絶対に破れないパンスト!?
2017/11/27
仕組みで満足ちゃん
唐突ですが、僕が考える話題化の公式は仕組み×中身です。
だから、どれだけ斬新な仕組みを考えても、中身がつまらなかったら成功しません!ということを絶対に忘れないでくださいね。でも、広告の新しい仕組みを考えることにばかり意識がいって肝心のメッセージの中身がおろそかになっている人が多発しています。
そんな人を僕は「仕組みで満足ちゃん」と呼んでいます。特に広告が好きで広告の知識が豊富な若者に多いので気を付けてください。
これと似たような人たちで最近急増しているのが「テクノロジーで満足ちゃん」な人たち。この場合もやはり同じで、どんな最先端のテクノロジーを駆使しても中身=企画・アイデアが「面白く」ないと絶対に素晴らしいものにはならないし、成功もしません。ほらね、アレもアレも、思い当たるものは全て最先端技術だけじゃなくて、企画アイデアそのものがものすごく素晴らしいでしょ?
というわけでここでは、仕組み×中身をすごく意識してつくった僕の仕事のお話をします。
江崎グリコ「パピコ」大人AKB48の場合
この「大人AKB48」は、大人気のAKB48に大人のおばさんメンバーが加入するということで、芸能的なニュース性が抜群。しかも、仕組みそのものも前代未聞でかなり斬新。だから、圧倒的な仕組みの力によって話題になったって思われがちですが、実はこれこそまさに仕組みと中身の両立ができていたからこそ話題になった典型的な事例なんです。
じゃあ、大人AKB48における「中身」って何?
この施策における仕組み×中身は次の図のようになっています。
大人AKB48に選ばれたのは、はやりの美魔女とかモデルさんとは違う普通の感じで、でもスタイル抜群で、とても37歳とは思えない美貌の持ち主の塚本まり子さん。
実は彼女のアイドルとしてのクオリティーこそが大人AKB48における「中身」だったんです。前代未聞の斬新な試み=仕組みだけでなく、アイドルとしてのクオリティー=中身も驚くほど高かったからこそ、さまざまなメディアで報道され、大人AKB48はありだ!いやなしだ!と約4カ月もの間、お茶の間の話題を独占し続けることができたんです。
だってアイドルとしてのクオリティーが伴ってなかったら、発表した瞬間「な〜んだ」って思われて、その後話題になんてしてもらえないですからね。この中身=アイドルとしてのクオリティーを実現するために、僕らはものすごい人数の全国のおばさまをオーディションしたんです。本当に信じられないくらすごい人数を。だから、「もう1回『大人AKB48』をやれ」って言われても僕は絶対にやんないです(苦笑)。
絶対に破れないパンスト
いよいよこれで僕のコラムも終わりです。最後にせっかくなので、僕がこの本に込めた思いを書かせてください。今までのコラムの中で何度か「本買ってね〜」的なことを面白おかしく書きましたが、ぶっちゃけ僕はお金もうけしようなんてこれっぽっちも考えずにこの本を書きました。
名古屋、大阪、東京を舞台に20年以上広告クリエーティブの仕事をやってきて、北海道、金沢、東京、名古屋、大阪、福岡で宣伝会議の講師をやって、最近では東京で客員教授として広告の授業を受け持つようにもなって。そんな中で自分が培ってきたさまざまなノウハウをそろそろ体系立ててまとめておきたいな。ちょうどそう思っているところに宣伝会議から出版の話を頂き、喜んで本を書かせてもらうことにしました。
だからこの本には、僕が20年以上かけて培ってきた、とっておきのノウハウが惜しみなく紹介されています。まあ言うなれば僕の広告クリエーター人生そのもの、いや僕そのものと言っても過言ではありません。本当に惜しみなく出し尽くしたつもりです。
そういえば、昔こんな話を聞いたことがありました。本当に優秀なパンティーストッキング屋は、絶対に破れないパンストはつくらない。だって破れないと次のパンストを買ってもらえないから。
しまった…。
どうやら僕は、絶対に破れないパンストを執筆してしまったようです。これからも全国で広告の講義があるのに、もう話すことがないやん。全国のライバルたちに自分のノウハウを公開して、商売上がったりやん。でもまあエエか。皆さんがこの絶対に破れないパンストで快適な広告クリエーター生活を過ごしてくれるなら本望です。
えっ僕? 僕はこれから、絶対に破れないだけじゃない、もっとすごいパンストを発明するからへっちゃらですよ。