loading...

四つのクリエーター的発想法

その企画、もっと面白くできますよ。 №4

  • 中尾 孝年

2017/11/14

四つのクリエーター的発想法

漠然と考えちゃダメ

皆さんは普段どうやって企画していますか? もちろん広告の企画だけじゃなくて社内のプロジェクトとか、時には忘年会の出し物とか、「面白い」を考える機会っていろいろありますよね?

何か良い企画はないかな…
何か良いアイデアないかな…
何か良い言葉はないかな…
何か良いネタはないかな…
と、漠然と考えていませんか?

この「漠然と考える」がダメなんです!

今からご紹介する四つのクリエーター的発想法=「面白い」を考える時の頭の使い方は、知らぬ間に陥ってしまう「漠然と考える」を卒業するための頭の使い方です。あっ、もちろん今回も四つ全部はしませんよ。そんなことしたら商売上がったりですからね!このコラムでは最も基本となる一つ目の頭の使い方をご紹介します。

オシッコ漏れそう!

では問題です。これは、僕が新人のころ、師匠のコピーライター岡本達也さんが僕に出してくれた問題。広告づくりの極意が分かるすごい問題なんです!

<問>メッセージを入れて立ち小便がピタッとなくなる看板にしてください。

画像提供123RF

<答え①>

あっ、最近ではこんな答えもありますね。

<答え②>

答えを見て、こりゃ一本取られたな!って思うでしょ。でね、果たしてこの問題のどこがすごいのか? どこに広告づくりの極意が隠されているのか?

その疑問にお答えする前に、実はこの問題ってほとんどの答えが次の四つのパターン、「恐れor畏れさせる」「脅迫する」「辱める」「懇願する」のどれかに分類することができるんです。

「警察所有地」とかは、恐れさせるパターン。「仏像の絵を描く」とかは、畏れさせるパターン。「発見次第ちょん切るぞ!」とかは典型的な脅迫するパターン。「ポストの中から見ていますよ」とか「あらま!かわいらしい」とかは辱めるパターン。「お願いだから立ち小便しないで」とかは文字通り懇願するパターン。

でも、この四つのパターンの答えって、すべて立ち小便をやめさせようとする家主の立場、つまり、看板を見せる側の気持ちで考えた言葉なんです。

ところが「この先にトイレあり」は違う。これだけはオシッコが漏れそうな相手の気持ちで考えなきゃ絶対に思い付かない。これこそが広告づくりの極意なんです!

見せる側(自分)の気持ち<見る側(相手)の気持ち
常に見る側(相手)の気持ちを考えて…いつ?どこで?何を?どう言うか?を考える。

超大切な基本中の基本だから分かっているつもりでいるけど、僕らは無意識に見せる側の立場だけで考えてしまいがちです。なぜなら僕ら広告屋さんは、見せる側の皆さんから依頼を受けて見せる側の皆さんと仕事をしているから。

「伝えること」と「伝わること」は違う

例えば僕が皆さんに向かって、「僕はステキです」と100回言っても(伝えても)「わあ、中尾さんステキだな〜」とは絶対に思われません。むしろ「何このおっさんウザイ」と思われます。そうではなくて「あっ、ハンカチ落としましたよ」って教えたりして、親切な振る舞いをしたら、それだけで「わっ、ステキな人だな」って思われる可能性がある。一言も「僕はステキです」なんて言ってないのに。つまり…

「伝えること」と「伝わること」は違うんです!

そして、見る側の気持ちに立つということは、伝わることは何か?を感じるために必要なスタンスなんです。

ところが、いざ広告の話になるとみんなすぐに過ちを犯してしまいます。例えば、大人気のタレントが出てきて缶コーヒーを飲んで「うあっ、ウマイ!」。また飲んで「ほんとウマイわ!」。最後は缶を差し出してカメラ目線で決めゼリフ「マジでウマイ、コーヒーはコレで決まり!」。こういうCMを平気でつくってしまう。

広告で「ウマイ」って言うのは「僕はステキです」って言ってるのと同じなのに。しかもこのCM、3回も連続で「僕はステキです」って言っています。毎回かっこつけて最後はカメラ目線で「僕はステキです」って言っています。って考えたら、このCMは本当にヤバイってことに気付くでしょ?

そしてもう一つ、この問題がすごいのは…「この先にトイレあり」って回答だけが相手が抱える問題に対してのソリューションになっていること。こちら側の希望を一方的に伝える要求型のコミュニケーションでは、相手が抱える課題を解決することはできません。でも、相手の気持ちで考えれば、相手が抱える問題を解決できるソリューションの提案にたどり着きます。それくらい、相手の気持ちで考えるというのは大切な頭の使い方です。

コミュニケーションをデザインする時は必ず「相手の気持ち」が基準になってないとダメ。一般的にいわれているメディアプランや既存のメディアなどに縛られることなく、いつ?どこで?何を?どう伝えるか?を100%相手の気持ちを優先して考える。

すると理想的なコミュニケーションデザインが出来上がります。最近は、何でもかんでもSNS、ウェブ、口コミって考えたり、新しいコミュニケーションツールだ!って考えがちですが、あくまでも相手にとって何がベストか?を相手の気持ちになって考えてください。

な〜んて事が、この問題には詰め込まれていたんです。ね、すごいでしょ?たった1問でもこれだけすごいんだから、これが一冊になったらと思うと…はい、伝えることと伝わることは違うので、これ以上言うのはやめときます(笑)。
また発明するからへっちゃらですよ。