5分で分かる、生活者から見た電力・ガス自由化インサイト(by DEMS)
2017/03/27
昨年の4月に「家庭用電力の小売り自由化」が始まり、今年4月からは「家庭用ガスの小売り自由化」も始まりました。
電通のエネルギー関連の社内横断チーム「DEMS(ディームス)」と電通総研では、2016年11月に全国5600人を対象に「第4回エネルギー自由化に関する生活者意識調査」を行い、電力自由化に関わる生活者の意識と行動を リリースでお伝えしました。その内容をQ&A形式で紹介します。
【目次】
▼Q1:家庭用電力の自由化で、実際に変えた人はどのくらいいる?
▼Q2:電力会社やプランを変更したい人の割合と変更した人の満足度は?
▼Q3:電力の購入先や料金プランを変更したいと思わないのはなぜ?
▼Q4:生活者は電力自由化についてどんなことを知っている?
▼Q5:4月に都市ガス小売り全面自由化! みんなの望むことは?
Q1:家庭用電力の自由化で、実際に変えた人はどのくらいいる?
Q1は「電力自由化以降、実際にどのくらいの人が電力会社を変えたか」を見てみましょう。
質問:電力小売り自由化後に電力の購入先や料金プランを変更しましたか?
2016年11月の時点で「電気の購入先を変更した」人が7.5%、「電力会社内で料金プラン変更の申し込みをした」人が6.6%となりました。合計14.1%の人が何らかの変更をしており、5カ月前の調査時の合計6.7%から倍増です。
この数値は、電力自由化で先行するEUやアメリカと比べても低くありません。まだ周囲で変更している人は少ないかもしれませんが、ガスの自由化も迎え、家庭用エネルギーの自由化は今後も着実に進むと予想されます。
A1:電力会社や電力プランを変えた人は約14%。半年で2倍に増えています。
▼Q2:電力会社やプランを変更したい人の割合と変更した人の満足度は?
Q2は、「電力会社や電力プランを変更・検討したい人の割合は?」「変更した人たちの満足度は?」の2本立てでお届けします。
質問:あなたは今後電力やガスの購入先の変更を検討したいですか?
電力の「変更意向あり」は10%、「検討意向あり」を含めても56%で、前回よりやや低下しました。自由化当初に変えようと考えていた人の変更が一巡したこと、周囲の変更状況を見て“様子見”に入ったことなどの影響で、やや意向率が下がっています。
一方、ガスは「変更意向あり」13%、「検討意向あり」を含めて59%となっています。こちらも電力自由化の現状を鑑みて、やや様子見の様相を呈しています。
では、電力会社や料金プランを変更した人たちは変更したことに満足しているのでしょうか?
質問:電力の購入先や料金プランを変更したことに満足していますか? 変更することの検討を他人にも勧めますか?
電力会社や料金プランを変更した人の67%が「変更に満足」と回答している一方、「満足していない」人は4.7%にとどまっています。
さらに41%は「他の人にも変更の検討を勧める」と回答しており、全体に満足度は非常に高いもようです。
今後、こうした変更者の「満足の声」を、広く届けることで、活性化の機運を盛り上げることができるかもしれません。
A2:電力会社や電力プランを「変更・検討したい」人は56%。変更した人の満足度は67%と非常に高く、周りにも勧めたいと考えているようです。
▼Q3:電力の購入先や料金プランを変更したいと思わないのはなぜ?
第3回は、「電力会社や電力プランの変更を検討しない理由は?」「変更した人たちの感想は?」の2本立てでお届けします。
質問:電力の購入先や料金プランの変更を検討しない理由は?
検討しない理由は「変更することのメリットがわからない」(48%)、「なんとなく不安」(38%)、「今まで通り慣れている会社の方が良い」(34%)、「新規参入の会社は安定供給に不安がある」(23%)など。変更のメリットが分かりにくく、不安が大きいことが見て取れます。
では、実際に変更した人はどのように感じているでしょうか。
質問:電力の購入先や料金プランを変更後、どう感じていますか?
変更者は「電気料金に満足」(53%)、「電気料金以外のサービスや特典に満足」(40%)、「電力は安定しており、停電などの心配はない」(62%)、「変更手続きは簡単だった」(66%)など、全般に肯定的です。
非変更者の懸念を打ち消す内容になっており、両者のギャップが浮き彫りになっています。
A3:変更しない理由は「メリットがわからない」「なんとなく不安」など。しかし、変更した人は安心・満足しており、両者のギャップが見て取れます。
Q4:生活者は電力自由化についてどんなことを知っている?
第4回は、「電力小売り自由化の基礎知識について、生活者は何を知っているのか」です。家庭用電力小売り自由化に関する基本的な九つの事項を提示して、認知しているかどうかを聞きました。
質問:「家庭用電力の小売り自由化」の内容について伺います。この中で知っていたことは?
九つの知識について、非変更者は「一つも知らない」人が3人に1人と、非常に認知が低くなっています。
非変更者は全体的に電力自由化の内容について知りません。最も高い「電力会社を切り替えても、停電しやすくなったりせずに今までと変わらず電気を使用できる」でも、認知は40.8%にとどまります。
基本的な内容認知の不足が、電力自由化による乗り換えが進まない要因となっていることがうかがえます。
A4:生活者の電力自由化への理解はまだまだ進んでいません。
Q5:4月に都市ガス小売り全面自由化! みんなの望むことは?
第5回は、「都市ガス小売り全面自由化」への意識を調査しました。
質問:都市ガスの小売り自由化が始まり、電気とガスを購入する会社を自由に選べるようになったら、あなたはどのようにしたいですか?
66%の人が「電気とガスの購入先を1社にまとめたい」と回答しました。
内訳を見ると、電気とガスの購入先を「電力会社にまとめたい」が13.1%、「ガス会社にまとめたい」が11.0%、「どちらかは決めていないがどちらかにまとめたい」が42.1%です。現状はどちらかに決めているわけではないものの、「まとめたい」というニーズは確かにあるようです。
A5:66%の人が「電気とガスを1社にまとめたい」と回答しています。
電力およびガスの家庭用エネルギー小売りの自由化は、今後社会に着実に浸透していくと見込まれます。DEMSと電通総研では、引き続き家庭用エネルギー小売り自由化に注目し、調査研究と情報発信を続けていく予定です。
<調査概要>
●タイトル : 第4回「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」
●調査手法 : インターネット調査
●調査時期 : 2016年11月18日~25日
●エリア : 9電力会社管内(沖縄電力管内を除く)
●対象者 : 全国20~69歳の男女5600人
●対象者条件: 世帯主もしくは世帯主の配偶者で、自分または配偶者が電気料金を支払っている方
●調査内容 :本調査45問
一般生活者の基本属性(人口統計学的属性、家族構成、住居形態など)、エネルギーの利用実態(エネルギー供給形態、収入に占めるエネルギー費の割合など)、エネルギー自由化に関する知識・認知状況、購入先の変更・検討状況、エネルギー全般に関する考え方や意識の傾向、購入先に対して求めるイメージとサービス、電力会社・新電力会社に対する認知、購入先変更のプロセス・情報源、電力自由化に関する内容認知、不安点など
DEMS(ディームス)
2016年4月の電力小売り全面自由化、2017年4月のガス小売り全面自由化により、エネルギー産業構造が史上最大の転換期を迎えることから、顧客企業の新ビジネス創造に貢献するため、エネルギー関連のプロフェッショナルメンバーを集めた電通グループ横断組織として編成。「エネルギー」×「コミュニケーション」に関する専門的な知見・ノウハウを活用し、戦略立案、商品開発から広告コミュニケーションに至るサービスをワンストップで提供する。