竹嶋:「MIRAI STANDARD SWITCH」の話をする前に、まずは電通グループにおける「マーケティングプロセスの脱炭素化」の取り組みについて簡単にお話しします。現在は、大きく3つの柱で展開しています。
竹嶋:1つめは、広告やメディアなどの業界全体における、意識啓発と仲間づくりです。これらは電通一社でできるものではなく、業界全体で取り組むべきであると考えています。そのために脱炭素イニシアティブの「Decarbonization Initiative for Marketing(DIM)」を設立し、まずは、取り組みの意義や目的についてみなさんと共有して、一緒に取り組んでいく土壌を作ることを目指しています。日本広告業協会(JAAA)や日本アドバタイザーズ協会(JAA)、さらに制作業界やイベント業界など業界横断で連携しながら、活動を推進しています。
竹嶋:3つめが、先ほどご紹介した電通グループの脱炭素ソリューション「MIRAI STANDARD SWITCH」です。これはカリキュレーターでGHG排出量の実態を把握するだけでなく、制作の各プロセスでGHG削減を実施するためのソリューション群であり、同時にマーケティング分野で脱炭素に取り組んでいくムーブメントのことを指します。
「MIRAI STANDARD SWITCH」のロゴ(3CRプランニング局 北野歩実制作)
森:つまり、DIMで仲間をつくり、カリキュレーターで見える化し、そのうえで実際に削減する手法・選択肢をまとめたものが「MIRAI STANDARD SWITCH」ということですね。
森:脱炭素は大事ですが、制作現場にとってはどうしても「やらなきゃいけないこと」「(対応のための)手間が増えてしまうこと」に見えてしまっているのが現状です。だからこそ、「MIRAI STANDARD SWITCH」では、「義務」ではなく、「未来のスタンダード」をつくる前向きな選択として受け取っていただきたいと思いました。
「MIRAI STANDARD SWITCH」は完成したソリューションではありません。まさにここから広告やメディア業界、そして企業のみなさまと一緒に育てていくものです。脱炭素というと難しくて分かりにくかったり、義務感を強く感じたりするかもしれませんが、脱炭素社会の実現のために、仲間とともにワクワクしながら未来の新しいスタンダードを作ることに挑戦したいと考えています。
竹嶋:生活者に届く接点まで含めると、マーケティングプロセスって本当に広いですよね。映像をつくる、イベントを開く、ノベルティを届ける、広告を配信する。その一つ一つに、見直せる余地があることが、「MIRAI STANDARD SWITCH」ムーブメントの面白さだと思います。5つめのコミュニケーション領域においては、森さんも企業のみなさんを支援する際に「グリーンウォッシュ対策」の重要性を感じていると思います。専門家としてあらためて注意を促したいことはありますか?
森:脱炭素の取り組みは、伝え方を間違えると、実態以上によく見せていると受け取られるリスクがあります。だからこそ、何を計測し、どれだけ削減し、どこにまだ課題があるのかまでを含めて、誠実に伝えることが大切です。「MIRAI STANDARD SWITCH」は、単なるコミュニケーションのネタではなく、伝えるためのファクトを制作プロセスの中につくっていく心強い取り組みでもあります。
森:広告会社が運営するイベント以外に、スポーツや音楽をはじめとする興行にも活用してもらえるはずです。「MIRAI STANDARD SWITCH」で脱炭素化に取り組むことで興行やコンテンツそのもののサステナ価値も上がりますし、語れるストーリーが増え、スポンサーの協賛メリットにもつながります。
竹嶋:これまで広告会社が脱炭素社会の実現にどう貢献できるかについて「MIRAI STANDARD SWITCH」の紹介とともにお話ししてきました。最後にもう一度お伝えしますが、「MIRAI STANDARD SWITCH」は完成したソリューションではありません。まだまだ足りないものや開発中のものもたくさんあります。これをきっかけにみなさんと一緒に作っていく、いわばプラットフォームです。