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「ペルソナ」が、マーケティングを変える──dentsu persona hub 2.0が描く未来

青木 亮

青木 亮

株式会社 電通デジタル

奥村 龍太郎

奥村 龍太郎

バカルディジャパン株式会社

須藤 梓

須藤 梓

株式会社 電通ジャパン・インターナショナルブランズ

広告配信やマーケティング施策において、よりターゲティング精度を高める手法として、需要が高まっているペルソナターゲティング。

ペルソナターゲティングとは、クッキーや個人情報に頼らないさまざまなデータ群を用いて、ターゲット層の興味関心を事前に分析しながら独自のペルソナを描き、最適な配信面に広告を配信する手法です。

2024年10月に電通とOgury Japanは、独自のペルソナ分析をメディアターゲティングに反映させるサービス「dentsu persona hub」(以下、DPH)の提供を開始しました(詳細はこちら)。DPHは、電通グループの各種生活者調査データとOguryの持つ膨大なデータポイントを掛け合わせることで、ターゲットの解像度を高め、最適なデジタル広告配信を実現するとして注目を集めています。

本記事では、電通デジタルの青木 亮がバージョン2.0へと進化したDPHについて、導入企業の事例を交えながら解説し、デジタル広告の新たな可能性を深掘りします。

“ペルソナターゲティング”については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

dentsu persona hubとは?バージョン2.0が切り開く、統合マーケティングの新領域

精度の高いターゲティングや潜在顧客へのアプローチ、無駄の少ない広告配信を可能にし、広告効果の最大化を図るDPHがバージョン2.0へと進化し、提供価値を大きく広げました。従来のDPHがOguryのAd Network(※1)に限定されていたのに対し、DPH2.0はクライアントのマーケティング活動全体を支援する包括的なソリューションへと変貌を遂げています。ここでは進化したDPH2.0の魅力について3つのポイントを挙げて解説します。

※1=広告を配信したい企業と、広告を掲載したい媒体を仲介するプラットフォーム。


(1)提供チャネルの飛躍的拡大

DPH2.0の特筆すべき点は、提供チャネルの飛躍的な拡大です。これまでのOguryが強みを持つオープンウェブに加え、SQREEMFreakOutなどのパートナーベンダー各社との連携により、大手動画プラットフォームやSNSなどのウォールドガーデン(※2)を含む主要プラットフォーム、さらにはCTV(コネクテッドTV)といった多岐にわたるチャネルでDPH2.0でのペルソナ分析をもとにした広告配信が可能となりました。

※2=広告やデータのやり取りが、そのプラットフォーム内で完結する仕組み
 

(2)ペルソナ分析の進化

電通デジタルとOgury Japanの協業により、対話型AIソリューション「∞AI Chat」との連携を実現しました。これにより、Ogury社のペルソナマーケティングナレッジおよび電通の保有する生活者調査データを学習した専用AIによるAIドリブンなペルソナレコメンドやマッチングが可能となります。従来はアナリストやプランナーが手作業で行っていたオーダーメードなペルソナ分析を、よりスピーディかつ高精度に提供できるようになりました。

(3)広告配信にとどまらない包括的な支援

DPH2.0は、単なる広告配信サービスではありません。ペルソナワークショップやコンサルティング、さらにはAIを活用したクリエイティブ制作まで、マーケティングの上流から下流まで一貫した支援体制を提供することで、クライアントのビジネス成長を包括的にサポートします。


従来届きにくかった潜在的なターゲットへのアプローチも可能に!

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テクノロジー業界やラグジュアリーブランド、消費財メーカーなど、幅広い業界で導入が進むDPH2.0。ここでは、その価値を最も体現する企業としてバカルディジャパンの取り組みを紹介します。同社のマーケティングマネージャーを務める奥村龍太郎氏とソリューションの導入のサポートを行う電通ジャパン・インターナショナルブランズの須藤梓氏にお話を伺いました。

青木:そもそも、なぜDPH2.0を選ばれたのでしょうか?

奥村:これまでのキャンペーンでは、音楽フェスやクラブシーンをテーマに「お酒好き」「音楽好き」といった媒体のプリセットセグメントでターゲティングすることが主流でした。たしかにリーチは確保できるものの、実際にどのような層に響いているのかが見えづらく、広告効果にも限界を感じていました。DPH2.0は、従来のやり方では捉えきれない潜在層にアプローチできる可能性に引かれ、導入を決めました。

須藤:私たちとしても、クライアントの課題を解決するためには、より精緻なターゲット像を捉える必要がありました。DPH2.0は、従来のデモグラフィック情報だけでなく、電通やOguryの持つ膨大なデータを掛け合わせることで、より高解像度なペルソナを設計できます。この分析力こそが隠れた潜在層の発見を可能にし、バカルディさまの課題を解決するカギだと考えました。

青木: DPH2.0をどのように活用されたのでしょうか?

須藤:まず、バカルディさまから提示された「EXUBERANT(パリピ未満)」というコンセプトワードを出発点に、購買データや行動インサイトを組み合わせてさらに深掘りしました。その結果、「音楽もお酒も好きだが、自己表現や遊び方に独自のこだわりを持つ若年層(※3)」という、従来のターゲティングでは見逃されていた層を具体的に浮かび上がらせることができました。次に、このペルソナ像に基づいて、Oguryの他、大手動画プラットフォームやSNSといった主要プラットフォームで統一的なターゲティングを実施しました。各プラットフォームの特性に応じてクリエイティブやメッセージを最適化しながらも、「EXUBERANT」という軸をぶらすことなくターゲットし、一貫したリーチを実現できたことは大きな収穫でした。

※3=本キャンペーン、および本ペルソナ設計はいずれも20歳以上の成人消費者を前提としています。

青木:実際の成果はいかがでしたか?

須藤:今回は単なる「お酒好き」「音楽好き」に対し媒体デモグラターゲティングで配信した通常配信とDPH2.0の配信をABテストし、下記の通り優れたパフォーマンスを発揮しました。

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大手動画プラットフォーム: CTR(クリック率)が通常の約2倍に伸長。VCR(動画視聴完了率)も65%を超え、市場ベンチマーク(30%前後)を大幅に上回る。SNS 1: CTRが通常の約1.5倍に伸長。SNS 2: VCRが約3倍に伸長。Open Web: CTRが1.2 倍の1.7%(通常1.4%)、視認時間が1.1倍の18.7秒(通常17.4秒)と好調な結果。

奥村:複数媒体を横断して成果を再現できたことは、大きな前進です。DPH2.0を導入することで、従来届きにくかった潜在的なターゲットにもしっかりアプローチできることが実証されました。

須藤:どのターゲット層にメッセージが響いているのかが可視化され、メディアKPIを上回る成果が出せました。単なるターゲティング手法の変更だけではなく、ペルソナターゲット設計から媒体、クライアントと協業することで、今後の提案の幅も広がり、クライアントの満足度の向上につながったと感じます。


DPH2.0が描く今後の展望

DPH2.0の進化は、これで終わりではありません。今後は、 Ogury独自ツールの 「Ogury One」や、電通デジタルの「∞AI」シリーズとの連携をさらに強化していく予定です。これらのAIソリューションとシームレスに連携することで、プランニングから実行、効果検証までの高速PDCAを実現し、クライアントのマーケティング業務の効率化と高度化を両立させていきます。

また、日本市場でのDPH2.0モデルを、dentsu APACをはじめとする他のリージョンに展開する計画も進行しており、dentsuとの連携は今後さらに強化していきます。

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著者

青木 亮

青木 亮

株式会社 電通デジタル

Dentsu Digital Global Center

Deputy Managing Director

飲料メーカーの営業職でキャリアをスタート。その後、渡米しデジタルマーケティング業界に転身。帰国後、Caratでオフラインを含む包括的なメディア関連業務に従事。株式会社電通デジタルへ籍を移した後も、一貫してグローバルアカウントマネジメントに携わり、現職に至る。部門長補佐として自組織を率いながら、電通デジタル プラットフォーム部門、電通ジャパン・インターナショナルブランズ統合ソリューション室と電通イノベーションイニシアティブConnectを兼務し、グローバルプラットフォーマーのR&Dを推進中。

奥村 龍太郎

奥村 龍太郎

バカルディジャパン株式会社

マーケティングマネージャー

大阪府生まれ。約20年にわたり輸入洋酒メーカーで、ウイスキーやラム、ジン、テキーラといったさまざまな洋酒ブランドの販売およびマーケティングに携わる。現在、グローバルスピリッツカンパニー、BACARDI社の日本法人であるバカルディジャパンでバカルディラムのブランドマーケティング全般を担当。

須藤 梓

須藤 梓

株式会社 電通ジャパン・インターナショナルブランズ

Manager / Integrated Solutions Office Solution Development Supervisor

デジタル広告専業代理店を経て、2022年に電通ジャパン・インターナショナルブランズに参画。グローバルクライアントのアカウントマネジメントに従事し、オンライン・オフラインを横断したメディアプランニングからキャンペーンアクティベーションまでをリードしている。グローバルメディアの知見を生かし、統合ソリューション室も兼務。国内外メディアとのパートナーシップ構築や活用推進にも取り組んでいる。

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