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特定業種の広告規制について

3分で分かる広告の法律落とし穴 №9

  • 長谷川 雅典

2018/09/03

特定業種の広告規制について

この連載では、書籍『広告法』の中から、特に実務的にフォーカスしたい点を取り上げて、Q&A形式で解説していきます。

Q.元本保証のない投資信託の広告制作を受注しました。今まで、景品表示法や著作権法、肖像権・パブリシティ権のことを学んできましたので、この知識に基づいて制作を行えば問題ないと考えています。
それとも何か他に気を付けることはありますか?
広告の企画・制作にあたって、景品表示法の表示規制や、著作権法、肖像権・パブリシティ権などに留意すべきであることは、これまでの回で説明してきました。それでは、全ての商品・サービスにおいて、留意すべき法律は同じなのでしょうか。

A.業種によっては、その業種にのみ適用される法律(業法)によって広告が規制されている場合があります。
Qにあるような金融商品の広告についても、金融商品取引法という法律の規制対象となります。
業種ごとに広告に関する法規制が存在する場合があります。それらは多岐にわたりますので網羅的に深く掘り下げることはできませんが、ここではいくつかの業種における広告規制を例として取り上げて概説します。ただし、業法による広告規制はこれらの業種のみではありません。

【基礎知識】

1.金融の広告規制

(1)表示義務
金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業の内容について広告を実施する際には、金融商品取引法に規定する以下の表示義務を負います。

①金融商品取引業者などの商号、名称または氏名
②金融商品取引業者などである旨および当該金融商品取引業者などの登録番号
③顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの(顧客が支払うべき手数料・報酬などの合計額または計算方法、顧客が預託するべき保証金の額など)

なお、テレビCMやラジオCMなどはその媒体の特性から、③に代わって以下の二つについて表示することで足りるとされています 。

・金利等の変動を直接の原因として損失が発生するおそれがある旨
・契約締結前交付書面(または目論見書)の内容を十分読むべき旨

(2)表示方法
損失が発生するおそれなどの顧客の不利益となる事実は、リスク情報として明瞭かつ正確に表示しなければなりません。

(3)誇大広告の禁止
金融商品取引業者等が行う金融商品取引業の内容について広告を実施するときは、利益の見込み、契約の解除に関する事項、損失負担・利益保証に関する事項、損害賠償額の予定に関する事項などについて「著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない」と規制されています。

2.医療(病院)の広告規制

医療(病院)の広告は,医療法によって規制されており、その規制の内容は厚生労働省の医療広告ガイドラインに詳しくまとめられています。医療広告ガイドラインにおいて禁止事項として特に注意を促されている事項は、次のとおりです 。

①広告が可能とされていない事項の広告
【例】死亡率、術後生存率、未承認医薬品による治療
   著名人も当院で治療を受けています
② 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
【例】絶対安全な手術です!厚生労働省の認可した○○専門医
③ 他の病院または診療所と比較して優良である旨の広告(比較広告)
【例】当院は県内一の医師数を誇ります
   肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です
④ 誇大な広告(誇大広告)
【例】知事の許可を取得した病院です!
⑤客観的事実であることを証明できない内容の広告
【例】患者の体験談の紹介、比較的安全な手術です
⑥ 公序良俗に反する内容の広告
【例】猥褻・残虐な図画等を使用した広告
⑦ 品位を損ねる内容の広告
【例】ふざけた広告
⑧ 他法令等で禁止される内容の広告
【例】医薬品「○○錠」を処方できます
(医薬品等適正広告基準:医師が処方することを目的として供給される医薬品については,医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を行ってはならない。)

3.赤十字マーク

白地に赤色の十字のマーク(以下、「赤十字マーク」といいます)は、戦争などで負傷した人々やその人らを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を攻撃から保護するために使用するマークです。赤十字マークは中立の立場を示すものとして国際的に保護されており、赤十字活動以外の使用目的などに使用できない旨が国際条約と法律で規定されています。

したがって、赤十字社または赤十字社が許可する者以外が当該マーク(赤十字という名称も含まれます)や類似マークを広告上でみだりに使用することはできません。

なお、使用が禁じられるものには白地に赤色の十字のマーク以外にも、赤い新月のマーク、赤のライオンおよび太陽のマークおよびレッドクリスタルが含まれます。

以上がいくつかの業種特有の広告規制に概要でした。

「3分で分かる広告の法律落とし穴」の連載はこれが最終回です。広告に関する法規制についてより詳しくお知りになりたい場合は、広告に関連する法規制を網羅的に、実務的に、理論的に解説を試みた『広告法』を手に取ってみてください。

どうもありがとうございました。