「東北から、パラダイムシフト」
みちのく復興事業シンポジウム開く
2019/03/08
みちのく復興事業パートナーズとNPO法人ETIC.(エティック)は3月5日、第7回「みちのく復興事業シンポジウム」を東京・汐留の電通ホールで開いた。東日本大震災の翌年にスタートした同パートナーズは、東北で活躍する起業家・NPO・団体などを企業が協働して支えるプラットフォームで、花王・JCB・ベネッセホールディングス・電通の4社が参画している。
今回のシンポジウムは、震災後の東北で“社会課題の実験場”ともいえるような新たな取り組みが芽生えていることを背景に、「東北から、パラダイムシフト」をコンセプトに設定した。
第1部は、慶應義塾大大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授が登壇、自身が研究する「幸福とイノベーション」を演題に基調講演を行った。前野教授はまず「幸福は人間が生きる上での普遍的な価値。製品やサービス、街や組織づくりをする際に幸せということを設計変数に入れなくては」と語り、その上で、現代は、金・物・地位といった「地位財」ではなく、安心・健康・心といった「非地位財」による幸せにパラダイムシフトしていると指摘。また、幸せの四つの因子として「やってみよう(自己実現と成長)」「ありがとう(つながりと感謝)」「ありのままに(独立と自分らしさ)」「なんとかなる(前向きと楽観)」を挙げ、幸福とイノベーションを起こす条件が似ているとの考えを示した。「全ての人が多様な夢を持っていて、そういう人たちが多様につながり合って、前向きに自分らしく未来を信じて生きること。これをみんなができると幸せな社会になるだろう」と、震災後、さまざまなイノベーションが生まれている東北への期待を込めながら展望した。
第2部のショートプレゼンテーション「第四次産業革命の本質」では、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター須賀千鶴センター長が登壇。AIやビッグデータなどデータドリブンを特徴とする「第四次産業革命」におけるデータガバナンスを官民で議論するため、2018年に設立された同センターの概要や取り組みを紹介した。
第3部「第四次産業革命から見た東北」では、エティックの宮城治男氏がモデレーターを務め、東北で事業を展開するNoMAラボの高橋大就チーフプロデューサー、合同会社巻組の渡邊享子代表、ポケットマルシェの高橋博之代表がそれぞれの取り組みについてプレゼンテーション。その後、前野氏、須賀氏がコメンテーターとして加わり、東北の未来の兆しを語り合った。