発見! ニーズとは、次々と湧き出るものだった
2014/11/10
通販王国、九州へようこそ!
ここは、広告は「どれだけ売れるか」がすべて、というシンプルな世界。
だからこそ、「売る」の本質に迫るヒントが、たくさん転がっています。
■今回のテーマは、「ニーズ」への傾向と対策
前回、「売る」とは、ニーズというコップを手に取ってもらい、そこに情報を注ぎ続ける行為―というお話をしました。そのファーストステップに当たる「ニーズというコップを手に取ってもらう」とは、いったいどういうことなの?というご質問をよく頂きます。これは、端的に言うと、「こんなニーズありますよね?」と問いかけて、「確かに、あるある!」と思ってもらうことです(私たちのチームでは、これを「ニーズあるある」と呼んでいます)。
当たり前に思えますが、この点がうまくできずに結果が出ていない広告って、実は非常にたくさんあるのです。今回は、この「ニーズ」に関する、見落としがちな3つのポイントについてご説明していきたいと思います。
■その「ニーズ」は、すでに満たされていないか?
まず、「ニーズあるある」がうまくできていないケースでよく見られるのが、競合商品がすでに満たしているニーズを訴求していた…というパターン。まさか、と思われるかもしれませんが、これは本当によくあるケースです。例として、雨合羽を売るというケースを挙げてみると…
売り手としては、傘と雨合羽は形も違うし、別の商品。だから別モノとして訴求するけど…。でも消費者からすると、雨合羽も傘も満たすニーズは同じ。こういった場合、たいていモノは売れません。
売るためには、傘が満たせていないニーズ、例えば「雨の日に自転車に乗れなくて困る」といったニーズを見つけ出すことが大事。そしてそのニーズを持っている人に「お困りですよね?」と問いかけることで、「ニーズあるある」を作り出すことが必要となります。特に化粧品や健康食品の通販の場合は、成分は違うけど効果は似ている商品が多く、「ニーズ」に敏感にならないと、売っているつもりが成分の違いだけをムダに大声で叫んでいた、ということになりかねません。
■満たされていない「ニーズ」を見つける秘策とは
満たされていないニーズを見つけ出す、となると湧いてくる疑問があります。そう、世の中こんなに商品があふれている中で、まだ満たされてないニーズなんてあるの?という疑問です。でも、ご安心ください!私たちがさまざまな広告に対する反応から導き出した結論が、満たされていないニーズはたくさんある、ということ。いや、むしろ、ニーズとは永遠に満たされないものと言えるかもしれません。これが2つ目のポイントです。こちらも、傘を例に説明しましょう…
一般的には、雨にぬれている人が傘を持った瞬間に、ニーズは満たされたと捉えがち。でも、実はこの段階で満たされたのは、あくまで機能的なニーズ。その後も上記の通り別のニーズが表れ続け、決して満たされることがないのです。実際に皆さんも、買っても買っても、より良いもの、新しいものが欲しくなったりしていませんか。
だからこそ、各段階に応じて「機能的」「情緒的」ニーズはもちろん、「今の俺を超えていく」的ニーズであったり、「極めた結果飽きちゃった」的ニーズであったり、段階ごとに発生する多様なニーズを適切に見極めることで、興味を持ってもらうチャンスは広がるのです。
通販の現場では、「いろんな商品があって迷う。選ぶのが面倒くさい」というニーズにスポットを当てた後発商品が、「これを選べば間違いない!」という訴求でヒットする、という例もよく見られます。
■「共感のベクトル」という考え方
ニーズの見極めができているのに、それでも売れない…ということもあります。そんなケースで疑ってみるべきなのが、3つ目のポイント「きちんとコップを手に取ってもらえたか?」という視点。その点について考えるために、ここで簡単なクイズをしてみましょう。
一見すると、どれもダイエットをしたい女性から共感を得られそうなフレーズです。が、実はC以外は商品を買ってもらうという目的に対して、「コップを手に取ってもらえるフレーズ」になっていません。なぜなら…
広告には共感が大切ということはよく言われます。が、見落とされがちなのが、共感にはベクトルがあるということ。上記の例だと、A・B・Cは全て共感は得られるものの、その共感がきちんと商品に向いている、つまりコップを手に取ってもらえるようになっているのはCだけなのです。正しいベクトルの共感を見極めてニーズを刺激しなければ、「ニーズあるある」でなく、ただの「あるある」になってしまいます。広告の認知は上がったけど商品は動かない、みたいなケースでは、このようなベクトルのズレを疑ってみることも必要かもしれません。
■目指せ!「ニーズ」というコップのマイスター
人は、ニーズがない限りモノを買うことはありません。しかも、そのニーズを普段は意識していません。ですから、まずはニーズというコップを手に取ってもらうこと、すなわち「こんなニーズありますよね?」と問いかけ、「確かに、あるある!」と思ってもらうことが出発点。だからこそ、ニーズの種類や段階、そして気づかせ方を、私たちは注意深く観察してきました。
とはいえ人の気持ちはホントに深いもの。私たちも新たな仕事をするたびに、新たな意外なコップが出てきたりしてビックリさせられます。そんな発見を積み重ねながら、もっともっとニーズに詳しくなれるように、ますます頑張っていこうと思います!