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frogが手掛けるデザインとイノベーションの現在・未来No.4

デザイン視点からのイノベーションを学ぶ経営者たち

2017/07/21

デザイン視点からのイノベーションを学ぶ経営者たち

前回は、デザイナーたちの自由な発想がコンサルティングに生かされることで、イノベーションの可能性が大きく広がることを説いたfrogのストラテジー・イノベーション部門のリーダー、ティモシー・モリー氏のコラムを掲載しました。今回は、企業の経営者たちにとってもデザイン思考が重要であることを、多国籍コングロマリット企業、GE(ゼネラル・エレクトリック)の例と共にご紹介します。

コネクティッドな時代の中で生まれた新たなビジネス環境

インターネットの遍在性がビジネスのルールを一新しました。ワールドワイドウェブは、低コストの接続方法を提供しただけでなく、イノベーションを加速させ、スマートフォンやソーシャルネットワークの出現を先導しました。

突如として、消費者は商品やサービスを即座に評価し、その意見をシームレスに友人とシェアできるようになりました。それと同時に、OSを使いこなすスマートな消費者はモバイルデバイスの恩恵を享受し、顧客体験に対する期待は爆発的に高まりました。

こうした流れに乗って主導権が消費者に移ったことで、新たなビジネス環境が生まれました。この状況に対応する方法を模索するなかで、企業のトップは、新製品を生み出すデザイナーのアプローチが、組織の抜本的改革に応用できることに気が付いたのです。

ここ40年の間に、デザインは少数の才能ある個人のものから、安定したチームを組んで取り組むものへと進化しました。現代社会の混乱を乗り切るための羅針盤としてデザイン思考を採り入れている企業にとって、今ではそれがビジネス改革の不可欠な要素になっています。

GEのデジタルトランスフォーメーション

2007年から08年の世界金融危機を受けて、米国に本社を置く多国籍コングロマリットであるGEは、工業部門に再び注力する必要がありました。巨大なソフトウエア企業へと進化していたにもかかわらず、シェアを伸ばしてくる競合のデジタル企業への対抗策を持たなかったので、成長の機会を逃していたのです。

GEのジェフ・イメルトCEO(2017年7月現在)は、シリコンバレーに進出し、イノベーションを起こし続けるデジタル産業組織へと会社を発展させるビジョンを示しました。「私は強力なライバル企業をそれほど恐れてはいません。もっと恐ろしいのは、わが社の事業部門のひとつを消し去ってしまうようなアイデアを、ガレージにこもったまま考え出してしまう人物です」と彼は語りました。

このビジョンの実現に向けて、GEのベス・コムストックCMOは、会社をデジタル企業に変換するために、デザインと戦略を提供する企業であるfrogに支援を求めました。

frogは、デザインおよびデジタル商品開発をGE社内に広く普及させるためのデジタルツールを構築し、ユーザーを中心とした設計思想の考え方を従業員に教え込むことで、新しい文化を育みました。GEは再利用可能なソフトウエアデザインシステムを開発。このシステムによって開発スピードが増し、コスト削減に成功、そして組織全体の結束力が高まったのです。

frogのCEOであるハリー・ウェストはこう語っています。「GEは、変化の犠牲にならずにそれを制した大企業の顕著な例です。GEのリーダーは、ビジネス改革の際にもデザイナーのようなユーザーを中心とした思想がきわめて重要な役割を果たすことを認識しました」。

デザインのビジネス価値を計測

続きはウェブマガジン「AXIS」にてご覧いただけます。

この記事は、frogが運営するデザインジャーナル「DesignMind」に掲載されたコンテンツを、電通エクスペリエンスデザイン部・岡田憲明氏の監修の下、トランスメディア・デジタルによる翻訳でお届けします。

※ この記事の初出は、Raconteur Mediaが2016年12月1日付「タイムズ」に掲載された「未来のCEO」(ベン・ロッシ著)です。