セカイメガネNo.29
八百屋さんでも現金不要
2014/11/20
あなたが八百屋さんで大好きな果物を見つけたら、誘惑に負けてつい買いたくなるかもしれませんね。でもお金を払おうとして、「あ、いけない、現金を持ってなかった!」と気付いたらどうします? 昔なら店主の目を避けてコソコソ立ち去るしかありませんでした。でも、今の中国では、街の八百屋さんでもモバイル決済ができるのです。
これはアリババ・グループの「支付宝」(Alipay)が提供している、とても便利なサービスです。中国の決済方式は他の国と同様に、かなりの歳月をかけて物々交換、通貨取引、キャッシュカードという具合に進化してきました。けれど、誰もがクレジットカードを持っている現代でも、八百屋さんや屋台での支払いは普通無理ですよね。中国ではこの1年間に、ネットショッピングで広く使われてきたサービスが街の小さな店にまで浸透してきたのです。
でも、おサイフケータイのような日本や他の国で使われている近距離無線通信技術とは全く異なります。決済に当たり、サードパーティーのプラットフォームが間に入る点が新しいのです。品物を買った顧客のお金を支付宝がいったん預かり、受け取った品物に顧客が満足したのを確認してから事業者に代金を支払う仕組みです。
中国のインターネットではスマートフォン、携帯からアクセスする利用者が80%を超えています。モバイル、QRコード、無線通信ネットワークの普及・発達で、第三者を仲介とした支払いがどんな場所でも簡単にできるようになりました。今では小規模小売業者を含む50万近い事業パートナーがいます。決済端末の専用機器を店が用意する必要がないことも有利な点でしょう。
決済に必要な時間は数十秒です。水道、電気、電話などの公共料金、宝くじ、食材や外食代金、宿泊費、タクシー料金の支払いまで、すべて支付宝によるモバイル決済が当たり前になっています。もはや私たちのポケットに現金が要らなくなりそうな勢いです。
提携金融機関は200社を超え、中国では3億人のユーザーがこのサービスを利用しています。さらに割り勘の支払い、募金、1元から投資ができる「余額宝」など新機能も次々と実現しています。
近い将来、私たちはモバイルひとつで日常生活のあらゆる買い物をしている…かもしれません。
(監修:電通イージス・ネットワーク事業局)