2017年デジタルの10大潮流No.2
スポーツ配信権の価値
2017/01/27
前回に引き続き、電通イージス・ネットワークCaratの「TOP 10 TRENDS」から2017年の大潮流を紹介します。
スポーツ配信権の価値
グローバルなテクノロジー企業やメディア企業が人気の高いコンテンツに興味を示すにつれ、スポーツ配信権獲得争いが激しさを増している。
新たなライブ動画技術により、オンラインで簡単にスポーツをストリーミング配信することが可能になった。Twitterをはじめ各社は、自社のプラットフォーム上でコンテンツを利用するため、スポーツ配信権を獲得している。
NBCユニバーサルは、リオオリンピック・パラリンピックの視聴者を拡大するために、SnapchatやBuzzFeedを起用し、両者に関連コンテンツを自由に編集させ両社のプラットフォームで配信した。配信はライブではなかったが非常に多くの視聴者を獲得した。
またデジタルチャネル各社は、スポーツの視聴にソーシャルレイヤーを追加しており、視聴者は同じプラットフォーム内でスポーツを視聴すると同時に、コメントを投稿したりチャットすることができる。
Twitterは、毎週木曜日の夜の試合をライブストリーミングする契約をNFL米プロフットボールと締結している。画面には試合に関するツイートが一緒に流れる。各試合の視聴者数は200万人を超える。
BBCオンラインで配信されたサッカー・ユーロ2016イングランド対ウェールズ戦は、英国の就業時間中であったにもかかわらず、2300万人というライブストリーミングとしては同局史上最高の視聴者数を獲得した。
Appleとウィンブルドンは、ウィンブルドン2016の決勝戦の公式アプリをApple TV、iPhoneとタブレット向けに開発した。ライブ配信ではなかったが、視聴者は写真、ビデオ、スコアなどを含め、トーナメントの内容を見ることができた。
制作・伝送コストを削減することにより、より多くのイベントを配信できるようになるとともに、国内の視聴者だけでは採算が取れない場合でも、全世界の視聴者を獲得することで、黒字化できる可能性もある。
同時に、クリケットやNFLなどは、より広範な視聴者にアピールすることによって、よりグローバルなスポーツになろうとしている。
eSports(対戦型ビデオゲームを用いた競技)の配信権にも価値がある。Twitchではゲームトーナメントやドローンレースをライブストリーミングしている!
NetflixやAmazonもスポーツ中継参入を狙い、配信権の獲得に乗り出す可能性がある。
マーケティングへの活用
すでに主要なスポーツプログラムと提携しているブランドは、あらゆる新規チャネルにわたってパートナーシップを活用する準備をしておく必要がある。
デジタルチャネルは多大なビジネスチャンスを提供してくれる一方で、規制がさほど厳しくない。ブランドは、もっとさまざまな形で関与・活用することができるだろう。
自社ブランドの視聴者に適しているなら、現時点では世界的に人気があまり高くないと思われるスポーツに参画するチャンスでもある。エキサイティングなスポーツがあっという間に世界的な視聴者を獲得することもある。例えば7人制ラグビーはまさにそれだ。また、米国総合格闘技UFCの急台頭も、いかに短期間でスポーツがグローバル化できるかを示すよい例だ。