台湾発★中国の動画配信最大手「愛奇芸」、台湾でサイト開設
2016/04/04
中国動画配信サイト最大手「愛奇芸(アイチーイー)」を運営する北京愛奇芸科技は3月29日、台北市内で台湾版(繁体字版)サイトの開設を正式に宣言した。同社の中国本土以外での展開は初。アジアの経済ビジネス情報を配信するNNAが伝えた。
愛奇芸創業者の龔宇CEOは「昨年11月18日から台湾版の試験運用を開始したが、この4カ月間で演劇125作品、バラエティー番組80作品、海外映画2000作品、アジア映画1200作品を配信し、多くの台湾人ユーザーに受け入れられた」と話している。
ゴンCEOはさらに、映像を配信するだけでなくコンテンツの自社製作にも注力しているとコメント。29日から台湾人監督・俳優によるオリジナルの恋愛ドラマ「滾石愛情故事(ロック・レコーズ・イン・ラブ)」を配信することも発表した。
同社の台湾事業を統括する楊鳴・高級副総裁兼台湾站総経理は「映画やテレビドラマの配信に特化した競合他社と異なり、愛奇芸は演劇やバラエティー番組、アニメーション、芸能ニュース番組など11ジャンルのコンテンツを擁しているのが強み」と話す。今後は台湾で根強い人気のあるWTA(女子テニス協会)台湾オープンやNFL(米ナショナル・フットボールリーグ)スーパーボウルといったスポーツコンテンツも配信していきたいとしている。
愛奇芸は当面、自社の台湾拠点を設けず、台北市内で昨年10月に設立されたオウテイテイ娯楽が字幕の繁体字化や顧客サービスなどの台湾業務を担う。オウテイテイ娯楽の范立達董事長はNNAに対し「愛奇芸が台湾法人を設立する場合、業務内容が特殊なことから認可取得まで多大な時間を要することが予想される。このため実務を当社に委託した」と説明。愛奇芸の出資については否定した。
范董事長はまた、「日本は今年から衛星放送で8K(ハイビジョンの16倍となる超高画質)の実験を始めるなどインフラが充実しており、市場として魅力的。進出の機会を探りたい」と、日本進出についても意欲を示している。
愛奇芸は2010年に中国でサービス提供を開始。中国検索エンジン最大手、百度の傘下で、中国モバイル端末大手の北京小米科技(シャオミ)も第2位株主として出資している。1日当たりの視聴者数は中国動画配信サイト最多の延べ1億5000万人。35歳以下の若者層がユーザーの75%を占めるという。