loading...

電通報ビジネスにもっとアイデアを。

1+1=∞ のコラボ・マーケティングNo.2

コラボのバリュー

2018/04/24

企画はしやすいけど、形にするのが難しい。そんな「コラボ」だからこそ、得られるものはとても大きいといえます。今日は、ブランド間でコラボをすることで、どんな「おいしいこと」があるのか、お話ししていけたらと思います。

コラボに向いているブランドって?

まずは、コラボのニュース性について。ブランドコラボは、その事実だけでも情報番組などのメディアに取り上げられやすいニュースネタのひとつです。中でも、以下のようなブランドは、日常会話のネタにしやすかったり、SNSなどでも注目されやすく、コラボに向いていると考えられます。

コラボに向いているブランド

マス性が高い商品・サービスの場合は、接触する人数が多く、それだけ拡散のチャンスを秘めています。世に出回る商品数もすでに多いため、埋もれさせない工夫が必要ながらも、爆発的にヒットするポテンシャルがあります。

もうひとつは、ブランドロイヤルティーの高いもの。元々ファンを抱えているケースが多く、指名買いするユーザー自らが広告塔となり、情報発信をしてくれる期待ができます。 

PR効果が高いコラボは、普段のコミュニケーション活動を刺激するためのアクションとしても有効だといえます。ニュースになることは、ブランドを世の中に対してリマインドできるということ。限定的な一施策にとどまることなく、ブランディングに寄与する大きな一手になるのです。

さて、コラボをすると、おいしい思いができるのは誰で、どこなのか。ここから、もっと掘り下げていくことにします。

コラボでおいしい「ひと」

まず挙げられるのが、そのコラボプロジェクトに携わる「社員」です。

他社/他ブランドとコラボすると、あらゆるベクトルでの調整を図らなくてはならない場面にたびたび遭遇します。通常業務とはまるで異なる方法・ゴール設定でプロジェクトを進行することになり、非常に有意義な社員教育になります。

また、開発・研究職などのバックオフィスを支える技術系部門社員のOJTの場としてもふさわしいと考えます。普段、クローズドな世界で働く人たちにとって、外(社外、社内の他部署どちらも)からの刺激を受けられるからです。

特に、分業化が進む大企業では、こういった機会を契機に他部署のメンバー同士が交流を図り、以降の通常業務に変化を及ぼすことができれば、それだけでも大きな収穫になるのです。 

コラボでおいしい「場所」

コラボは、商品が流通する商業施設や小売店舗に対しても、バリューを発揮します。

流通業界には、1年間を52週とみなして数える独特の風習があり、その52週全てに取り組みが必要とされています。クリスマスやハロウィーンなどがある週はともかく、毎週にそのようなイベントがあるわけではありません。どの店も創意工夫しながら、常に次の売り場をどうするか模索しているのです。

そんな時に、コラボレーションは流通への「逆提案」にもなり得ます。思ってもみなかった異業種のブランド同士が手を組み、新しい商品を売り出すことは、場をにぎわす格好のニュースになるからです。

ヨソのやり方を、オフィシャルに盗む

もうひとつコラボには、「ヨソのやり方」を実践しながら盗み、学べるというおいしさもあります。

こんなことを言ったら、マーケティング専門の先生などに怒られそうですが…企業のマーケティング活動のメソッドに、唯一の正解はないと思います。企業によって歴史や文化、社風が異なれば、100社に100通りのスタイルが生まれて当然だからです。

そのため、異なる会社間、ブランド間でコラボレーションをして初めて「ヨソのやり方」を目の当たりにすることになります。特に、開発プロセスは企業にとってのDNAであり、言うまでもなく社外秘のオンパレード(実際に私も重要情報を前に、平気な顔をしながらドキドキしていたこと多数…)。「ヨソ」同士が手の内を見せ合い、盗み合うコラボは、凝り固まっていた自社のルールやプロセスを客観視するきっかけとなるのです。ある種のブラックボックスを開けるといえるのかもしれませんが…。

クリエーティブをつくる側としても、コラボの企画はとても面白いと、最後に補足しておきます。アレとコレをくっつけたら? コレをあそこで売ったら? そんな妄想まがいのアイデアが、仕事で実現するという、今まで得たことのないダイナミズムがあります。

余談ですが、私がコラボ企画をして最もうれしかったのは、「スーパーで見かけて気になって、買ったやつだ!」という、地元の友達の一言です。広告やキャンペーンをつくっていると、リーチやらKPIやらなんやらとさまざまな指標で成果が求められる中、自分の携わったアウトプットが本当に届けたい人に届いている、と数字以上の実感を得られたからだと思います。

とてもとても、おいしい仕事でした。
(次回につづく)