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「IFSCクライミング世界選手権」日本で初開催  
2020に向け熱戦

2019/08/26

      日本初開催の「IFSCクライミング世界選手権2019八王子」(主催=国際スポーツクライミング連盟〈IFSC〉協賛=アース製薬、日本航空、KDDI、久光製薬、Red Bull、TANAKAホールディングス)が8月11~21日、東京のエスフォルタアリーナ八王子で開催された。(IFSC=国際スポーツクライミング連盟)
      スポーツクライミングは、2020年東京オリンピックで追加種目に採用された競技で、大会には、日本を含む39カ国・地域から、約260人の有力選手が参加し熱戦を繰り広げた。
      日本からは、世界ランク上位の野中生萌、野口啓代選手ら女子6人、楢崎智亜、土肥圭太選手ら男子8人のトップ選手が出場した。

      大会では、「ボルダリング」(高さ5メートル以下の壁に設定された複数の課題を、制限時間内にいくつ登れたかを競う。トップホールドを両手でつかめば完登)、「リード」(高さ12メートル以上の壁に設定された最長60手程度の課題を、ロープで安全を確保しながら制限時間内にどこまで高く登れたか〈到達高度〉を競う)、「スピード」(高さ15メートルの壁に設定された隣り合う同一ルート〈世界共通〉を2人の選手が登り、どちらが速く登れたかを競う)の3種目と、一人の選手が3種目を順番に行い、その総合成績で競う「コンバインド」(複合)が男女それぞれで実施された。
      中でもコンバインドは、東京オリンピックも実施種目として特に注目が集まった。

       コンバインド女子決勝が行われた20日、会場には満員の観客が詰め掛け、予選を勝ち抜いた8人(うち4人が日本人選手)が3種目複合で戦った。
      スピード競技は、2人の選手が同時にスタートするため優劣が分かりやすいが、途中までリードしながら手をすべらせる選手もいて、完登するまであっという間ながら観客の歓声とため息が交錯する。

      ボルダリングは、三つの課題(3種類の壁)を各選手が順にトライ。選手には、競技開始前にルートを下見し攻略方法を相談する時間(オブザベーション)が認められている。
      壁は前傾している箇所もあり、完登するのが大変困難に設定されている。苦しい体勢になった選手には、観客から大きな声援が飛び選手を後押しする。野口選手は一人だけ二つの課題をクリアし、この競技で1位を獲得した。

       最後のリード競技に一番手で登場した15歳の森秋彩選手は、危なげなく15メートルの壁を完登し、この日一番の歓声を浴びた。野口選手もゴール一手前まで登る健闘を見せた。

      コンバインド競技の順位は、3種目の順位を掛け算し、その合計が低い方が上位になる。
      優勝はスロベニアのヤンヤ・ガンブレット選手。同選手は、2019年ボルダリングでW杯史上初の全勝優勝を達成した圧倒的な強さを誇る。2位には野口選手が入り、東京オリンピック日本代表に内定。3位はイギリスのショウナ・コクシー選手だった。
      最終日に行われたコンバインド男子決勝では、楢崎智亜選手が見事に金メダルを獲得し、野口選手同様、東京オリンピックへの出場権を得た。

       会場では、プロジェクションマッピングや音楽による演出、観客の気分を盛り上げ共に応援を促す実況・解説、競技の合い間に行われた観客参加のゲームなど、さまざまな工夫が見られた。
      国内のクライミングジム数は、08年からの10年で約5倍の480カ所余りに増加し、全世界の競技愛好者は約2500万人とされる。2020年オリンピックでの日本代表の活躍も大いに期待され、アーバンスポーツの中でも特に注目すべき競技といえそうだ。
      大会公式サイト:https://jmsca-itadaki.com/s/n93w/