2017年デジタルの10大潮流No.1
ライブ動画でコンテンツはさらに進化する
2017/01/24
ライブ動画でコンテンツはさらに進化する
ライブ動画によってコンテンツは大きく進化・拡充するだろう。2015年の初めに、アプリ内でライブ動画をストリーミングすることが可能となり、2016年にはFacebookの「Facebook Live」やTwitterの「Periscope」、YouTubeの「YouTube Live」をはじめ多くのサービスが一般的に利用されるようになった。ライブ動画はその瞬間をありのままに伝えてくれる点が魅力だが、必ずしも「実況中継」である必要はなく、後で送信するよう設定することもできる。また配信後にはタイムラインに動画が保存される。
今や多くの人やブランドがライブ動画を利用している。米国テキサス州に住む主婦キャンディス・ペインさんは昨年5月、スター・ウォーズのチューバッカのマスクを着けた動画をFacebookにアップし、史上初の1億ビューを達成したライブストリーマーとなった。米ウェブメディアBuzzFeedはライブ動画をさまざまなフォーマットで実験的に配信中だ。例えばスイカに何本輪ゴムを巻きつけたら破裂するかといった動画など、その多くは極めて低予算ながら、非常に人々の関心を引くものである。
ライブ動画の中には、プロダクションバリューが高いものがある。魅力的なコンテンツであれば、低予算で高い生産性を上げられるのだ。例えば、
・ビジネスニュースの動画サービスを提供するベンチャー企業、チェダー(Cheddar)は、ニューヨーク証券取引所から立ち会いの模様をツイッター上で有料ライブ配信している。
・バーバリーは、昨年9月にロンドンで行ったファッションショーをFacebookなどでライブ配信し、このシーズンよりショー終了直後にコレクションを購入可能にする取り組みをスタートした。
・ドナルド・トランプ氏の選挙戦チームは、Facebookで毎日ライブ放送を行い、何百万という人々がこれを視聴した。
“ライブ”であることの恩恵を受けられるものは全て、無料のアプリやグローバルな配信ネットワークを通じて、非常に低予算でライブ配信が可能だ。
マーケティングへの活用
ブランドはライブ動画を活用することで、既存のマーケティングやコンテンツに、リアルタイムという即時性と、ありのままであるという信頼性を新たに加えることができる。また、舞台裏やメーキングなど今までとは異なる新たな視点を視聴者に提供することで、エンゲージメントを高めることができる。
コンテンツ制作上の障壁やコストは今後ますます下がっていく。重要なのはコンテンツの拡充だ。メーキングや補足説明版、ダイジェスト版など、より長い動画の方が見られるようになっていくだろう。
ただし以下の点に気を付けることが必要だ。ライブ動画を始めること自体が目的なのではない。所有するコンテンツのうち、人々が見たいと思うものはどれなのかをよく考えなければならない。また、視聴者を獲得するためには従来のペイドメディアを併せて活用する必要がある。