タイムシフト視聴率と総合視聴率
2017/05/26
昨年秋から、リアルタイムでの視聴率に加え、タイムシフト視聴の測定がスタートしました。
新たな指標「タイムシフト視聴率」「総合視聴率」が加わり、テレビ番組の視聴状況を多角的に捉えることができるようになりました。タイムシフト視聴率測定で見えてきたテレビ視聴の今について、解説します。
タイムシフト視聴とは
2016年10月から関東地区の視聴率調査世帯で、テレビのリアルタイム視聴に加え、タイムシフト視聴の測定も開始しました。この測定では、リアルタイムの視聴の有無にかかわらず、7日間(168時間内)のタイムシフト視聴を測定対象としています。これまでは、リアルタイムの視聴状況を示す「視聴率」を利用していましたが、これに加えて、「タイムシフト視聴率」「総合視聴率」という新たな指標が加わりました(下図参照)。タイムシフト視聴まで含めることで、番組がどれくらい多くの世帯・人に見られたのかを捉えることができるようになりました。
視聴率三つの指標の関係式
タイムシフトでよく見られるのはドラマ
どのような番組がよくタイムシフト視聴されるのか、16年10月3日~17年4月2日のタイムシフト視聴率上位10番組から見てみましょう。
※2016年10月3日(月)~2017年4月2日(日)に放送された15分以上の番組を対象/同一局同一名の番組は高位番組のみ掲載/単発番組は全て掲載
トップは10月クールの「逃げるは恥だが役に立つ」、2位に同クールの「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」、3位に1月クールの「東京タラレバ娘」が並び、上位10番組中9番組がドラマとなっています。ランクインしているドラマは、ほとんどで視聴率とタイムシフト視聴率の差があまりありませんが、「ドクターX・外科医・大門未知子」や「A LIFE・愛しき人」は、視聴率の方が高くなっています。同じジャンルでも、リアルタイムで視聴されやすい番組、タイムシフトで視聴されやすい番組があり、番組により見られ方が異なることが分かります。
リアルタイムでよく見られるのはスポーツ・報道
同期間の総合視聴率上位10番組を見ると、1・2位は大みそかの「紅白歌合戦」、3位「逃げるは恥だが役に立つ」、4位「ドクターX・外科医・大門未知子」、5位以下にはスポーツ4番組、報道1番組が入っています。
※2016年10月3日(月)~2017年4月2日(日)に放送された15分以上の番組を対象/同一局同一名の番組は高位番組のみ掲載/単発番組は全て掲載
紅白・スポーツ・報道といった、早く情報を知りたい・楽しみたい生放送番組は、タイムシフト視聴は少なく、リアルタイムでの視聴が多くなっています。ちなみに、同時期の視聴率の上位10番組では、スポーツ7番組、音楽2番組、報道1番組で、ドラマはランク外でした。「逃げるは恥だが役に立つ」は、エンディングの“恋ダンス”や契約結婚をベースにしたユニークなストーリー展開などで、インターネットを中心に話題となり、「逃げ恥」ブームを起こしました。視聴率、タイムシフト視聴率共に初回の約10%から話題が拡散、視聴率も上昇し、最終回の視聴率はリアルタイム20.8%、タイムシフト16.9%、総合33.1%を記録しました。このように、タイムシフト視聴まで含めてみることで、リーチの実像をデータで確認することができるようになりました。
今回はタイムシフト・総合の視聴率上位番組の紹介でしたが、番組ジャンルや内容によって、タイムシフト視聴が多い番組もあれば、リアルタイム視聴が多い番組もあります。番組視聴の実態を把握するために、ご活用いただければと思います。