回の授業には、電通コピーライターの舘林恵氏、アートディレクターの吉森太助氏、「広告小学校」事務局の鹿野徳昭氏、アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所メンバーの大山徹氏がアドバイザーとして参加し、子どもたちのアイデアづくりをサポートした。

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地域へ届く学びが、未来につながる

授業後、渡邊教諭は次のように振り返った。

「子どもたちは、中富良野町の美しい景色や特産品についてはよく理解しています。しかし、それらを『〇〇な中富良野町』という一つのコンセプトにまとめることには苦労していました。実は、そのコンセプトを見つけ出すことこそが、15秒のCMをつくるうえで最も重要なポイント。CMづくりのプロである電通社員からのアドバイスが大きな力になりました。教室にいる全員が『もっと良い言葉はないか』と本気で考え、言葉を磨き上げていく時間は、とても刺激的でした」。

今回の授業は、CM劇を発表して終わりではない。子どもたちは今後、作品を撮影・編集して映像化し、この夏にOPENした観光案内施設「駅前BASE33」での上映を目指す。施設への上映交渉にも、自ら挑戦する予定だ。

自分たちが考えた中富良野町の15秒CMが地域へ届き、反応を受け取ることで、教室の中だけでは得られない新たな学びへとつながっていく。鹿野氏は「『広告小学校』が大切にしているのは、コミュニケーションを通じて学校と地域、社会をつなぎ、子どもたちが自ら考え、伝え、誰かと協働しながら未来を切り開くきっかけをつくることです。今回の出会いを通して、学校教育と企業が培ってきたコミュニケーションの知見が響き合う可能性を改めて感じました」と語った。

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20周年を迎えた「広告小学校」は、これからも学校や地域との対話を大切にしながら、コミュニケーションの力を社会へ還元し、子どもたちが未来を創る学びを支える取り組みを続けていく。

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