日本マーケティング大賞「ネスカフェ アンバサダー」、ネスレ日本社長兼CEOが語るその成功の意義
2014/06/02
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ネスレ日本「ネスカフェ アンバサダーによるオフィス市場の開拓」プロジェクトが、第6回「日本マーケティング大賞」(日本マーケティング協会主催)に輝いた。
同社は、コーヒーを通じてオフィス環境を快適にすることをコンセプトに、オリジナルコーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を無償で貸し出し、コーヒー代をユーザー自身が集めて運用するシステムを開発。2012年9月に全国展開を開始した。各オフィスでの運用者を「ネスカフェ アンバサダー」と名付け、オフィスの飲用機会を捉えて新規市場を開拓するとともに、アンバサダーとの絆づくりを通して顧客ロイヤルティーの強化に成功。現在、アンバサダーは応募者数12万人を突破、バリスタの累計販売台数は200万台を超える。
「アンバサダー」という“顧客”を媒介にして“顧客”を拡大させる、という斬新な販促展開や、顧客ロイヤルティーを醸成するさまざまな仕組みを取り入れたサービス展開などを通じ、成熟市場において新しい販売チャネルを開拓して新たなビジネスモデルを構築した点、また、主力ブランド「ネスカフェ ゴールドブレンド」の価値向上にも寄与した点などが評価された。
ネスレ日本の高岡浩三社長兼CEOは5月26日に行われた同賞の表彰式で、同プロジェクトの成功の意義を次のように語った。
「ネスレは世界190以上の国と地域でビジネスを展開していますが、売り上げの伸びのほとんどが新興市場によるものです。一方、大きな市場を抱える先進国ほど苦労が大きく、人口減少、高齢化が進む中で利益ある成長を達成する“先進国モデル”の構築が課題です。
ネスレ日本は3年前、他国に先駆けてその構築を宣言し、既存の延長線上にはない、全く新しいビジネスモデルづくりに着手しました。日本は年間消費量が約500億杯というコーヒーの消費大国。このうち約6割が家庭内で飲用され、この市場に私たちは注力してきましたが、これまで想定外だった残り約4割の家庭外需要、その約7割を占めるオフィスでの消費に着眼し、職場でネスカフェを安く手軽に楽しんでもらうためのプロジェクトを立ち上げました。
社が目指す営業利益率は最低20%。通常のビジネスモデルでは全く到達し得ません。その発想の原点から生まれたのが、アンバサダーという全く新しい仕組みです。その仕組みが機能するために必要なのが、オフィス内での消費者価値の創出。安くおいしく飲める、ということ以上に重要な価値として私たちが見いだしたのは、オフィスの中で失われつつあるコミュニケーションを取り戻すこと。オフィスで新しい会話が生まれることが、アンバサダーの大きなモチベーションになっており、オフィスでの問題点を解決する一つのソリューションを提供しているという点が、アンバサダープロジェクトの成功の意義だと感じています。
日本マーケティング大賞の名に恥じないように、このビジネスモデルにさらに磨きをかけて、日本発の、誰もまねのできない、そしていずれグローバルに展開できるような大きなビジネスモデルに育てていきたいと考えています」