電通、テレビ番組やCMに連動したコンテンツを即時に外部事業者に提供する「TV Live Meta Module」を開発
2016/01/19
電通は1月19日、テレビ番組やCMの放送内容をリアルタイムで認識し、抽出したオンエアデータを即時に外部事業者に提供するソリューション「TV Live Meta Module(β版)」(テレビ・ライブ・メタ・モジュール・ベータ版)を開発したと発表した。これにより、番組やCMとタイムリーに連動したコンテンツを、視聴者のスマートフォンやタブレットなど、いわゆる“セカンドスクリーン”に素早く届けることが可能になる。ソリューションの提供先としては、ポータル/SNSのプラットフォーム事業者や広告配信事業者など、テレビ番組やCMに連動、関連したサービスを提供している事業者を想定している。
開発の背景には、番組を視聴しながらこれらのセカンドスクリーンを併用して楽しむ視聴者の増加がある。具体的には、番組やCMに関連した情報の検索やSNSなどによる発言の増加、番組・CM起点のEコマースの広がりが挙げられる。
電通は、2013年9月から、放送と連動したセカンドスクリーンの活用について研究する「セカンドスクリーンプロジェクト」を推進しており、TV Live Meta Module(β版)はその成果の一つ。テレビ番組の内容を字幕情報から取得して特定キーワードを抽出したり、地上波テレビで流れるCM画像から広告主や商材を特定したりする運用を高速で自動化、それらの情報を外部のサービスとつなげる仕組みを構築した。番組で取り上げられた情報の取得・運用が自動化されていることから、外部事業者は既存のサービスに付加価値を加えるコンテンツを提供したり、新たなマネタイズにつながるサービスを開発したりすることが可能になる。
なお、TV Live Meta Module(β版)の外部事業者への提供は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で行い、以下の3つのモジュールを提供する。
1.「シンクロCMモジュール」
テレビCMと連動し、CMの放送と同時に視聴者のセカンドスクリーンに同一広告主のバナ ー広告、動画、クーポン、Eコマースのサイトリンクなどを表示する仕組み。画像マッチング手法を採用しているため、音声認識による既存のサービスに比べ識別のスピードが速いという特徴がある。
2.「テレビライブワードモジュール」
テレビ番組内で取り上げられた場所、人物、モノなどのキーワードを自動認識してリアルタ イム表示する仕組み。同時にキーワードに関連した情報を自動生成する仕組みを備えている。例えば、あるタレントの名前がキーワードとしてリアルタイム表示されると、同時にそのタレント関連情報が自動生成されるため、利用者はその関連情報に容易にアクセスすることができる。
3.「テレビライブワード連動広告モジュール」
特定のキーワードに反応する広告をあらかじめ制作しておき、テレビ番組内でそのキーワー ドが取り上げられると自動的に広告が出稿される仕組みです。例えば、「花粉症」というキーワードが番組で取り上げられると、そのタイミングを逃さず視聴者のセカンドスクリーンにマスクや花粉症薬の広告を流すことができる。
ライブワードモジュールは字幕放送のある番組のみが対象
なお、TV Live Meta Module(β版)活用の第1弾として、本日より、マルチスクリーン放送協議会が運用するセカンドスクリーン向けアプリケーション「SyncCast(シンクキャスト)」と連携したサービスの実証実験(※)を行う。
現在「SyncCast」は、番組に連動して表示する情報を放送局が事前に準備する必要があるため、対応番組が限定されてしまうという課題を抱えている。今回の実証実験ではTV Live Meta Module(β版)、なかでもテレビライブワードモジュールの活用による対応番組の拡大と、利用者の利便性・使用感の向上を検証する。
今後電通は、TV Live Meta Module(β版)を活用した番組連動の広告ビジネスや各種リアルタイムサービスの開発、およびその事業性の検証を推進していく。
※実証実験は、総務省が2015年度に実施する「高度な放送・通信連携技術の活用に向けた地域の放送コンテンツ等の発信に関する調査研究」の一環として行うもの。