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Z世代就活生まるわかり! 企業視点・学生視点の双方で考えるインターンシップのあり方

採用活動の早期化が進む中、企業が実施するインターンシップの重要性が増しています。2023年に政府が定めたインターンシップに関するルールが改正されたことに伴い、今や約半数の企業が「採用直結型」で開催しています。(日経新聞調べ)

他方、人口減少に伴って学生数も減少している影響で、人財獲得競争はますます過熱化しているため、単にインターンシップを開催するだけでなく、学生が応募したくなる仕掛けづくりが重要です。

今回は、電通「採用ブランディングエキスパート 」の「Z世代就活生 まるわかり調査2025」(詳細はこちら )や外部調査結果をもとに、企業側・学生側双方の目線から“価値あるインターンシップ”のあり方について探っていきます。

「インターンシップの重要性」は周知の事実

学生数の減少に加え、1人当たりのエントリー企業数も減少しているため、採用市場においては学生の人財獲得競争が過熱化しています。そんな中、「Z世代就活生 まるわかり調査2025」にて学生自身が就職活動中に影響を受けたことについて聞いたところ、説明会や口コミと同様に影響力のある施策として「インターンシップ」が挙げられました。特に、「(企業や事業の)理解促進」「エントリー意向醸成」に効果的な施策であることが改めて分かりました。

ただ、上記で述べたようなことは採用領域に携わる企業の皆さまにとっては釈迦に説法かと思います。なぜなら、ほとんどの企業が既にインターンシップを実施しているからです。キャリタス実施の「新卒採用に関する企業調査(2025年7月調査)」によれば、77.7%の企業が2026年卒向けのインターンシップを実施予定とのことで、それだけ多くの企業がインターンシップの重要性を感じていることがうかがえます。

「採用直結型」は、魅力であり、リスクである

ここまで多くの企業がインターンシップに注力する理由は、もちろん学生への興味喚起目的ということもありますが、2023年にインターンシップに関するルールが改正されたことも大きく影響しています。「期間5日以上」などの条件を満たすと、インターンシップでの評価を本選考で活用できる「採用直結型」が認められるようになりました。

現に、採用直結型インターンシップを実施する企業が増加しており、有望な学生に「直接アプローチできる」というのは企業にとって大きな魅力です。もちろん、学生側もメリットを感じており、入社を見据えてのインターンシップ参加者が増えています。特に、理系や大学院生は「内定直結」を重視しており、時間がない中で集中的に仕事内容を理解し、「効率的に内定を獲得したい」という傾向が見られます。いわば、企業にとっても学生にとっても魅力を感じられるルールです。

他方、あらゆる企業が同じルールのもとで採用活動を展開できるので、「採用直結」というインセンティブ1本で勝負するのは非常に心もとないです。リクルートが実施した「就職プロセス調査(2025年卒)-2024年6月1日時点 内定状況-」という調査で、“早期の企業内定率が上がっている一方、内定辞退率も上がっている”というデータが示されています。

出典:リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2025年卒)-2024年6月1日時点 内定状況-」を元に編集部作成
出典:リクルート 就職みらい研究所「就職プロセス調査(2025年卒)-2024年6月1日時点 内定状況-」を元に編集部作成

これは、早期に内々定を獲得することで志望企業を絞り込み、より志望度の高い企業に集中して選考対策を行う、という「強気の就職活動」をする学生の増加の表れだと思われます。早期内定の獲得が必ずしも志望度に影響するわけではないのです。

インターンシップは、学生と雇用主の「はじめまして」の場。第一印象が重要!

ここからは再び「Z世代就活生 まるわかり調査2025」の結果から読み取れる内容を紹介します。

「強気の就職活動」をする学生が増えている一方で、「“インターンシップで良い印象を持った”企業に入社を決定する学生が増加している」ということも分かりました。当たり前のことかもしれませんが、多くの企業がインターンシップを実施するようになった今、そこでの差別化ポイントは「企業への印象をどう形成できるか」にかかっているのです。

そして、インターンシップで企業を印象付けるには「学生自身が興味のある職種の体験」と「会社・社風の伝達」が重要になってきます。現にインターンシップ参加企業選びで重視することを尋ねたところ、これらの項目が上位にあることが分かりました。

これら2つのポイントは、人と人の出会いに通じるものがあります。元々友人から話を聞いたことのある人やオンライン上で知り合っていた人でも、実際会ってからでないと「どうコミュニケーションを取る人なのか」「そもそも、どんな人柄なのか」分からないことが多々あります。また、第一印象こそが、今後の人付き合いを決める分水嶺(れい)ともなります。

インターンシップは、企業と学生が初めて面と向かって相対する、「はじめましての場」です。そこでは、企業版の第一印象、言い換えれば就職活動における企業=雇用主が“何者”であり、“どう自分をワクワクさせてくれるのか”といった自己紹介が重要なポイントになります。そのためには、インターンシップを通じて雇用主としてのブランドを学生にしっかりと伝達することが必要になってきます。

具体的な話になりますが、近年は特定の業界や企業というくくりではなく、「特定の職種」を志望して企業を選んでいる学生も多くいます。「配属ガチャ」という言葉が広く使われているのもこのためです。そうした学生の興味を喚起するためにも、漠然と自社の業務を広く体験してもらうのではなく、求職者が志望している職種への理解を深めるためのインターンシップに仕立てることが重要です。その職種では、日ごろどのような業務をどのような人たちに囲まれながら行うのか、そういった体験が学生の興味を喚起するのです。

価値あるインターンシップを目指して

ここまで、インターンシップの重要性について紹介してきました。現に多くの企業が実施してはいるものの、「採用直結」というインセンティブ1本勝負では自社の魅力を十分に伝えることはできません。いかに雇用主ブランドを伝達できるか、それこそが“価値あるインターンシップ”を開発する上で重要なポイントです。本記事が、皆さまのインターンシップ開発の一助になれば幸いです。

次回は、電通が開催したインターンシップについて、その実際の内容をもとに開発のコツをご紹介します。

「採用ブランディングエキスパート」とは
人財採用におけるブランディングを支援する、電通内の専門コンサルティングチーム。
https://dentsu-recruit-branding-expert.com

電通 採用ブランディングエキスパート 事務局(西井、岩邊)
Email:recruit-branding-expert@dentsu.co.jp

【「Z世代就活生 まるわかり調査2025」概要】
・目的:Z世代の就活に関する意識や動向を把握・分析
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:2025年または2026年に卒業予定の大学生・大学院生
・有効回答数:483人
・調 査 手 法 :インターネット調査
・調 査 期 間 :2025年2月20日~3月7日
・調 査 機 関 :株式会社RECCOO(リクー)

 

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